
上野動物園のパンダが来月にも中国に返還され国内にパンダがいなくなります。日中関係が悪化するなか、今後パンダの貸し出しはあるのでしょうか。
54年ぶり“パンダゼロ”に
60代
「寂しいは寂しい。上野動物園といえばパンダだもんね。定番だもんね」
「上野ではパンダは欠かせないんじゃないか」
40代
「日中関係がこじれちゃってるので、ちょっと気になる」
国内で唯一上野動物園で飼育されているジャイアントパンダ、双子のシャオシャオとレイレイが、来月下旬に中国に返還されることが分かりました。
15日は休園の上野動物園。日中友好のシンボルとされるパンダが54年ぶりに国内でゼロとなる公算が大きくなっています。
上野動物園 金子美香子副園長
「さみしいところではありますが、受け止めていきます」
上野動物園のパンダは中国側とパンダの保護研究に関する協力協定に基づいて飼育されています。
中国外務省 郭嘉昆副報道局長
「(Q.中国は今後も日本とパンダの保護協力を続ける?)詳細については関連部門に聞いてください」
木原官房長官
「パンダを通じた交流はこれまでも、日中両国の国民感情の改善に貢献してきており、こうした交流が継続されることを期待をしております」
来月下旬に中国へ返還
初めてパンダが日本に来たのは、日中国交正常化が実現した1972年のこと。
日中両国の友好の懸け橋となったカンカンとランランは、瞬く間に大人気、パンダフィーバーが巻き起こりました。
その後、和歌山県のアドベンチャーワールドや神戸市の王子動物園にもやって来たパンダ。番組が調べたところ、2年前、国内には最大で13頭いましたが、おととし4頭、去年2頭、今年も4頭が中国に返還され、現在は上野にいる2頭だけ…。
2010年9月、沖縄県の尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突する事件が発生し、日中関係が悪化。
しかし、中国は翌年の2月、予定通りパンダを貸し出しリーリーとシンシンが来日。その後、日本政府が尖閣諸島を国有化し関係はさらに悪化しますが、この半世紀、パンダがゼロになったことはありませんでした。
キヤノングローバル戦略研究所
峯村健司上席研究員
「2010~12年の時よりも中国側が深刻に受け止めている。あの時よりも(日中関係が)悪化していると。2010~12年は日本の領土である尖閣に対する問題だったんですが、今回は台湾ですね。台湾は中国が絶対何があっても譲れない核心的利益の一つであると。関係が悪い国にはパンダは出さない、良くなっている国には出すと」
「米よりパンだ!?」のキャッチフレーズでパンダのパンを売る店では…。
米よりパンだ!? 江連麻夫店長
「パンダといえば上野のアイドル的な存在だし、いつかは戻ってくると思っていますけども、とても残念に思っています」
上野にパンダは戻って来るとの願いを込めて、パンダのパンは引き続き販売していく方針です。
最終観覧日は来月25日 今後パンダは?
次にパンダが来日するのはいつ?悪化した日中関係の改善が大前提だと言います。
峯村上席研究員
「しばらく日本にはパンダは来ないと思いますね。最低でも数年は来ないとみています。尖閣国有化の時も(関係が)正常化するまで6年かかっている。今回それ以上に深刻だと思うと、最低でもそのくらいかかるだろうと」
上野動物園のパンダを観覧できるのは来月25日まで。今月21日までは予約不要ですが、23日以降はインターネットで事前に申し込む必要があります。
