政治分野のジェンダー不平等の解消を目指す「FIFTYS PROJECT」代表の能條子氏は、この「年収の壁」の議論に当初から疑問を持っていたという。

「なぜこの年収の壁ができたかというと、女性は働いても家事や育児や介護はできるだけやってほしい、その上で働いてくれる人には控除をつけますよ、というのがそもそもの経緯だと思う。今はそこに対する問題意識が見えない。ただ額を178万円に上げるだけだったら、男女の賃金格差はなかなか狭まっていかないし、企業がパート雇用をできるだけ安く使い続けられるようにするための延長策のようなところで終わってしまっている印象。このあたりはジェンダーの視点があれば変わっていく議論なのかなと思う」

 また、党首討論における野党の姿勢については「もう少し高市さんに切り込んでもいいのではないか。高市さんのユーモアを交えたような回答に対してなかなか返しが難しいところがあるのかもしれないが、これだけ高市政権の支持率が高い中で、下手に高市支持者の批判を受けたくないという感じになっているのではないか」と述べた。

 加えて「国会議員はネット世論を見過ぎているところがあると思っている。高市支持が強い中で政権に批判的なことを言うと、ネットの中ではたくさんの反応が返ってきてしまうため、トーンを抑えよう、抑えようとなっているのではないか。ネットは世論全体ではないし、きちんと自分たちの理念に沿ったことをもっと言っていけばいいと思っている」との見方を示した。

(『わたしとニュース』より)

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