26日に行われた高市早苗総理と、与党から野党に変わったばかりの公明党・斉藤鉄夫代表の党首討論では、非核三原則の問題が議論となった。
斉藤代表は「高市総理は“米国の拡大抑止と日本の非核三原則は論理的に矛盾する”と著書で述べています。そして日本政府では非核三原則の見直し、また国家安全保障戦略から削除するということが検討されているやに伺います。しかしそれでいいんでしょうか。抑止の論理そのものは否定しませんが、しかしそれだけで判断するのはいかがなものか。総理は『守るべきは非核3原則なのか国民の命か』と、このようにおっしゃっておりますけれども、それはあまりに拡大抑止論に傾いたちょっと日本の総理としてはアンバランスな姿勢を感じます。私は“国民の命を守るための非核三原則だ”とこのように思う次第です」と述べたうえで、「原爆資料館、そして被爆の実相に触れたG7の首脳の皆さんが“核戦争は2度と起こしてはならない”という強い決意を持って帰られました。そういう中にあって唯一の戦争被爆国の日本が、ある意味でぶれて、非核三原則を見直すようなことがあっては核廃絶は夢のまた夢だと私は思います。どうか総理、改めまして被団協をはじめとする被爆者の方々の声をもう1度聞いていただいて、考え直していただきたいと思いますけれどもいかがでしょうか」と質問。
高市総理は「まず非核三原則を政策上の方針としては堅持をしております。その上で持ち込ませずにつきましては2010年当時の民主党政権時代でしたが岡田外務大臣の答弁を引き継いでおります。つまり緊急事態が発生し、核の一時寄港ということを認めないと日本の安全が守れないというような事態が発生したとすればその時の政権が政権の命運をかけて決断し国民に説明するという答弁でした。今後、戦略3文書の見直しに向けた作業が始まりますが、明示的に非核三原則の見直しを指示したという事実はございません」と答えた。
斉藤代表は、「先ほどの岡田答弁、これは以後の総理大臣も継承しているということですが、当時これはあくまでも非核三原則は堅持すると、そういう立場の上で究極的な有事の際にその時の政府が命運をかけて判断するということでして、非核三原則を見直すということではありません。平時に前のめりにこの非核三原則を見直すということがあってはならない、このように思います」としたうえで「この非核三原則を初めて訴えて国会決議まで持っていったのは野党時代の公明党です。これはあくまでも国会決議です。ですのでいわゆる閣議決定、政府と与党だけで決めていいというものではないと思います。これらの見直しがあるならば、あくまでも国会でしっかり議論をして、国会の議決を経るべきだとこのように思いますけれどもいかがでしょうか」と詰め寄った。
これに対し高市総理は「日本は唯一の戦争被爆国でございます。私も核不拡散条約(NPT)これを非常に重視いたしております。このNPT体制のもとで、これ以上核が拡散しないように、そのための誠実な努力を日本は続けていかなければならないと考えるものです」とし、「今後しっかりと現実的な対応も含めて、そしてやはり日本が唯一の戦争被爆国としてこれまで国際社会の平和と安定にものすごく貢献してきたということも多くの国が知っていることでございますので、それらを総合的に検討しながら次の戦略3文書の策定も細心の注意をもって作ってまいりたい」と答えた。
ここで公明党の持ち時間が終了。斉藤代表が「もう時間が来てしまいました。先日ノーベル平和賞の箕牧(広島県被団協)理事長・・・」と話したところで「時間がまいっておりますのでおまとめください」と注意され、斉藤代表は「…とお会いしましたけれども『ぜひ(非核三原則を)堅持してほしい』という言葉を伝えさせていただいて終わります」とまとめた。
今回の党首討論の持ち時間は、立憲民主党28分、国民民主党8分、公明党6分、参政党3分だった。(『ABEMA NEWS』より)
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