アニメ『黄泉のツガイ』ティザービジュアル
原作・荒川弘のアニメ『百姓貴族』をみる

 『鋼の錬金術師』などの重厚なファンタジー作品をはじめ、農業高校をテーマにした『銀の匙 Silver Spoon』など数々のヒット作を生み出しているマンガ家・荒川弘(あらかわ ひろむ)氏。2026年4月には「月刊少年ガンガン」で連載中の『黄泉のツガイ』がアニメ化されることが決定しています。

【映像】原作・荒川弘のアニメ『百姓貴族』第1話

 この記事では荒川氏の連載中の作品や過去作、顔出しはしているかなどの情報をまとめました。

目次

  • 荒川弘氏のプロフィール|性別や顔出しについて
  • 荒川弘氏の連載漫画は?
  • 現在連載中の漫画やアニメ化した漫画は?
  • 荒川弘氏が語る漫画制作について
  • 荒川弘氏は結婚している?
  • X(旧Twitter)などのSNSはやっている?
  • まとめ

荒川弘氏のプロフィール|性別や顔出しについて

 荒川弘氏は1973年5月8日生まれ、北海道出身の漫画家です。幼少期から絵を描くことが好きで、初めて自分で買った漫画は『うる星やつら』。姉弟が多かったため、さまざまな漫画雑誌や漫画が家にあり、物心ついた時には家族の中で楳図かずお(うめず かずお)氏の漫画がブームだったとのことです。

 実家が酪農と畑作をしている農家で、主な生産物は牛乳とじゃがいも。荒川氏は農業高校を卒業していて、漫画家になる前は7年間北海道で農業に従事していました。アニメ化もされた荒川氏のエッセイ漫画『百姓貴族』では、荒川氏の実体験をもとに農業のあるあるや実家の家族について描かれています。なお、アニメ『百姓貴族』では声優の田村睦心(たむら むつみ)さんが荒川氏を演じています。

 荒川氏は1999年に「月刊少年ガンガン」に掲載された読切『STRAY DOG』で商業誌デビュー。2001年に初連載作品『鋼の錬金術師』が「月刊少年ガンガン」に掲載されて大ヒットしました。

 『鋼の錬金術師』の最終話が掲載された「月刊少年ガンガン」2010年7月号は、前号よりも発行部数を2割増やしたものの完売が相次ぎ、「月刊少年ガンガン」2010年9月号に最終話が再掲載されました。

 『鋼の錬金術師』は2004年に「第49回小学館漫画賞」少年向け部門を受賞、2011年に「第15回手塚治虫文化賞」新生賞と「第42回星雲賞」コミック部門を受賞。2013年には『銀の匙 Silver Spoon』で「第58回小学館漫画賞」少年向け部門を受賞。最新作の『黄泉のツガイ』は2023年に「次にくるマンガ大賞2023」コミックス部門で第2位に選出されています。

性別は?顔出しはしている?

 荒川氏は名前などから男性だと勘違いしている人もいますが、女性の漫画家です。

 おまけ漫画や単行本のカバー折り返しなどでは、眼鏡をかけた牛のイラストを自画像として使用しています。顔出しはしておらず、過去にテレビ番組に出演した際にも牛のイラストで顔が隠されていました。自画像の牛のイラストは実家が牧場経営であることや、丑年生まれで牡牛座なことに由来しています。

荒川弘氏の連載漫画は?

連載1作目『鋼の錬金術師』

 荒川氏の連載デビュー作は、「月刊少年ガンガン」にて連載された『鋼の錬金術師(はがねのれんきんじゅつし)』です。

 略称は『ハガレン』でコミックスは全27巻、全世界でシリーズ累計発行部数8000万部を突破。錬金術師の主人公エドワード・エルリックが弟のアルフォンスとともに禁忌の錬成術によって失った体を取り戻すため、絶大な力を持つ「賢者の石」を探すダークファンタジーです。完結後も実写映画化や舞台化されるなど、根強い人気があります。

連載2作目『獣神演武』

 連載2作目は『ハガレン』連載中の2006年〜2010年に発表された『獣神演武(じゅうしんえんぶ)』です。

 『獣神演武』はテレビアニメ作品で、荒川氏は漫画版の作画(シナリオは社綾氏)を担当していました。コミックスは全5巻。主人公が元服の祝として受け取った剣を奪われてしまい、剣を取り戻す旅に出るという物語です。

連載3作目『百姓貴族』

 『獣神演武』と同じく2006年から連載がスタートしたのが『百姓貴族(ひゃくしょうきぞく)』です。

 『ハガレン』や『獣神演武』とは違ってストーリーものではなく、農業をしていた荒川氏の実体験に基づくエッセイコミックで、家族とのエピソードや農家のあるあるネタなどが綴られています。

連載4作目『銀の匙 Silver Spoon』

 荒川氏が初めて週刊誌で連載したのが『銀の匙 Silver Spoon(ぎんのさじ シルバースプーン)』です。2011年〜2019年まで「週刊少年サンデー」で連載されました。

 農業高校を舞台に、主人公が農業や酪農の体験を通じて成長していく青春ストーリー。コミックスは全15巻で、シリーズ累計1700万部を突破しています。2014年に実写映画化されました。

