アニメ「機動戦士Zガンダム」の主人公カミーユ・ビダン(CV:飛田展男)ほど容赦なく不幸に見舞われた少年がいただろうか。最終話で精神が崩壊してしまったことばかりが語られがちだが、そこに至るまでの過程を振り返れば、その結末も“必然”だったように思えてくる。
まず、両親が相次いで命を落とす。母ヒルダはティターンズに人質として捕らえられた末に、宇宙に投げ出されて死亡。父フランクリンも、息子を裏切るような形で戦死する。戦火の中とはいえ、16歳の少年には過酷すぎる現実だった。
さらに作中では、なぜか合計26発も殴られている。ジェリド、ブライト、ベルトーチカ、レコアなど、味方も敵も関係なくカミーユは何度も拳を食らう。モビルスーツだけでなく、生身でもボコボコにされる主人公というのは、かなり珍しいケースではないだろうか。
そして追い打ちをかけたのが、ニュータイプや強化人間たちとの別れだ。フォウ・ムラサメやロザミア・バダムといった強化人間たちは、彼が心を通わせた末に命を落とし、戦場で別れを迎える。さらに敵ながらカミーユの心に揺らぎを与えたサラ・ザビアロフも、最期は命を散らした。加えて、戦友であるカツ・コバヤシまでもが命を落とす。
人の死を鋭敏に感じ取ってしまうニュータイプだからこそ、その喪失の連鎖は、彼の心を少しずつ削っていった。
シロッコとの決戦、勝利の代償に日本語
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