高市政権で安全保障政策を担当する官邸関係者が、オフレコを前提にした記者団による非公式取材の場で、個人的な見解としたうえで「私は核を持つべきだと思っている」と述べ、日本の核兵器保有が必要だとの考えを示した。このことについて波紋が広がっている。
【映像】“核保有”発言を受け小泉防衛大臣と記者が激論(実際の様子)
19日の小泉進次郎防衛大臣の会見でも、核保有、非核三原則についての質問が相次いだ。
記者が「核保有について伺います。安全保障を担当する総理官邸関係者が18日、日本の核政策をめぐり個人的な見解と断ったうえで『日本は核保有すべきだ』と記者団に語った。非核三原則の見直しは現時点で政府として検討していないとし、早期の見直しには否定的な見解を示したとのことですが、防衛大臣としてこの発言をどのように受けとめているか。また、日本の核保有の是非、非核三原則の見直しに対する大臣のお考えも合わせて教えてください」と質問。
小泉大臣は「報道は承知していますが、その逐一に対して政府としてコメントすることはさし控えます。いずれにせよ、我が国としては核兵器を“持たず、つくらず、持ち込ませず”この非核三原則を政策上の方針として堅持しているというのは、高市総理も再三言っているとおりだと思います」と答えた。
別の記者が「大臣は、非核三原則は国是とも言えるものだから堅持すべきで、今後とも変更するべきでないとお考えか」と質問。
小泉大臣は「これは高市総理も同じ質問をされて答えている通りでありまして、非核三原則を政策上の方針として堅持をすると。私も同じであります」と答えた。
記者がさらに「高市総理は三原則のうち“持ち込ませず”の部分について変更を主張してきましたが、大臣は非核三原則、3つについてすべて堅持すべきで、今後も一切変更すべきでないとお考えか」と質問。
小泉大臣は「以前もお答えしたと思うんですが、非核三原則を政策上の方針として堅持をしていると言ったうえで、この“持ち込ませず”ということについては、2010年当時の岡田克也外務大臣の答弁を引き継いでいく考えであります。改めて申し上げると、『あまり仮定の議論をすべきではないと思いますが、緊急事態ということが発生して、しかし核の一時的寄港ということを認めないと日本の安全が守れないという事態がもし発生したとすれば、それはその時の政権が政権の命運をかけて決断し、国民の皆さんに説明する。そういうことだと思っております』というのが岡田克也、当時の外務大臣の答弁でありますが、私はこの答弁を引き継いでいく考えであります」と答えた。
これを受けて記者が「岡田答弁を引き継ぐということは、安全保障関連三文書の見直しの中で非核三原則を二原則にするようなことは認められない、支持しないというお考えか」と質問。
小泉大臣は「これは非核三原則を政策上の方針として堅持するというのは、繰り返しているとおりで、そして、岡田外務大臣答弁を引き継ぐということについては、『もしも日本の安全が守れないような事態が、核の一時的寄港を認めないと守れないということであれば、それはその時の政権が政権の命運をかけて決断をし、国民の皆さんに説明する』これは同じ考えでありますし、引き継いでいきたいと思います」と同じ答えを繰り返した。
記者が「そうすると、非核三原則を非核二原則にするような方針には賛成しない、しかねるということでいいか」と再度確認すると、「これは、政策上の方針として堅持をするというのは、総理が言ってる通りです」と答えた。
その後記者が「非核三原則もう一度伺いますが、大臣は、高市内閣は政策上の判断で堅持をすると、それに従うという趣旨の発言だったが、あくまでも政策上であって、非核三原則は国是だから、日本の平和国家としての国是だから、未来永劫変えないということは断言できる?」と質問。
小泉大臣は「高市総理が言っているのは判断上ではなく、非核三原則を政策上の方針として堅持しているということでありますし、岡田外務大臣答弁については“持ち込ませず”の点について、さきほどの答弁の通り引き継いでいくという考えに変わりありません」と答えた。
非核三原則を堅持するのか、変更するのか、二択で迫る記者と、大臣との攻防はさらにヒートアップしていく。
