仮に合格できたとしても、その先にも不安はつきまとう。「他の研修医の人は、やはり20代の人が多いですし、看護師さんもそう。指導医の先生も、自分より年下かもしれないし、そういう人たちとうまくやっていけるか」。またそもそも雇ってくれる病院はあるのか、医師として認められるのか。不安はつきない。うつ病を患った経験もある神乃さんが目指しているのは精神科医。「うつ病の人の辛さを本当に骨身に染みてわかっている。うつ病の人の治療に貢献したいという思いがますます強くなった」と話す。
神乃さんの夢を、まさに実現したのが新開さんだ。20代は臨床心理士として働いていたが、32歳の時に父が亡くなったことをきっかけに、医師を目指すと決めた。予備校に通い、その間に結婚と2度の出産を経験。7浪して39歳で藤田医科大学に合格し、50歳で卒業、53歳で医師国家試験に合格した。還暦を迎えた今も、医師としてバリバリと働いている。「やはり体力はすごく必要。40歳であっても50歳であっても限界がある。体力的なことは鍛えたりすれば、年齢はあまり関係ない」
高齢になっても医師を目指す神乃さんについては、応援する気持ちもありつつ、経験者だからこそ、厳しい道を歩んでいるということも真っ直ぐに伝えた。「試験は1年に1回しかない。その試験に対して、私は家族がいたり、いろいろと時間が制限されていた。(神乃さんは)結婚をしていないなど、全ての時間をテストに費やせるので、お金を借りてでも国家試験の予備校に行くなど、100%を試験に費やすべき」とアドバイス。
また「医師免許は取ったら終わりではなくて、そこからどういう診療科に行くかというふるいにかけられる。歳を取ってから医師になれば、行ける診療科が少なくなったり、医療を活かせる場もすごく少なくなるという厳しい現状がある」とも述べていた。
(『ABEMA Prime』より)
