AI研究者・今井翔太氏
【映像】石川県出身の今井氏が語る“能登地震”
この記事の写真をみる(2枚)

 7月30日、ロシア・カムチャツカ半島付近で地震が発生し、太平洋側を中心に日本各地でも津波を観測するなどの影響が出た。

【映像】石川県出身の今井氏が語る“能登地震”

 防災・災害対策へのAI利用についてどう考えるか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターで石川県出身のAI研究者・今井翔太氏は、このように述べた。

「僕は2017年に国のプロジェクトの災害対策システムの開発者だった。ただ、その時はAIを取り入れたいとは言っていたが、実際、使っていたのは全然AIではなくて、単なるシステム開発のようで、当時の僕がいた時点ではまだだったという認識」

「保険会社は災害が関わってくる会社なので、専用のAI開発をしている。グローバルでみると、災害の予想、台風や破滅的な天候をかなり高い精度で予想できるAIが出てきているので、それはかなりいい傾向」

 被害が起きてからのAI活用はどのようになっているのか。

「被害状況を画像から認識するAIがある。あとは、災害時は通信が切れてしまうのでロボットを危ないところで動かしたくても人間が遠隔操作ができない。自律的に動くロボットを将来は動かして、災害時に自律的に復興に活かせたらというのはある」

 AIテクノロジーは学習のための材料が必要になる。巨大な災害を今のAIで予測できるのか。今井氏は次のような見解を示す。

「例えば、マグニチュード8.8みたいなものだと、世界の観測史上でも10例あるかないかだと思う。今のAIは基本的にデータが命なので、最近の生成は何兆とかのレベルで学習するが、災害データが10個や1桁だとやはり学習データが足りない。巨大な災害を今のAIで予測できるかというと難しい」

 データ数が少ない巨大地震だからこそ、人の命が奪われてしまう状況をAIはどこまで貢献できるのか。

「やはりデータを観測する点を増やさないといけない。AIは勝手に性能が上がっていく。ただ、どれだけAIが賢くても入力するデータがないとどうしようもない。単なる妄想になるので、必要なデータを持ってくるときに、地震は地下の何十キロとかの世界なので手を出しにくい。海底や海の状況を取れるデータはいっぱいある。そういうところはAIの開発競争だけだと整備されないところなので、独立した形で国やあるいは企業が整備してほしい。おそらく整備されると、我々が開発しているAIが完璧に予想できるかわからないが、割と高い精度で予想できるようになる」

(『ABEMAヒルズ』より)

この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(2枚)