4日の参議院外交防衛委員会で、海底ケーブルの防護、防衛をどうするのかという議論が交わされた。
 
 国民民主党の山田吉彦議員が「非常に気になっているのが海底ケーブルの問題だ。国際的な情報交換の99%は海底ケーブルが担っている。世界には約450本の海底ケーブルがあり、日本には22本ほど敷設されている。近年、ヨーロッパのバルト海およびアジア台湾付近では、中国関係船により海底ケーブルが切断されるという事案が発生している。我が国における海底ケーブルおよび揚陸局の監視・防衛体制についてお伺いしたい」と質問。
 
 内閣官房の担当者が「海底ケーブルの防護については、通信事業者において、海底ケーブルの状況の常時監視、陸揚げ局の警備、障害発生時の体制の構築などの取り組みが行われている。また、冗長性を確保するため多ルート化も進められている。そのうえで政府においても不審情報を含め、海底ケーブルや陸揚げ局の状況を共有する体制を構築し、平素からの我が国周辺海域の警戒監視の実施、陸揚げ局の警備支援、海底ケーブルの多ルート化や陸揚げ局分散化への支援、国際連携の強化など、関係省庁が連携して海底ケーブルの防護に必要な取り組みを実施している」と答えた。
 
 これに対し山田議員は「いまのお答え、私が非常に不安に感じているところです。“各省庁の協力”という言葉だけであり、これは誰が責任をもって対処するのか? 海底ケーブルを切られると国際的な決済方法も寸断されてしまう、情報交換もおきないような状況になる。それに対して責任機関が不明確であると感じる。現状での責任機関というのはどこにあるのか?」と質問
 
 内閣官房の担当者は「海底ケーブルの防護についてはそれぞれ役割があり、通信事業者の監督は総務省、我が国周辺海域の警戒監視については海上保安庁や防衛省、陸揚げ局の警備支援については警察、国際連携については外務省などが行うなど、さまざまな省庁が関係するので、ひとつの省庁で対応するということではなくあくまで関係省庁が連携して必要な取り組みを実施していくことが適切と考える」と答えた。
 
 山田議員は「そのような状況だと切られて初めて気づく。どうしても敷設事業者が中心にならざるをえない状況において、この重要な海底ケーブルをどう守るのか。すでにバルト海では問題になっている。中国関係船、巧妙です。中国には海底ケーブルを切断する専用の器具が開発されているとまで言われているので、責任もった対応、これは一元化した対応が必要であると考える」としたうえで、「海底ケーブルは日本の防衛上でも、インテリジェンスの観点で極めて重要だ。サイバー対策も含めて、防衛大臣が中心となって国家の防衛の観点から海底ケーブルを防衛する仕組みづくりを考えていただきたいと思うが、防衛大臣いかがか」と質問。
 
 指名された小泉進次郎防衛大臣は「防衛省中心に、という山田先生からのご提案は我々に対する評価だとありがたく思いは受け止めさせていただく。一方で、さまざまな関係省庁、民間との連携が不可欠であることも同時にある」と答えた。そして「海上自衛隊の哨戒機で我が国周辺海域を航行する船舶の状況を毎日監視するとともに、必要に応じて護衛艦等を柔軟に運用し、警戒監視情報収集活動を実施している。加えて滞空型の無人機、衛星などさまざまな手段を活用して隙のない情報収集警戒監視体制を構築していくことは重要と考えているので、能力強化に取り組んでいる」と防衛省の取り組みを紹介したうえで、「海外のほうではひとつの構想として、街中にある防犯カメラのような、水中ドローンもしくはカメラ、こういったものを常時設置して安全確保を担保するようなアイデアもあると伺っている。いずれにしても国内での関係省庁や民間との連携、海外のさまざま知見、こういったものも含めて適切に守られる体制を構築することが大事」と述べた。
 
 山田議員は「海底ケーブル、非常に重要だと思っている。政府内でしっかりした対応、今後とも議論を進められたら」と話し、ここで時間終了となった。(『ABEMA NEWS』より)