上智大学教授・前嶋和弘氏
【映像】米軍のバンカーバスター

 イスラエルとイランの停戦合意。トランプ大統領は「自分が早く終わらせた」と主張している。

【映像】米軍のバンカーバスター

 6月13日、イスラエルがイランの核関連施設などを空爆。21日には、アメリカがイランの核施設の攻撃を発表した。

 23日、トランプ大統領がイスラエルとイランの停戦合意を発表。その後、イスラエル、イラン双方が攻撃を受けたと主張していたが、トランプ大統領は「イランに対しても不満はあるが、イスラエルに対してはかなり不満だ」という発言をしていた。

 トランプ大統領は「自分が早く終わらせた」としているが、どのように受け止めたらよいのだろうか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターで、アメリカ現代政治外交が専門の上智大学・前嶋和弘教授は以下のように述べる。

「早く終わらせた、というのはある意味正しい。大きかったのが、イスラエルがイランの核施設を空爆したことだ。空爆する前にはスパイのようなものを送っていて、イランのミサイルを防衛する防空システムを潰し、イランは制空権を取られてしまった。イスラエルは、さらにアメリカ側にバンカーバスターを使ってくれと言って、アメリカはそこに乗った。要するにアメリカは勝ち馬に乗った形だ。イスラエルの意図に乗ってイランを攻撃し、イラン側にダメージを与えたことで早く物事が進んだ。イランとしては、渋々飲まざるを得ないというのが今の現状だ」(上智大学・前嶋和弘教授、以下同)

 では、アメリカの攻撃など一連の動きを世界はどうみているのか。

「ヨーロッパは比較的、日本以上にこの攻撃を賛成する声は多い。日本は石油ショックなどもあり、イランとの関係作りもしっかりしている。おそらくヨーロッパ諸国以上にイランとは近い関係なので、日本から見たらイランが一方的にやられているのはまずいように見える」

「しかし、ヨーロッパから見たら、今回イスラエルの安全が一定程度守られ、イランの各濃縮は一定程度先延ばしされたので、好意的に見ているところが多いと思う」

 アメリカの攻撃については、「ルール無視」との指摘もある。

「アメリカの情報当局は、イランが核を持てるのは数年後だと直前まで言っていた。しかし、トランプ大統領は自分の国があげてくる情報ではなく、イスラエルを信じて攻撃に入っていった。そもそも国際的なルールを守っておらず、国連で説明もなかった。国内的にも議会には共和党の一部に伝えただけだった。このやり方が一種のデフォルトになって、今後も何かあった際に、国際社会やアメリカ国内にも説明せずに攻撃するようなことになってしまうかもしれない」

(『ABEMAヒルズ』より)