木原稔官房長官の8日午前の記者会見で、中国軍機による自衛隊機に対するレーダー照射事案についての質問が相次いだ。
記者が「中国軍機によるレーダー照射事案についてお伺いします。自衛隊機に対して2回にわたりレーダー照射が行われたこと、またその後『自衛隊機が接近して妨害した』などとする中国側の発信があったことについて、政府としてどのように受け止めているか? そのうえで、偶発的な衝突や地域の安全保障環境の緊張を高めかねないこうした行為に対し、どのような問題意識を持って今後対応していくか?」と質問。
木原官房長官は「12月6日土曜日、沖縄本島南東の公海上空で中国軍の戦闘機が対領空侵犯措置を実施していた航空自衛隊の戦闘機に対してレーダー照射を断続的に行う事案が発生しました。自衛隊機および隊員に被害はありません。また本件に関する中国側の発表については承知をしておりますが、自衛隊は安全な距離を保ちながら対領空侵犯措置の任務にあたっていたと報告を受けており、『自衛隊の航空機が中国の航空機の安全な飛行を深刻に阻害した』との中国側の指摘は当たりません」としたうえで、「今回のレーダー照射は航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為です。このような事案が発生したことは極めて遺憾であり、中国側には強く抗議し再発防止を厳重に申し入れたところです。冷静に、かつ毅然と今後も対応してまいります。政府としては中国軍の我が国周辺海空域における動向について引き続き注視するとともに我が国周辺海空域における警戒・監視活動等に万全を期してまいります」と答えた。
続いて別の記者が「自衛隊と中国軍の偶発的衝突を避けるため、日中両政府が2023年3月に開設した防衛当局間の専用回線“ホットライン”について、今回の事案では活用されたのか? また、ホットラインの使用は2023年5月の日中防衛相会談以降公表がなく、機能不全や形骸化が指摘される状況にある。その原因も含めて、ホットラインの必要性や今後のあり方について政府の認識を伺います」と質問。
木原官房長官は「まず、個別の事案におけるホットラインの使用状況については相手国との関係もあり、お答えは差し控えます。その上で、日中間において不測の衝突を回避すること、またそのために日中防衛当局間において適時の意思疎通を確保していくことは極めて重要です。ご指摘のように2018年にも海空連絡メカニズムの運用を開始し、意思疎通を行える状態というものを確保しております。引き続きホットラインの適切かつ確実な運用を中国側との間でしっかりと確保してまいります」と答えた。
さらに別の記者が「政府としては今回の軍事的な威圧も含めた一連の中国の日本への行動や言動に対し、アメリカにはどのような対応を求めていくか?」と質問。
木原官房長官は「我が国の立場や政策に関して事実に反する主張がなされる場合には、日本政府としてしっかりと反論・発信をしてきており、今後ともその方針は変わりません。また政府として中国軍の我が国周辺海空域における動向について、引き続き注視するとともに我が国周辺海空域における警戒・監視活動等に万全を期してまいります」としたうえで、「日本政府の立場について各国の理解を得ることは極めて重要です。日本政府としてこれまでも米国を含む各国に対し、さまざまな機会を捉えて我が国の立場を説明してきており、引き続き我が国の立場や考えというものを適時適切に説明・発信をしてまいります」と答えた。(『ABEMA NEWS』より)
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