コメ「余っている」年明けに下落も? 大量の在庫、赤字の恐れ「値下げするしか…」
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 スーパーでのコメの平均価格は5キロあたり4321円と3週ぶりに値下がりしました。3000円台のコメを販売しているスーパーを取材すると、流通に異変が起きているということです。

【画像】合計約35トン…積み上がってしまった新米の在庫

埼玉県内のスーパー 5キロ3000円台

買い物客(50代)
「安いなと。5000円でお釣りがくる。ありがたいと思います」

買い物客(50代)
「今、本当に高くて。コメよりパンとか小麦系ばかり買っているんで、お値段見て買っていこうかなと思った」

 そんな声が聞こえてきたのは、埼玉県内のスーパー。店頭にある3種類の新米はすべて税抜き3000円台です。

税込み5キロ3994円の茨城県産のこしひかり
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マルヤス 松井隆代表
「中でも一番がこちら。茨城産こしひかり。できるだけ安くという声は聞くので、その結果こちらがよく売れている」

 最も価格が安い、税込み5キロ3994円の茨城県産のこしひかりから売れていっているといいます。コメの高騰が続く中、一体なぜ安くできるのか…。

「仕入れ先とできるだけ交渉して、たくさん買うからとか、早めに決めるからという形で100円でも50円でも安く買う」

 店のバックヤードには大量のコメの在庫。一度に多く仕入れることで価格を安くしているといいます。さらに…。

一度に多く仕入れることで価格を安くしているだけでなく…
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「全く装飾を入れていなくて、そのままなんですね。こういうところでも節約をして値段に反映していこうという考え方」

 こちらのお店では、税抜き3000円台にしてからコメの売り上げが1.5倍になったといいます。

小売り業者「仕入れ値下がった」

全国平均よりも300円以上お得
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 コメ価格下落の動きは、埼玉県内の別のスーパーでも起きています。コメ売り場を見ると、茨城県産の新米「にじのきらめき」が税込みで5キロ3986円です。

 この店で一番高いコメと比べると、およそ1300円の差。全国平均よりも300円以上お得です。

スーパーマルサン 小澤清さん
「この1~2カ月、非常に(仕入れ値が)下がって。仕入れ値が下がった分だけ売値も下げる。精米したけど少し余っていると。そういうものは(卸売会社から)案内が来る。それはもう、ものすごく安く仕入れることができる」

 なぜスーパーの仕入れ値が下がっているのでしょうか?

コメ余り 在庫が倉庫を圧迫

 愛知県の仲卸業者を取材しました。

愛知県の仲卸業者
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渡辺米穀店 渡邊正明店主
「買い控えもあったりとか、消費も少なくなっている。在庫がすごく余っている」

 店頭での販売のほか、スーパーや飲食店などにもコメを卸している渡邊さん。一体、どれくらい余っているのか、店の倉庫を見せてもらうと、新米が入った袋が大量に積み上がっています。

2つの倉庫のコメは合計でおよそ35トン
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「倉庫に(新米を)入れてみたが、入りきらない部分があったり。結局(新米の)出が悪いので、入ってくるほうが多かったという感じかなと思います」

 例年に比べ新米価格が高止まりしているため売れ行きが悪く、在庫が倉庫を圧迫。

 そのため、渡邊さんは今年初めてこの倉庫とは別に、貸倉庫を契約し、入りきらなかったコメを保管しています。

 2つの倉庫のコメは合計でおよそ35トン。渡邊さんは、積み上がってしまった新米の在庫をどうにか減らしたいと言います。

「次の8年産がとれる前あたりに、残っている分はひどい(値下がり)状況になると思います。このままその時に結構在庫を残してしまうと、本当にひどい赤字というか。すごく安くは提示できないのですが、徐々に下げていかざるをえない」

