弁護士・三輪記子氏
【映像】「土下座の要求」など…教員への“カスハラ”事例
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 教職員の休職者数が過去最多となった。その背景にある“カスハラ”問題を弁護士と考える。

【映像】「土下座の要求」など…教員への“カスハラ”事例

「“うちの子がおたくのクラスの子ににらまれた”という理由で、深夜1時まで電話」「“子どもが家の壁をけって穴をあけた”“学校のストレスだ”と家に呼び出された」(奈良・天理市 教職員へのアンケート)

 これは現役の教員らが受けたと回答した“保護者からの理不尽なクレーム”事例だ。教職員の精神的なストレスによる休職者の数が過去最多となるなか、「保護者への対応」が要因となるケースが問題になっている。

 東京都では公立学校教職員のうちの22%が、『保護者などから暴言や過剰な要求などを受けた経験がある』と回答している。学校における教員が受けるカスタマーハラスメントを防ぐため、都の教育委員会は11月6日、保護者らへの対応策をまとめたガイドラインの骨子案を公表した。

 案には保護者対応の具体的な流れを明記しており、「平日の放課後に原則30分まで対応」「対応の記録を残すため、面談や通話は録音を必須」「社会通念を超える言動の保護者等には、教職員5名程度で対応」「明確な暴言と暴力のほか居座り等の場合は警察に通報」など、段階や状況に応じた細かいガイドラインが示されている。また事後のフォローとして、教職員のメンタルヘルスケアも実施するとしている。

 ニュース番組『わたしとニュース』のハレバレンサーで弁護士の三輪記子氏は、以下のように見解を示す。

「例えば、土下座を強要されるようなことがあれば強要罪にあたるなど、法律で対応できる部分もある。ただ、先生たちにとって大きな悩みは、罪には問えないレベルのものの積み重ねで、それがじわじわと辛くなってくるのではないか」(三輪記子氏、以下同)

「実例であったように、深夜1時までは対応しなくて良いと思う。しかし熱心な先生であればあるほど対応して自分が潰れてしまい、本来業務ができなくなるのが一番問題だ。先生は、学校の現場で子どもたちを教育することが仕事であるにも関わらず、保護者対応が大変だとなると、本来業務ができなくなってしまう。業務に集中してもらうためにどういう仕組み作りが必要かという観点で考えていくと良いと思う」


(『わたしとニュース』より)

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