小泉防衛大臣
【映像】与那国島を訪問し写真撮影をする小泉防衛大臣

 小泉進次郎防衛大臣は25日の記者会見で、与那国島のミサイル配備計画について中国が「軍事的な対立を扇動している」と批判したことに対し、「他国を攻撃するものではない」と反論した。また、こうしたミサイル配備が国会で「ミサイル列島」と批判されたことについても、「ミサイル列島だというようないわれは全く当たらない」と反論した。

【映像】与那国島を訪問し写真撮影をする小泉防衛大臣

 会見で記者が「大臣は先週末、台湾に近い与那国島を訪問し同町で進められるミサイル配備計画について『地域の緊張を高めるという指摘は当たらない』と発言しました。これに対し中国外務省の報道官は『地域の緊張を故意に引き起こし、軍事的な対立を扇動している』と批判しました。中国の見解は大臣と真逆ですがこのような批判に対する大臣のお考えを聞かせてください」と質問。

 小泉大臣は「中国側の発言の一つ一つについてコメントすることは差し控えますが、その上で申し上げれば、そもそも与那国駐屯地への配備を計画している中距離地対空誘導弾部隊は、我が国に侵攻する航空機やミサイルといった様々な経空脅威に対処するための防空任務を担う部隊であり、島の安全を守る、日本を守るための部隊であります。つまり、これは防御を目的とした装備品でありますので、他国を攻撃するものではありません。また日本全国各地に配備されているものであります。そして与那国島への地対空誘導弾部隊の配備についてのこうした我が国の考え方は、今回初めて言ったものではなくて、2022年、今から3年前に部隊配備を公表して以来、継続してご説明を続けてきました。防衛省としての立場は、当時も今も変わりなく一貫しています」と答え、中国側の批判はあたらないとする考えを示した。

 さらに、「実際ウクライナ侵略においては、ロシア軍はウクライナ全土に対するミサイル攻撃などを活発に行って、市民の生活にとって重要な電力網を始めとするインフラに被害を与えています。国民の皆様の命と暮らしを守り抜いていく上で防空ミサイル防衛は不可欠の能力であることが今、改めて立証されてると思います」とミサイルの必要性を強調。昨日も中国のものと推定される無人機が与那国島と台湾との間を飛行したことを明かしたうえで、「中国は、我が国周辺での活動を活発化させていますが、今回のように無人機の活動も活発化させています。こうしたことから、23日の会見で申し上げた通り、今般の与那国島への部隊配備が地域の緊張を高めるものではないことは明らかですが、その上で、諸外国に対しては、防衛力強化のための取り組みは、専守防衛の考え方を堅持した上で行うことや、平和国家としての歩みを変えるものではない。こういったことそして国の安全保障政策の具体的な考えを明確にして、透明性をもって防衛政策を推進してまいります」と答えた。

 また、中国側の主張に対して、「情報戦、認知戦、そういったことについても行われている状況の中でしっかりと我々も『違うものは違う』ということは常に発信をしていかなければならないと思いますし、報道機関などを通じてですね、そういったことを流布をする。こういったことも作戦の一環としてやられるところもありますからそこをしっかりと国民の皆さんに正しい情報を提供するという役割が今後さらに非常に重要なことだと思っています」と話した。

 さらに記者が「南西地域は防衛の空白エリアと言われてきた。この10年で陸上自衛隊の駐屯地が相次いで開設されているが、その先に中射程ミサイルの配備が必要不可欠と考えるか?」と質問。

 小泉大臣は「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で南西地域における防衛体制の強化は喫緊の課題ですから、これまで南西地域の陸自部隊の空白地帯であった与那国島、奄美大島、宮古島、そして石垣島に部隊を配置してきました。私も11月22日、23日と宮古島、石垣島、与那国島を訪問して、部隊の状況を確認するとともに、厳しい勤務環境の中においても、高い士気と緊張感を持って24時間体制で日本を守るために働いている1人1人の隊員を激励できたことは大変有意義でしたし、本土から遠く離れた安全保障の最前線で任務に当たる隊員たちを誇りに感じました。今後も引き続き、第15旅団の師団への改編、こういったことなど、南西地域の防衛体制強化を着実に進めてまいります。また島嶼部を含む我が国に侵攻してくる敵の艦艇や上陸部隊を早期かつ遠方で阻止し、排除することが可能なスタンドオフ防衛能力をより迅速に構築できるように取り組んでいます」としたうえで、「なお、最近よく国会などでは、まるでそのことを“ミサイル列島”だというね、こういったミスリーディングな表現を使いながら、その思いをですね、党としての立場を訴えてるところがありますけどもぜひですね、他の国もね、どのような配慮をしてるのかも含めて考えていただければ日本がミサイル列島だというようないわれは全く当たらないということもあわせてしっかりと様々な機会でお伝えをしていければと思います」と話した。(『ABEMA NEWS』より)