“年金に上乗せ”申請しないともらえないオカネ
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 まもなく今年最後の支給日を迎える「年金」についてです。申請しないともらえない、“年金に上乗せできるお金”があることはご存じでしょうか。

【画像】申請しなければ年金に上乗せされないお金3つ

申請しないともらえないお金

年金受給者(80代)
「何でも(値段が)上がっちゃってるからね。(年金)足りないよ」

今年最後の年金支給日
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 今年最後の年金支給日まで、あと1週間。物価高の中、何かとお金がかかる年末年始も迫っていますが…。

年金受給者(80代)
「12月って一番お金がかかる。うまくやるようにしています。望んでも(年金は)増えないから」

 実は、あなたの年金支給額が申請一つで増える可能性があるのをご存じですか?

ファイナンシャルプランナー 黒田尚子さん
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ファイナンシャルプランナー 黒田尚子さん
「年金は自動的にもらえると思っている人が結構いる。制度の改正があり『わからない』『複雑で難しい』という人が多い。申請しないともらえないこと自体抜け落ちている可能性はある」

申請しなければ年金に上乗せされないお金3つ
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 黒田さんによると、申請しなければ年金に上乗せされないお金が大きく3つあるといいます。

 1つ目は「加給年金」です。

1つ目は「加給年金」
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黒田さん
「会社員や公務員など、厚生年金を受給する人が一定の要件を満たせば、年金に上乗せされる家族手当のようなお金になります」

 加給年金を受け取れるのは、厚生年金に20年以上加入している人。加えて、まだ年金をもらい始めていない年下の配偶者や18歳以下の子どもなど、扶養している家族がいるということが条件です。

 上乗せされる額は、今年度の場合、配偶者分が年間23万9300円。子ども分も、1人目・2人目がそれぞれ23万9300円で、3人目以降は7万9800円となります。

黒田さん
「厚生年金受給者の生年月日に合わせて『特別加算』が受け取れる」

受給者の年齢に応じて「特別加算」が加わる
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 配偶者の加給年金には、受給者の年齢に応じて「特別加算」が加わります。1943年4月2日以降に生まれた人、つまり82歳以下であれば年間17万6600円が上乗せされるのです。

特別加算とは
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黒田さん
「(Q.特別加算とは?)配偶者を扶養する人の年金額が急激に落ち込まないようにする制度」

年間90万円近くも老齢年金に上積み
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 例えば、20代から厚生年金に加入し、今年65歳を迎え年金をもらい始める男性のケース。58歳の妻と、17歳高校生の息子、14歳中学生の娘を扶養しているとします。

 配偶者と子ども2人の分がそれぞれ23万9300円、特別加算分17万6600円も合わせると、年間90万円近くも老齢年金に上積みされるのです。

 実際に加給年金を受け取っている人は…。

加給年金受給者(60代)
「ないよりはいい。余裕ができるので」

 もちろん、条件を満たしていても申請しなければもらえません。

黒田さん
「老齢厚生年金を受給する時に該当届を提出する」

 一方で、加給年金は、配偶者や子どもが年を重ねるともらえなくなりますが…。

 そこで、申請しなければ年金に上乗せされないお金、2つ目が「振替加算」です。

2つ目は「振替加算」
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黒田さん
「配偶者が65歳になり加給年金が終わってしまうと、なかなか生活が苦しくなってしまうので、代わりに配偶者本人の基礎年金に振り替わって加算する形で一定額が上乗せされます。加給年金の引継ぎ版というような形の加算になります」

最大でおよそ23万円が加算
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 加給年金が打ち切られても、一定の条件を満たせば配偶者の老齢年金に上積みされる「振替加算」。その条件となるのが、配偶者の年齢で1966年4月1日以前生まれ、つまり59歳以上であること。そして、厚生年金の加入期間が19年以下であることも必要です。

 配偶者の生年月日によってもらえる額には幅がありますが、年齢が高い人ほど多く、最大でおよそ23万円が加算されるといいます。

黒田さん
「振替加算は基本的に生涯年金に上乗せされる。月額にすると大きな金額ではないが、それでも年金のベースになる。離婚や配偶者が亡くなっても自分名義の年金に上乗せされる」

 ただ、受給条件を満たしていたとしても、当然こちらも手続きが必要です。

「漏れやすい年金」
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黒田さん
「(加給年金から)振替加算に(自動的に)変わらないということで、漏れやすい年金かもしれない」

 そして、3つ目は…。

黒田さん
「年金額が少ない人にとってはうれしい加算ではないか」

 年齢や家族構成に関係なく上乗せできるお金もありました。

申請をしていなかった場合は?

 あなたは、損していませんか?申請しなければ年金に上乗せされないお金、3つ目は「年金生活者支援給付金」です。

3つ目は「年金生活者支援給付金」
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黒田さん
「老齢・障害・遺族基礎年金を受給する人が上乗せされる」

給付金を受給する条件
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 給付金を受給する条件は、65歳以上であること、世帯全員の住民税が非課税であること、そして、前の年の公的年金を含む所得の合計額が90万9000円以下であることです。

 この条件に当てはまる人が申請すれば、今年度は、月額5450円。一年間でおよそ6万5000円が老齢年金に上乗せされて振り込まれます。

黒田さん
「年金生活者支援給付金というのは、消費税の引き上げ分を活用して、公的年金とそれ以外の収入が一定以下の低所得の人に向けた年金受給者を支えるためのお金」

 一方で、加給年金や振替加算の条件を満たしているにもかかわらず申請をしていなかった場合は…。

申請をしていなかった場合は…
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黒田さん
「年金は5年間、遡及(そきゅう)して申請することができる。もしもらえていなかった場合は、5年分手続きすれば受給できる」

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