■国連の存在意義は何か
吉川氏によると、1956年の日本の国連加盟時には、「世界が“平和愛好国”として受け入れてくれたと、新しい希望に燃えた」という。「当時の気持ちを思いだして、『豊かな国が豊かでない国を助ける』『戦争がないようにする』ことを目的にする。国連は第3次世界大戦を防ぎ、難民問題や開発で成果を出している。日本は平和愛好国として、途上国や貧しい国を助けるために外交している」。
一方で「国連の評価は国によって違う。アフリカやアジア、ラテンアメリカでは、医療や教育で『いいことをしている』と言うが、日本では恩恵を感じていないと言われるかもしれない」と語る。
また、「比較的豊かな国々が、貧しい国々を底上げするおかげで、観光や貿易が栄える。これらが、大きい意味で日本のイメージ作りになる。金銭には換算しづらいが、日本の好感度を支える一部として、国際機関を通した活動もある」との見方も示す。
古森氏は、日本における「国連万能主義」に警鐘を鳴らす。「『国連軍が駐留すれば日本独自の防衛は要らない』『外交は国連に従えばいい』といった誤解をたださなければいけない。国連は日本にとって芳しくない行動も取ってきた。人権理事会が任命した特別報告者が『皇室の男系優先は女性差別だ』『日本の女子学生の13%が援助交際している』と報告したこともある」。
加えて、人権理事会の課題について、「50カ国近く参加しているが、人権弾圧を自らやっているとされる中国やキューバ、ベトナムなども入っている。それは自国に対する国連の批判をかわすためだ」と指摘する。
具体例として「日本が拉致問題をめぐり、北朝鮮を非難する決議を出した。その時、過半数は通過したが、約20カ国が反対・棄権した」と紹介し、「特別報告者が『日本には報道の自由がない』と断定した。錦の御旗のもとで、あがめてしまう人もいるが、客観的に見た方が良い」と求めた。
(『ABEMA Prime』より)

