
この時期相次いで発生している「お弁当の食中毒」。どうすれば防げるのか、専門家に聞きました。
■各地で発生「弁当の食中毒」
管理栄養士 浅野まみこさん
「暖かくなってくる季節なので食中毒が問題になってきます」

ゴールデンウィーク目前、暖かくなった今の時期に食中毒が急拡大します。今月に入り、都内でも集団食中毒が発生。大学で130人が仕出し業者の弁当を食べて、下痢や嘔吐(おうと)の症状を訴えました。
栃木市でも仕出し業者が調理した弁当を食べた72人が食中毒に。弁当を巡る食中毒が相次いでいます。
横浜にあるクリニックでは、例年この時期になると弁当による食中毒患者が多く訪れるといいます。

横浜フロントクリニック 井上哲兵理事長
「よくあるパターンとしてはお弁当関連ですよね。作る時に手洗いをせずにおにぎりを握ってしまったり、食品を触ってしまったり。作成後にしっかりと保冷しないで持ち歩くと、弁当の中で雑菌、特に黄色ブドウ球菌が増えて食中毒を引き起こすか」
今年はすでにこんな患者も…。

井上理事長
「暖かい日が続いてたと思うが、そういう時にBBQをしていた人がいて、実際に酒の勢いとBBQの雰囲気に流されて、口にして…まずいかなと思ったが(生肉を)食べてしまった人がいた。翌々日ぐらいだったと思うが、発熱と嘔吐、下痢という症状で」
「BBQ」と「弁当」。行楽シーズンに欠かせないものが春の食中毒の原因になっています。しかし、この2つには大きな違いがあるといいます。

井上理事長
「お肉の場合は数日、2~3日ぐらい発症までの時間があるが、黄色ブドウ球菌、弁当類の食中毒だと数時間以内に症状が出始める。つまり外出先で症状が出始めてもおかしくない。帰り道、つらい思いをして帰ってこなければいけないことがある」
■専門家に聞く!3つの対策

ゴールデンウィークの旅先では、なんとしても避けたい弁当による食中毒。そこで取材に向かったのは東京・調布市。50年に一度しか見ることができない仏像を26日から特別公開する深大寺です。

ナンジャモンジャという花が見ごろを迎え、さらに深大寺の隣には満開のツツジが咲き誇る植物園も。連休が短い今年のゴールデンウィークにオススメの近場観光スポットになっています。
そこには、弁当を片手にピクニックをしている人がいました。一体、どのように食中毒対策をしているのか聞いてみると…。
70代
「気温が高くなってくると、お昼までの間に中のほうが痛んでる時があるかもしれない。冷ましてから詰めるとか」
20代
「夏になったら、保冷バックに保冷剤を詰めて」
「(Q.きょうは?)きょうは特に何も…。まだ春なので油断している」
70代
「梅干しを多めにしたり、ご飯に酢を入れたり工夫している」
皆さんの対策は効果的なのでしょうか。その道のプロ、管理栄養士の浅野さんに、食中毒になりにくい弁当の作り方を教えてもらいました。

浅野さん
「食中毒の3原則。『つけない』『増やさない』『やっつける』。この3つを考えながらお弁当を作っていただけるといい」
食中毒対策の3原則を守ってどのように弁当を作ればいいのか。まずは「つけない」。おかず作りの前に大事なことがあります。

浅野さん
「『つけない』というのは、弁当のご飯、食品の中に菌をつけないようにするのでしっかり手を洗う。弁当箱自体を消毒していただく。そういったことが必要になってきます」
「お弁当を詰める前に、まず弁当箱をお酢で拭いていただくというのがいい方法です」
他にもアルコール度数が高いお酒でも効果があるといいます。食べ物を詰める時に、手ではなく箸で詰めることも重要です。
続いては「増やさない」。意識するべきは水分です。

浅野さん
「仕切る時にレタスなどを使う人もいるが、野菜は水分が出てきてしまうので、レタスは使わずにバランなどで対応していただくというのも重要です。水分が付いているところから菌が繁殖していきますので、なるべく弁当の中には、水分が出やすいものを極力入れない・出さないということが大事」
さらに、水分を出さないためにある食材が活躍するといいます。
浅野さん
「水分が出やすいものを入れたい時は、すりごまやカツオ節を下に敷く。ホウレンソウや酢のものなどに合わせていただくと、おいしくなる食材」

梅干しやシソの葉など、防腐効果が期待できる食材を入れることでさらに食中毒のリスクは下がるといいます。
そして三原則、最後の一つが「やっつける」。皆さんはしっかり加熱していますか?

浅野さん
「菌を最初から死滅させる。しっかりと中心部まで加熱をして入れるというのが大切になります。冷凍しているものは一度加熱。電子レンジで構いませんので、加熱を入れてから入れる」
「お肉も中心部まで火を通してから入れる。卵も半熟で入れてしまうと菌が増えてしまうので、しっかりと固ゆでまでゆでて、加熱をしてから入れるというのが大切」
「これから食中毒が増える時期ですので、しっかり対策をして防いで頂ければと思う」