トランプ氏「安全保障も取引」 防衛費の負担増さらに? 基地周辺からは心配する声
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 アメリカとの関税交渉が進められるなか、安全保障も取引の材料になっています。トランプ政権は日米安保に不満を募らせ、防衛費の増額を求めていますが、基地周辺では「戦争の拠点になってしまう」と心配する声も聞かれました。

【画像】国内最大級のアメリカ空軍基地で在日アメリカ軍司令部も置かれている横田基地

■トランプ氏、日米安保に不満

米軍機
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 東京・あきる野市の前田眞敬さんは、自宅から見える米軍機をほぼ毎日、撮影してSNSに投稿しています。

前田さん
「自分の家の上を飛んでいるわけでしょ。もしかしたら落ちるかもしれない。そういう恐怖なんです」

横田基地
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 フェンスの向こうに広がるのは、米軍施設「横田基地」です。東京都の立川市・福生市・昭島市など5市1町にまたがる国内最大級のアメリカ空軍の基地です。日米地位協定により、アメリカ軍人は出入国管理の手続きは必要ありません。一方、日本人が基地に入るには特別な許可証や身分証明書の提示が求められます。

 8年前にトランプ大統領が初来日し、兵士たちの大歓迎を受けた場所でもあります。

兵士たちの大歓迎を受けるトランプ氏
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 こうした米軍基地の運営や維持にかかる費用の一部は、日本側が負担しています。日米安全保障条約について、これまでトランプ大統領は条約の内容が不公平だとぶちまけ、不満をあらわにしてきました。

トランプ大統領(先月6日)
「我々は日本を守らなければなりませんが、日本は我々を守る必要がありません。一体、誰がこんな“ディール”を結んだのでしょう」

■安保保障も取引…さらなる防衛費の負担増も?

韓国首相と電話会談
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 矛先は、韓国にも…。

トランプ大統領のSNS
「韓国の首相と先ほど電話で話しました。素晴らしいディールができる可能性があります」

 トランプ大統領は、韓悳洙(ハン・ドクス)首相と電話で会談し、アメリカによる関税措置や在韓米軍の駐留経費について協議しました。

 貿易と安全保障を絡めて交渉することで、韓国から譲歩を引き出し、対米貿易黒字の緩和に加え、防衛費の増強も求めています。

日本に対しても…
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 つまり、日本に対しても日米安保の維持をディールの材料に使う可能性があるのです。

コルビー国防次官
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 トランプ大統領からの信頼が厚く、対中強硬派として知られるコルビー国防次官も日本に対し、防衛費をGDP比で少なくとも3%に増額すべきだと主張しています。

 日本は現在バイデン政権の求めに応じ、防衛費を2027年度にGDP比2%にすることを目指していますが、それを上回る負担を求められる可能性があるのです。

石破茂総理大臣
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 これに対し、石破茂総理大臣は先月5日に「日本の防衛費は日本が決める。他国に言われて決めるものではない」と述べました。

 総裁選では「日米地位協定の見直しに着手すべき」と勇ましかった石破節も、鳴りを潜めたままです。

■基地周辺の市民からは懸念の声

懸念の声
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 アメリカによる防衛費増強圧力が高まるなか、基地周辺の市民からは懸念の声が広がっています。

40代女性
「やっぱり落ちてくる心配があります」
「安心しては住めないかな」

60代女性
「自分の国は自分で守れっていう感じでしょ、トランプ大統領は。戦争の飛行機とかいろんな物は買わされるかもしれない」

寉田一忠さん
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 横田基地の撤去を求める市民団体の寉田一忠さんは、「戦争の拠点になるのではないか」と危惧します。

寉田さん
「極端なことを言うと、東京が標的になっちゃう」
「(Q.中枢機能が集まっているから?)そういうことです」

 米軍基地の存在が、トランプ大統領の“ディール”の材料の一つになっている現状…。

寉田さん
「何を言い出すか、しでかすか分からないトランプ大統領に反発が強くなっています。アメリカ国内が変化しないと解決は難しいなと思う」

(「グッド!モーニング」2025年4月10日放送分より)

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