そこで、土の研究者である先生に協力を仰いだ。先生は開口一番「基本的にはダメです」と断言し、スプーン一杯の土には膨大な数の細菌がいると警告した。しかし、どうしても食べたいという依頼者の熱意に押され、先生は比較的安全な土の選び方を伝授した。それは、微生物や虫が多く生息する地表近くの「表層土(黒い土)」を避け、その下の層にある土を選び、しっかり殺菌することだった。

 教えを守り、一行は地元の山へ。表層土を避けて深層の土を採取し、持ち帰って不純物を濾し、加熱処理を施して、ついに特製の「飛騨高山の土」が完成した。

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