 このままコメ余りの状況が続くと、来年には大きく価格が下落するとみる渡邊さん。今ある新米は多少の損をかぶってでも販売せざるをえないといいます。

 このような動きは、コメの卸業者内で広がっています。

コメ安くなる時期は「年明け」か

 埼玉県のコメ卸業者の中村さんの元には、コメが余っている同業者からの相談が後を絶たないといいます。

埼玉県のコメ卸業者
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ナカムラ米販 中村貞昭会長
「やはり売れていかない、(今年のコメが)値段が高くなりすぎた。なかなか市場にさばけていかない。去年より2割以上コメがとれています。それによってあふれています。(同業者から)こういう値段でこのぐらいあるんだけども、どうでしょうかっていう話は毎日いただきます」

 中村さんによると、高く仕入れたコメを大量に抱え、資金繰りなどに困った卸業者が、赤字を最小限に抑えるため、売りさばこうとする動きが出始めているといいます。

この商談では即決はしなかった
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「集荷業者さんからお電話をいただいて、こういうような商品があるんだけれどどうかというようなお話をいただいたので、ちょっとこれから連絡してみます」
「中村です。現地の『ひとめぼれ』どうなっています?5000俵(300トン)ぐらい余っちゃっているんですね。相場的に1万円くらい安くなっていますよね」
「もう立ち行かなくなったんで仕方なしに、もう出してきているってことですね。ありがとうございます、失礼します」
「(Q.どういった話だったんですか?)(概算金より)1俵(60キロ)で1万円くらい安い値段できて、今ここで売っちゃわないと、この先もっと下がるので今のうちに処分したい」

 この商談では即決はしませんでしたが、今後、およそ120トンのコメを安く仕入れる予定だという中村さん。

 そのコメを店頭価格にすると…。

「ちゃんと利益を取って3480円でしょ、5キロで」

 銘柄米の「ひとめぼれ」が利益も入れても、5キロ3500円ほどでスーパーに並ぶといいます。

 しかし、安く仕入れられることも良いことばかりではないといいます。

「やっぱり業界全体で自分だけがよければいいっていうわけじゃない。そうすると売り場でもそれしか売れなくなりますね。そうすると売り場にある通常の定番商品の日付がどんどん古くなる。そうするとスーパーさんも処分価格にしなきゃいけないので、こちらで利益が出てもこちら(スーパー)が損する」

 中村さんは、安くなる時期が年明けには来るといいます。

安くなる時期が年明けには来る
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「多分、年末に向けてあくまでスポットですけど、4000円切ってきたり、3500円くらいのものがポツポツと出てきます。年明けになると、もうちょっと安いのも出てくる可能性あります」

 今後いつコメの価格は下がるのでしょうか?そして、政府の「おこめ券」にも新たな動きがありました。

コメ価格下落 流通に変化

「おこめ券」にも値下げの動き
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 スーパーのコメの平均価格が発表され、過去最高値を記録した前回と比べて値下がり、5キロあたり4321円となりました。14週連続で4000円台と高止まりが続いています。

 こうしたなか、コメ価格が下落するなど、流通に変化が起きています。

 茨城県産こしひかりを税込み5キロ3994円で販売している、スーパーマルヤスの松井代表によると「一度に大量に仕入れ、店の内装などの経費を抑えて3000円台で販売している」といいます。

 またスーパーマルサンの小澤さんによると「精米後の余ったコメの売り込みが卸業者からあり、とても安く仕入れられた」ということです。

 今後、さらにコメが値下がりする可能性もあるといいます。

 卸業者・ナカムラ米販の中村会長によると「年末に向けて一時的におよそ3500円のコメが出てくる。年明けになると、さらに安いコメが出てくる可能性もあるのではないか」ということです。

 こうしたなか、「おこめ券」にも値下げの動きです。

 通常、おこめ券は1枚500円で自治体に販売していますが、経費や利益の60円が差し引かれ、利用できるのは440円分となっています。

 発行元の全米販は1枚23円値下げし、477円で販売します。担当者によると「今回は特別に調整した。圧縮した経費の内訳は答えられない」としています。

 もう一つの発行元JA全農は1枚20円ほど値下げし、480円程度を想定して販売するといいます。担当者によると「差額60円の2割から3割は削減可能。利益は一切取らない」ということです。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年12月15日放送分より)

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