【AFCチャンピオンズリーグ・エリート】アル・ナスル 2-3 川崎フロンターレ(日本時間5月1日/キング・アブドゥラー・スポーツシティ・スタジアム)
サッカー史上に残るスーパースターの心を折るかのような“2連神セーブ”だった。川崎フロンターレのGK山口瑠伊が、アル・ナスルのFWクリスティアーノ・ロナウドのFKとミドルシュートの連続ストップ。大きな話題となっている。
川崎フロンターレは日本時間5月1日、AFCチャンピオンズリーグ・エリート準決勝でサウジアラビアのアル・ナスルと対戦。ポルトガル代表FWのC・ロナウドをはじめ、セネガル代表FWのサディオ・マネ、元クロアチア代表MFのマルセロ・ブロゾビッチ、コロンビア代表FWのジョン・デュランなど欧州で活躍したタレントを擁するスター軍団に3ー2で勝利し、クラブ史上初となるACLE決勝へと駒を進めた。
試合終盤の川崎Fはアル・ナスルの猛攻を食らい、何度もピンチに見舞われた。中でも危険だったのが、90+5分だ。自陣ペナルティーアーク手前でファウルを犯し、アル・ナスルにFKの機会を与えてしまった。
ボールの前に立つのは、C・ロナウドとマネ。先に助走を取り、そのまま左足を振り抜いてきたのはC・ロナウドだった。79分と90+2分にもほぼ同様の位置でFKを蹴る機会があったが、いずれもシュートは壁に直撃。しかし今回は、右足で低弾道の強烈な一撃を放つとボールは壁の間を抜け、そのままゴールマウスを捉えた。
この大ピントで立ちはだかったのが山口だ。超高速かつ手前でワンバウンドしてくる難易度の高い低弾道シュートに対し右足を投げ出して反応。渾身の一撃をかき出し、26歳の守護神は両こぶしを力強く握ってシャウトし、逆にC・ロナウドは天を仰いだ。
ただこれでプレーは途切れず、アル・ナスルの攻撃は続く。マネがこぼれ球を拾うと、ボールはFWウェズレイを経由して再びC・ロナウドの元へ。そのまま中央に切り込んでいき、右足を一閃。ドライブ回転がかかった強烈なシュートは、味方と相手の狭い間を抜けてもう一度ゴールマウスに襲いかかってくる。しかし山口は、即座に身体を倒してキャッチで対応。連続でシュートを防がれたC・ロナウドは思わず両手で頭を抱え、「なんでだ」と言わんばかりの表情を浮かべた。
実況の桑原学氏は、「見えにくかったと思いますが、こぼしもしませんでした」とその凄みを伝えた。そしてリプレイでは直前のFKの様子が映し出され、ここでのセーブに対しても「いやぁ、これはよく足を出しました」と感嘆していた。
試合の行方を大きく左右した山口の2連続セーブには、SNSでも驚きと称賛が殺到。「これは見た目以上に難しいスーパーセーブ」「スーパーすぎる」「2本連続クリロナ!」「こぼさなかったの本当に凄い」「神ってる!」「神セーブ2連発!特にFKの方は本当にヤバかった…」「CR7のスローでも球が見えないレベルの高速でバウンドさせたシュートを壁で遮られてる中、読みきって弾いたんじゃなくて脚で蹴り返した。絶対常人じゃない超反射神経の持ち主」「神の領域に到達」「長年ロナウドを見てた身としては壁を越す心配はなくて入るとしたら下だろうなと思ってたから、それを止めたのはお見事」などの反響が出るなど話題となった。
山口は試合後、クラブ公式HPを通じてコメント。「終盤にクリスティアーノ・ロナウド選手のフリーキックが多くなって、だんだん距離が近くなってきた。2回ぐらい壁に当たって上を狙っているんだろうなと思っていて、最後のフリーキックは2回失敗しているからGKのほうを狙ってくるかもしれないという感覚があった。自分のサイドをしっかり守って、あとは壁に任せた結果、みんなの力で止めることができた」と冷静に語った。
そして日本時間5月4日の決勝に向けて、「次は決勝戦。本当にみんなの力が必要な一戦だと思う。決勝の舞台を楽しんで、優勝を目指してチーム全員で戦いたい」と決意を口にした。相手のアル・アハリ・サウジは、イヴァン・トニー(イングランド代表)、ロベルト・フィルミーノ(元ブラジル代表)、リャド・マハレズ(アルジェリア代表)など強烈なアタッカー陣を擁するだけに、クラブ史上初のアジア制覇には山口を中心とする守備陣の踏ん張りが鍵になりそうだ。
(ABEMA de DAZN/AFCチャンピオンズリーグ・エリート)



