18日の衆議院農林水産委員会でれいわ新選組の八幡愛議員が競馬と農林水産省について質問した。
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八幡議員は「『農水省がJRAの収益を臨時に農業のために使う考えを示している』という報道が出ました。中央競馬会法では『JRAは畜産の振興などに寄与するために運営する』と定めていますので、はっきり言って農業とは関係ないんですね。それなのに、政府は特例を創設して、4年間JRAの特別積立金を農業に活用する予定なんだそうです。まず確認したいんですけども、農業構造転換集中対策期間で実施するこの事業について、予算規模はどのくらいで、そのうちいくらをJRAのお金で賄う見込みなのでしょうか?」と質問。
これに長井俊彦農林水産省畜産局長は「農業構造転換集中対策のための財源拠出は、日本中央競馬会からその趣旨にご理解・ご協力をいただける方向で調整を進めているところです。拠出額など財源拠出の具体的なあり方は、調整を行っているところで、現時点で決定しているものはございません」と回答。
八幡議員は「報道が先に出てしまって、具体的に事業規模の2.5兆円とか国費1.3兆円という数字は出てきている。『これから審議する』という回答ですが、今年6月に提出された自民党さんの決議に沿ったものだと思うのです。自民党さんは自主財源を確保するように要求していましたが『JRAの収益を農水省の自主財源』と言い切るのはちょっと苦しいと思います。売り上げの、しかも何%とかではなくても、『いくら』という金額を決めてやるわけじゃないですか。こういうお金がどこから出るかと言ったらJRAは特別積立金というところだから取り崩していくわけです。たしかに、昨年度、特別積立予算は1兆円以上になっています。過去の国会答弁でも、これの多くは固定資産にもなっているし、不測の事態に備えるものという説明もあります。さらに、お金が余っているんだったら、当初の目的、『畜産の振興に使えばいいではないか』と過去の国会でも取り上げられています」と指摘。
さらに、「私がJRAだったら、特別積立金という資本の一部を取り崩すんだったら、当然取り戻したいわけですよ。それは企業努力なので当たり前の話です。競馬業界の売り上げは誰かの負けた涙なんです。今年も、有馬記念が盛り上がって、誰かがその裏で泣くんですよ。その家族もそうです。うちのお父さんもひどかったんですよ。ギャンブルで一家離散してるので、余計言いたいんですけど。でもJRAは来年から政府にお金を納めなあかん。そしたら売り上げ上げなあかん。『よし、(ドラマ)〈ザ・ロイヤルファミリー〉も好調だ』と盛り上げるとしか考えられないじゃないですか。そういう財源の倫理感が狂っていると思うんです。私は公営競技全部を否定しているわけではないんですが、やはりそれと合わせてギャンブル依存症対策をしないといけない。その対策も不十分なまま。JRAは過去に売り上げが落ちた時に、射倖心煽るような勝ち馬投票券を新設した例もあるんです。競馬は農林水産省の所管です。農業の振興はもちろん大事ですけど、競馬で負けた人たちから取ったお金を目当てにJRAが発足後初めて政令を作ろうとして、さらにこの予算を取っていくのは、中央競馬会法の趣旨と予算の作り方からずれているのではないか。しかも、JRAのお金を右から左に動かす前例ができてしまえば、今後にも大きな悪影響が起こると思います。きちんと審議会とかで議論すべきだと思います」と提案した。
これに鈴木憲和農林水産大臣は「私も前に(競馬で)だいぶ負けまして涙を流したんですが、その涙も畜産の振興に使われるかと思うとしょうがないと割り切ることもできたので、その辺もご理解をいただければと思います」と自身の体験を語り、その上で「ギャンブル等依存症対策としては、本年3月に閣議決定されたギャンブル等依存症対策推進基本計画に基づく取り組みを今進めているところです。具体的には競馬については、本人または家族からの申請によりインターネット投票等へのアクセスを制限する、また、本人からの申請により馬券の購入の上限額を設定する、また、ギャンブル等依存症の相談窓口を設置するとともにホームページで依存症への注意喚起を呼びかけるなど、競馬主催者への指導を徹底しているところです。農林水産省としては、ギャンブル依存症に陥ることのないよう、これらの取り組みを引き続き着実に進めたいと思います」と答えた。
八幡議員は「一番言いたかったことは、ギャンブルの倫理観の問題です。大阪はこれから『カジノをやってカジノで負けたお金を福祉に回していく』など、とんでもないことを言っている。これが全国的に当たり前になると、人として大事なものを失うのではと危惧しております。お馬さんも可愛いし、(鈴木)大臣も楽しまれている。その分には全然いいんだけども、これで人生狂わされて泣くどころではない、命さえ落としてしまうような危険も孕んでいることをわかりながら、年末年始みんなで有馬記念を楽しむんだったら楽しんだらいい。ただし、財源を、その売り上げを目当てにするとかそうではなくて、積極的な財政出動だって高市政権に言っているんだから別で引っ張ってこないといけない。『農業予算ついてる』と言いますけど、全然足りないと思っています」と述べた。
(ABEMA NEWS)

