10日の衆院予算委員会で、立憲民主党の酒井菜摘議員が涙ながらに障がい児福祉手当の所得制限撤廃を訴えた。
酒井議員は「障がい児福祉の多くには所得制限がかかっています。親の収入によって手当や支援が受けられるかどうかが決まる不公平な仕組みであり、支援を受けられない子どもとその家族が取り残されないようにしなければならないと考えています。立憲民主党は12月5日に議員立法、障がい児福祉所得制限(撤廃)法案を国会に提出しました。他党の皆様とも連携し、実現のため力を尽くしたいと存じます」と述べた。
続いて酒井議員は「今回、当事者の方々からヒアリングを行った」として重い障がいのある子どもを育てているという母親の声を、時折声を詰まらせながら読み上げた。
「仕事を退職せざるをえず、絶望しました。精神的にも追い詰められているのに、きょうだい児の学費すら貯められません。今の息子は知的障がい、身体障がい、難病を併せ持つ動ける医療的ケア児です。毎日細やかなケアが必要ですが、家族に笑顔と幸せを与えてくれるかけがえのない存在です。それでも『私の人生はどこにいったのだろう』と考えてしまう瞬間があります」(知的障がい・身体障がい・難病を併せ持つ医療的ケア児の母親の方の声)
「所得制限で手当てはなく、障がい福祉サービスも高額になるため、放課後デイサービスは週1日の契約をしています。一人で子どもと外出する気力もなく、夏休みなどの長期休暇は正直辛いです。私が頑張れば、子どもはもっと楽しく成長したかもしれないけど、頑張ることができませんでした。父親は単身赴任中で身動きが取れず、特にきょうだい児には我慢させてきたと思います。不甲斐ないです」(知的障がい・自閉症スペクトラム症・持病などの重度障がい児の母親の方の声)
読み上げた酒井議員は「家族のケアを担う母親の声について、高市総理には十分ご理解をいただけると信じています。また。障がいサービスの利用を制限せざるをえないという声は、子どもの福祉が減退しかねない状況であることもご理解をいただけると思います。障がい児福祉にかかる特別児童扶養手当と障がい児福祉手当の所得制限撤廃に必要な経費は330億円と試算していますが、その予算も補正予算に追加すべきではありませんか?所得制限撤廃のための法改正を政府として検討すべきではありませんか?」と訴えた。
これに高市早苗総理は「障がい児福祉につきましては、所得に応じて利用者負担をいただく応能負担の制度としておりますけれども、これまで令和元年10月から3歳から5歳の福祉サービスを利用者負担を所得にかかわらず無償化し、昨年4月から補装具費支給制度の所得制限の撤廃などの見直しを行ってまいりました。御党から議員立法を提出されたということでございます。これが国会でご議論いただくものと承知しております。が、全額公費による現金給付である特別児童扶養手当などの所得制限については、障がい児の生活の安定に寄与するよう必要な範囲で支給するというこの制度趣旨、それから他の所得制限を有する制度との均衡を踏まえたものでございます。この特別児童扶養手当に関する所得制限の見直しを行う場合には、1回というわけじゃありませんので安定的な財源が不可欠です。補正予算で対応はどうしても一時的なものとならざるをえないので、補正予算で、ということについては慎重な対応が必要だと思っております」と答えた。
(ABEMA NEWS)

