
ロシアとウクライナの間で合意した黒海での戦闘停止。この「黒海」とは一体どんな場所なのか、専門家が解説します。
■黒海での戦闘停止 なぜ重要?
トランプ大統領は、協議の進展をアピールしました。

アメリカ トランプ大統領
「ロシア、ウクライナとの間で深い議論をしている。順調にいっていると言える」

ホワイトハウスは25日にロシア、ウクライナそれぞれとの協議の結果、黒海での戦闘停止で合意したと発表したのです。
ただ、ウクライナとロシアとの間では、認識の食い違いがあるようです。

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「私たちの国防相がアメリカ側に、いつからこの合意の効力が発生するのか聞いたところ、アメリカ側が合意を発表した瞬間からとのことだった」
つまり合意は“即時発効”ということです。

ロシア側の発表は違います。ロシア大統領府は、合意が発効するのは、食料や肥料の国際貿易に関するロシアへの制裁が解除された後だとしているのです。
アメリカは、この条件に同意したのでしょうか。

トランプ大統領
「今、それらについて検討している。5つか6つの条件があって検討をしている」
戦闘停止が実現するのか、まだ不透明な状況です。

ゼレンスキー大統領
「もしロシアが今回の合意を履行しないでアメリカやヨーロッパ、ウクライナに圧力をかけようとするなら、答えはひとつしかないと思う。さらなる制裁だ」
そもそもアメリカが提案した「30日間の即時停戦」は、ロシアが拒否しました。

筑波大学 東野篤子教授
「ウクライナにとって非常に黒海というのは重要で、黒海を通じた穀物あるいは植物油、菜種油のような植物油の輸出をやっていたので、戦略的にも経済的にも極めて重要な位置付け。ロシアとしては、黒海の制海権を抑えておくのはウクライナに対する非常に強い圧力」
ロシアは交渉を有利に進めるため、時間を稼いでいるとみられます。

東野教授
「今、東部戦線ではロシアは優勢だとみなしている。今優勢になっている戦争を、なぜやめなければならないのかということも考えても、ロシアにとってやめるメリットはあまり大きくはない。トランプ政権全般としてロシアからの(主張の)インプットを非常に重く受け止め、ウクライナからの(主張の)インプットを軽視する傾向。アメリカの特使たちがウクライナの立場をどの程度きちんと理解しているのか、大きな不安が残る」