【写真・画像】交野市長「おこめ券配らない」「農林水産大臣には屈しない」「経費30%超えの事例も」「勇気や覚悟は必要」「利益誘導と言われても仕方ない」配らない理由を力説 1枚目
【映像】交野市長「農林水産大臣には屈しない」ニヤリとした瞬間(実際の様子)
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 政府が経済対策で例示している「おこめ券」に対し配布拒否の姿勢を示していた大阪府交野市の山本景市長が5日の会見で「市長としては選んではいけない選択肢」と述べ、改めておこめ券の配布を否定した。

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 山本市長は「交野市は重点支援交付金を5億円ほどもらう予定だが、市民の皆様のために、おこめ券で配ることはない。ただ、これを言うのは相当勇気や覚悟は必要だ。というのも、これは国からもらう交付金だ。当然、交付金だから本来だったら“紐”はついているべきではないと思っており、用途が制限されることは本来好ましくないと思っている。誰を見て政策判断をするかといったら、当然、7万7000の市民の皆様だ。特に昨今においては物価高騰もあり、実質賃金が低下をする傾向がある中、いち早く、より多くの金額を市民の皆様に配らなければならないと思っている。農林水産省の顔色を見たり、農林水産大臣の顔色を見て判断をするのは私はこのケースではよくないと思っている」と述べた。

 5億円の使い道については、「(決定は)本年度と来年度における議会の審議を経て」としつつ、1億円は給食の無償化に、残り4億円を上水道と下水道の基本料金の減免(免除)に充てる予定だと考えを示した。市の一般財源等も使い、実際に市民の負担減となる金額は5億円を超えるという。

 山本市長はおこめ券を配らない理由として以下の3つを挙げた。

「1つ目は経費率が極めて高いこと。500円の額面でおこめ券をもらっても実質的に使える金額は440円だ。もうこの段階で60円、12%が減っている。おこめ券を交野市役所が買って、仮に交野市役所に納品されたとしても、その後市民に配らなければならない。市役所に取りに来てくれと言った場合でも一度に市民の皆さんが来られたらもちろん対応できないので、時期をずらして、ハガキを郵送して『来てください』という流れになるので、多大な人件費と郵送手数料がかかる。市によっては、丁寧にコールセンターまで開設をしている自治体もあるが、一部の自治体においてはトータルの経費が30%を超えているという事例もあり、本市としては、少なくとも12%の発行手数料と配るのに最低8%以上はかかると見込んでおり、トータル20%以上の費用がかかると考えている」

「2つ目は利益誘導の可能性が極めて高いことだ。そもそも、おこめ券に力を入れているのは農林水産省だ。農林水産省と関係が深い2団体の発行しているおこめ券を推奨するのは利益誘導と言われても仕方がないと思っている。少なくとも外形上疑われて当然と考えている。また、おこめ券に期限を設定したらそれまでに使わなければ紙切れになってしまうため、需要を喚起するということで、結局農林水産省がお米の価格を操作する意味に繋がると思う。鈴木農林水産大臣は会見において『お米の価格はマーケットが決める』と言っているのに、一方でおこめ券を通じてお米の需要を喚起してお米の価格を意図的に高める、需要を掘り起こして市場介入しているようなものであり、利益誘導になるのではないか」

「3つ目は、おこめ券やビール券などは贈答用に使われるケースが多く、また残念ながら使える店舗に関しても一定制約があることだ。地元で使える店舗は極めて限定的なので、市民にとって利便性の高いものではないと考えている。この3点を考えたら、本市としては、おこめ券という選択肢は市民のためにあってはならない。市長としては選んではいけない選択肢だと強く考えている」

 さらに山本市長は重点交付金の利用方法についての記者との議論の中で「農林水産省や農林水産大臣が意図している食料品の特別加算には実質的には当たらない、回避する。そういう意味で、農林水産大臣には屈しないという表現を取っている」と述べ、微かに笑みを浮かべた。

 政府は地方交付金である「重点支援地方交付金」を拡充することを閣議決定。使い道は自由だが、推奨事業メニューとしておこめ券やプレミアム商品券の配布を例示している。おこめ券は、全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)と全国農業協同組合連合会(全農)の2団体が発行しているもので、1枚500円で440円分のお米と引き換えできる。

 11月28日、記者から「税金の使い道として、おこめ券発行2団体に利益が集中するのはどうなのかという批判もあるが?」と問われた鈴木大臣は「どの政策ツールでやるかは自治体にお任せをしているので、おこめ券を使うのか、独自のクーポンにするのか、電子的なやり方にするのか、自治体に任せている。我々としては今困っている皆様に早めに支援が届くのが何より重要と考えている。2団体しかないのではないか、ということについては、現状としておこめ券は2団体しかないが、それを使うか使わないかは自治体の自由だ」と回答している。

ABEMA NEWS)
 

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