トランプ政権がハーバード大学を狙い撃ちにしたさまざまな措置を取り、留学生や研究者からは不安の声があがっている問題。
中国はこの混乱をどう見ているのか。中国事情に詳しいジャーナリストで千葉大学客員教授の高口康太氏に聞いた。
「1つは大きなチャンス。中国は、優秀なエリートが過去何十年にもわたって海外に流出してきたという思いを持っている。優秀な人材は、アメリカやイギリスで働くのが当たり前だった。それを取り返したいと中国は考えていたところに、今回はアメリカのほうから優秀な外国人研究者を追い出そうという動きが出てきた」
では、自国の研究者の呼び戻しにつながると考えていいのか。
「ある程度はつながる。今、中国の人がアメリカに居続けることが非常にリスキー。第1次トランプ政権の時にチャイナイニシアチブという政策が実施されて、スパイを摘発する名目で多くの中国人の研究者が取り調べを受けた。ほとんどが冤罪だったが、その時点でもかなり嫌気がしていた」
「ただ、中国も今の景気はよくなく、競争が激しい。中国のトップ大学の一番いいポストにつける人は戻って正解だとは思う。しかし、例えば地方大学などには、偉い先生の鞄持ちをするなど、古い世界が残っているところもある。また、研究内容についても、政治的にホットな話題にはお金がつくというように限定されることも多いと聞いている。」(高口康太氏)
中国人留学生や研究者に対する姿勢は、今後のアメリカにどのような影響を及ぼすのか。
「そもそもアメリカに行く中国人留学生の数も減っている。これはアメリカにとってすごく問題。トランプ政権を支える人材の中でもイーロン・マスク氏やテック系の人たちは『留学生を増やし、外国人エンジニアを増やして』と言っていたが、彼らがポジションを失ってトランプ政権の中では排外主義的な人が増え、『高度人材も含めて追い出した方がいい』と言っている。そうすると、長期的に見てアメリカのイノベーションの力は落ちても不思議じゃない」
(『ABEMAヒルズ』より)
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