立憲民主党の蓮舫参院議員が2日の参院の国土交通委員会で外国人の不動産取得問題を取り上げた。
【映像】蓮舫氏の“直球質問”に答える金子国交大臣(実際の様子)
蓮舫氏は冒頭、不動産経済研究所の調査結果を引用し、新築マンションの東京23区の平均価格が1億5313万円だったと指摘。「この10年でみても3倍近く値上がりしている。大臣、上昇の要因は何だとお考えでしょうか?」と聞いた。
これに対して金子恭之・国土交通大臣は「近年の住宅価格の上昇の背景には需要と供給の両面でのさまざまな要因があるものと認識していて、たとえば需要側としては利便性に優れた都心部等への堅調な住宅需要があり、また、供給側としてはそのような堅調な需要を背景として、用地の取得と利便性の高いところは用地も高いということもあり、用地の取得費の上昇、あるいは、資材価格や労務費の上昇に伴う建築費の上昇などが影響していると認識している。このような様々な要因の一つとしては、外国人による不動産購入による影響の可能性を指摘する声もあると承知しているが、価格上昇には需要と供給の両面で様々な要因があり、個別の要因の影響を特定するのは困難である。また、今回の不動産登記情報を活用した調査では、国内に住所がある外国人による取引の実態が把握できていないことなどから、本調査の結果をもって、マンション価格の上昇と外国人による取引との関係を申し上げることは困難だ。そのうえで住まいは生活の基盤であり、国土交通省としては、住宅ローン減税などによる住宅取得の負担軽減や、全期間固定金利の住宅ローンの提供、既存住宅流通市場の活性化などに取り組むことで住宅取得を望む方が安心して住宅を確保できる環境整備に取り組んでまいります」と答えた。
さらに蓮舫氏は首都圏でマンションの供給についても「2007年、首都圏に供給されるマンションは6万1021戸だったが、2024年には2万3003戸まで大幅に減少している。17年間で3分の1までマンションの供給が減っている」と指摘。こういった状況下で、「新築マンションを取得した者のなかで、国外に住所がある者の割合」を尋ねた。
国交省の担当者は「国外に住所がある者の取得の割合は、2024年は東京都が1.5%、23区が1.6%、都心6区が3.2%となっている。2025年上半期では東京都が3.0%、23区が3.5%、都心6区が7.5%となっています」と回答。
さらに蓮舫氏は「国外に住所がある者、は、国・地域別にみるともっとも多いのは中国か」と尋ねると「2025年の上半期の23区のデータで、新築マンションの取得者について、国・地域別にみると、一番多いのは台湾で192件。ご指摘の中国はその次は30件となっております」と国交省の担当者は答えた。
蓮舫氏は「こういうファクトをみないと、印象論や特定の国・地域が名指しされてSNSが炎上する、というのはあってはならない」と主張。また、国外に住所がある者が買った2億円以上のマンションの短期売買は0件で、2億円未満のマンション短期売買割合も国外に住所がある者は2.6%にとどまったことなどから、「海外に住む外国人が爆買いして、転売を繰り返して、マンション価格の高騰が意図的に引き上げられてるとは言えないような数値だと思うが、どうでしょうか」と大臣に質問した。
これに対して金子国交大臣は次のように述べた。
「委員のご指摘によって、局長から数値についてのお答えをさせていただいた。今回の調査では、国外の住所がある者による短期売買は件数、割合ともに、国内に住所がある者よりは低いものの、近年増加する傾向がみられる。今回の調査のもとになる不動産登記情報に国籍が含まれておらず、国内に住所のある外国人による短期売買の実態は把握できておりません。そのことから本調査の結果をもって、外国人による短期売買に関する評価を申し上げることは困難と考えております。私は繰り返し申しあげているが、日本人、外国人かを問わず、実需に基づかない投機的な取引は好ましくない、と申し上げているところだ。今回の調査結果をふまえ、業界団体ともにより一層緊密に連携しながら投機的取引の抑制に引き続き努めていく」(金子国交大臣)
蓮舫氏は「外国の方であろうと、日本の方であろうと、実需を伴わない投機的目的の取引。それが日本人のマンションの取得に影響があるのは好ましくないというのはまったく同じ認識ですし、そのご認識を評価させていただければと思います」と述べた。
また、登記情報に国籍がないことから今回の調査では「国内に住む者」が「日本人か外国人、日本法人か外国法人かわからない」とも指摘し、不動産登記に国籍の条項が追加される方向などを確認、政府側は「法務省で検討している」と答えた。(『ABEMA NEWS』より)
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