連載5作目『アルスラーン戦記』

 『銀の匙 Silver Spoon』連載中の2013年から月刊誌「別冊少年マガジン」で連載が始まったのが『アルスラーン戦記(アルスラーンせんき)』です。

 田中芳樹(たなか よしき)氏の同名小説の漫画化ですが、一部小説版とは異なる展開があるなど荒川氏のアレンジが入った少年漫画となっています。架空の王国を舞台に、王子・アルスラーンの戦いを描いたファンタジーです。

連載6作目『黄泉のツガイ』

『黄泉のツガイ(よみのツガイ)』は2022年から「月刊少年ガンガン」で連載されているファンタジー漫画です。

 山奥の村落に暮らしていた少年・ユルが、突如として現れた襲撃者たちと戦うことになり、村の秘密や双子の妹の真実を知ってしまうストーリー。テレビアニメ化が決定していて、2026年4月から連続2クールで放送予定です。

現在連載中の漫画やアニメ化した漫画は?

 荒川氏は2025年11月現在、月刊誌で2作、隔月誌で1作の合計3作品を連載中です。連載タイトルは以下の通りです。

・『百姓貴族』:ウィングスで連載中
・『アルスラーン戦記』:別冊少年マガジンで連載中
・『黄泉のツガイ』:月刊少年ガンガンで連載中

 「週刊少年マガジン」に掲載されていたルポ漫画『ルポ魂!』では、作者の船津紳平氏が荒川氏の仕事場に行って取材する回があります。連載を掛け持ちしている荒川氏に漫画を描くスピードを上げるためにはどうしたらいいかと船津氏が尋ねたところ、荒川氏は「大量に描くことですね」と答えました。『ハガレン』と並行して『獣神演武』を描いていた時に「めっちゃ速くなりました」とのことです。

アニメ化した作品は?

 2025年7月開催の「Anime Expo 2025」にて、『黄泉のツガイ』のアニメ化がサプライズ発表されました。これにより、荒川氏の連載漫画のすべてがアニメ化されることが決定しました。『黄泉のツガイ』は2026年4月放送予定です。

 『鋼の錬金術師』は、2003年10月〜2004年10月にアニメ化され、原作漫画の内容を含みながらもアニメオリジナルストーリーも多く盛り込まれました。その後、2009年4月〜2010年10月に『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』のタイトルで原作漫画に沿った内容で再アニメ化されています。

 『獣神演武』は、2007年10月〜2008年3月にかけて『獣神演武 HERO TALES』のタイトルでアニメが放送。『百姓貴族』は6分のショートアニメとして制作され、2025年10月から3期が放送中です。

 『銀の匙 Silver Spoon』と『アルスラーン戦記』はどちらも2期まで放送されています。

荒川弘氏が語る漫画制作について

 インタビューでネーム制作について問われた荒川氏は、最初に絵コンテを作成してその次に通常のネームを描くため、ネームを2回描いているようなものですねと返答しました。絵コンテを使うことで、もっとわかりやすい伝え方がないか、省略できる箇所がないかなどを考える機会が増えるとのことです。

 ファンタジー世界を描くうえでリアリティを出すために意識していることを聞かれた際には、モブキャラクターの生活を丁寧に描写することを特に意識していると回答しました。

 ルポ漫画『ルポ魂!』にて、『鋼の錬金術師』の連載が始まった当初のことを聞かれた荒川氏は、作品のイメージをふくらませるために資料を読んだり戦争経験者に話を聞きに行ったと明かしています。『鋼の錬金術師』の連載が決まった時に締め切りが1か月後だと言われて、慌てて友人に漫画を手伝ってほしいと電話したとのことです。

 主人公を描くうえで大切にしていることは、「友達を裏切らない」「何かに一生懸命」だと答えました。また、「読者が入りやすいかどうか」も意識していて、「週刊少年サンデー」のアンケートで将来に悩んでいる読者が多いことがわかったため、『銀の匙 Silver Spoon』では将来に悩んでいる主人公にしたと話しています。

荒川弘氏は結婚している?

 荒川氏は結婚していて、子どももいます。代表作の『鋼の錬金術師』の連載中に妊娠・出産を経験していますが、完結まで一度も休載することはありませんでした。

 『銀の匙 Silver Spoon』の連載中の2014年には、「少年サンデー」のHP内のコンテンツ「まんが家バックステージ」にて3人目の子どもが生まれたことを明かしています。

X(旧Twitter)などのSNSはやっている?

 2025年11月時点では、荒川氏はXやInstagram(インスタ)などはやっていません。

 過去のインタビューでSNSをやらないことについて、ネットに時間を使うなら子どもに時間を使いたいと語り、何かあった場合は漫画に描くタイプなので漫画を描いて発散していると答えました。

まとめ

 漫画家・荒川弘氏は、北海道出身の女性です。代表作には『鋼の錬金術師』『銀の匙 Silver Spoon』などがあります。漫画のおまけページやインタビューなどで自画像を描く際には、眼鏡をかけた牛のイラストを使用しています。

 2025年11月時点で連載中の作品は、『百姓貴族』『アルスラーン戦記』『黄泉のツガイ』の3作です。『黄泉のツガイ』が2026年4月にアニメが放送されるため、荒川氏の連載作品のすべてがアニメ化されることになりました。

(C)Hiromu Arakawa/SQUARE ENIX
(C)Hiromu Arakawa/SQUARE ENIX, Project TSUGAI