コメ高騰で備蓄米集められず 国が集荷業者に違約金請求 “契約果たせない”苦悩
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 価格安定の切り札とされる備蓄米を巡っても、思わぬ事態が起きています。政府に納める契約を結んでいた業者がコメを集められず、国から違約金の支払いを求められています。

【画像】安定して確保できる取り組みに注目が 3万2000円払って棚田のオーナーになると

■“契約果たすことできない”集荷業者の苦悩

江藤拓農林水産大臣
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江藤拓農林水産大臣
「落札数量は7万336トン。落札率は100%となりました」

落札価格の平均
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 2回目の入札で、初回と合わせて21万トンが落札された備蓄米。今回の平均落札価格は60キロあたり2万722円。初回の入札より495円低くなりました。

 放出が予定通りに進む一方で、こんな問題も起きています。

町田アンド町田商会 建部礼仁会長
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町田アンド町田商会 建部礼仁会長
「しっかりと契約を果たすというのが契約者としての役割だが、残念ながらコメを集めることができなかった」

 1日の会見でこう語ったのは、青森県弘前市のコメの集荷業者です。備蓄米として政府と契約をしていた2024年産のコメのおよそ半分を集めることができず、国から違約金を求められています。

建部会長
「さまざまな業態の方々が、私どもと取り引きしている農家さんのところにお邪魔して、備蓄米の値段より(1俵あたり)『1万円をプラスして買います』と、そういった話があちこちで起きていた」

備蓄米の買い入れ
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 備蓄米は、生産者や集荷業者などが政府と契約した数量を期日までに納品します。

政府に収めることができず
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 しかし、去年さまざまな業者が備蓄米よりも高い価格でコメを買い取ると生産者に持ち掛けたため、集荷業者は契約した数量を集められず、政府に収めることができなくなったというのです。

■激しい争奪戦…今後のコメ価格どうなる?

去年9月に取引価格が高騰
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 契約した去年2月時点の備蓄米の価格は、玄米およそ60キロに相当する1俵あたり1万3000円~4000円。収穫を迎えた時期には、取引価格が大きく上昇していました。

建部会長
「(価格が)1万円も違うと、1000俵をお作りいただいている方だと、1000万円収入が変わってきます。違約金を払っても(1俵)1万円プラスで売れれば収入が増える。農家さんは責められません」

国が業者に違約金請求
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 農水省によりますと、契約した数量の備蓄米を納入しなかったのは7つの業者。農水省は業者に違約金の支払いを求めています。

江藤農水大臣
「やはり契約をした以上は、民民でも官との契約でも守っていただくのは筋でありますから。やはり責任感を持っていただきたい」

 12週連続の値上がりとなったコメの価格。今後の価格について、専門家はこう話します。

「コメ価格が高止まりの可能性も」
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宇都宮大学 農学部 松平尚也助教
「いったんは価格が下がってくるかなという状況。全国のコメ産地のプライスリーダーともいわれる新潟県の農協が、今年の秋のコメの買い取り価格を3割引き上げると言っていまして。そういった動きが全国に波及してくると、コメの価格が高止まりする可能性も出てくるとはいえます」

■安定的にコメ確保できる…取り組みに注目が

3万2000円でコメ棚田オーナーに
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 そうしたなか、ある取り組みに注目が集まっています。

 千葉県鴨川市で行われているのが「棚田トラスト」。耕作放棄が進む棚田で、都市部の人たちが農業体験をしながらコメを作る活動です。

 費用は3万2000円。参加者は年に5回、地元の農家の指導のもと田植えや草刈、稲刈り、脱穀などを行い、収穫したコメは参加者に分配されます。

5キロで換算すると約5300円
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 例年は30キロ程のコメが参加者に分配されるといい、その場合、参加費をコメ5キロで換算すると、およそ5300円になります。

参加者
「確実に(コメを)手に入れられるとか、実際にコメの育成状況を見て、手に入れられるのはいいなと思って」

 市場価格に影響されず、安定的にコメを確保できる手段として問い合わせが増えているということです。

(「グッド!モーニング」2025年4月2日放送分より)

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