「大臣は政治家として、非核三原則は平和国家日本としての国是だから、未来永劫変更すべきでないと考えるか、それとも変更してもいいと考えるか?」と聞くと、小泉大臣は「防衛大臣としてお答えすると、日本の国民のみなさんの命と平和な暮らしを守るためにあらゆる選択肢を排除せずに検討を進める、議論する、これは当然のことだと思っています」と“あらゆる選択肢を排除しない”という言い方で答えた。
「非核三原則の変更もありうるという考え方でよろしいか」と念押しされると、「日本の国民の皆さんの命と平和な暮らしを守るために必要な議論をする、それは防衛大臣として当然のことだと思っています」と同じ答えを繰り返した。
記者は納得せず「平和国家日本の国是という考え方には賛同しないということでよろしいか」と質問。
小泉大臣は「平和国家の道のりを変える必要はまったくありません。ただ、その平和を守り抜いていくということを考えた時に、明らかに日本をとりまく安全保障環境は変わっています。同じ守り方で国民の命と平和な暮らしを守れるのかと問われたときに、同じ守り方で守れると答えられる人は、私はむしろ、今の日本をとりまく安全保障環境の現実を見ていただきたいと思います。攻撃側が圧倒的に有利な環境が次々に出てきていて、守りだけで固めるという環境が日増しにコストが高くなっているのは事実であって、その中でもしかし日本の戦後の平和国家の歩みは変えない、その思いの中で私は三文書の改定を進めていくつもりです」と述べた。
記者がさらに「唯一の被爆国、平和国家日本の国是たる非核三原則を変えないということじゃなくて、日本の安全保障環境が変われば、よく政治家が使われる言葉ですけれども、それによっては変えても構わないという考え方でよろしいですね」と確認。
小泉大臣は「だいぶわかって何度もお尋ねいただいていると思いますが、高市総理が言っていることは非核三原則を政策上の方針として堅持をしているということであります。そして戦後我が国は一貫して国際社会の平和に貢献していますので、こうした立場は変わりません」と答えた。
記者は納得せず「いち政治家として、あなたは非核三原則を堅持すべきだと思うか、それとも変更しても構わないと思うか、どちらか」と重ねて聞くと、「これは一番大事なことは紛争を起こさない、新たな戦争を起こさせない抑止力をしっかり日本が持つということでありますので、何度も申し上げますが、防衛大臣として日増しに厳しくなっている安全保障環境を見た時に、これからも日本が平和であり続けるためには平和であるための守りの形もおのずと時代や技術や日本をとりまく安全保障環境によって変わってくるというのも、私は安全保障や政治の現実であると思っている。この現実主義に基づいて国民のみなさんに説明をして必要な防衛力の整備をお願いする、そして理解を得る、この不断の営みというのは今でも私は必要なことだと思っていますので、様々なテーマがありますが、ひとつひとつ丁寧にご議論させていただくつもりです」と答えた。
「それは非核三原則の変更はありうるというのが、あなたの政治家としてのポリシー、哲学、そういう理解でよろしいですね」と重ねて問われると、「最大の防衛大臣、また政治家としての使命というのは日本が平和であり続けるための必要な政策を遂行することだと思っています。そのうえで国民の命と平和な暮らしを守るために何が必要かというのは、あらゆる選択肢を排除せずに議論する必要があると思いますし、そのうえで平和国家としての歩みを変えるべきでないと思います。だからこそ非核三原則については政策上の方針として堅持をし、2010年に岡田外務大臣から答弁されている、『“持ち込ませず”については、万が一もしも核の一時的寄港ということを認めなければ日本の安全が守れないという事態が発生したら、それはその時の政権が、政権の命運をかけて決断をし、国民の皆さんに説明をする』私はこれは岡田克也さんとまったく同じ思いです」と語り、会見は終了した。(『ABEMA NEWS』より)
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