
宮城県仙台市にあるスーパーが、クレジットカードを含む「キャッシュレス決済」をすべてやめました。安さを重視して「現金払い」にシフトしています。
【画像】「現金払いのみ」レジ前には長蛇の列…支払いにかかる時間は?
卵1パック100円 安さの理由
午前8時、開店準備中のスーパーマーケット。この日は「5のつく日」で、「55(ゴーゴー)セール」を開催しています。
例えば豆苗は55円。なめこもマイタケも55円。もやしに至っては、ふた袋で55円! 価格高騰が著しい卵は、今となっては考えられない1パック100円という値段に!
開店時間には、入り口に行列です。入店して客がまず手に取るのは、やはり驚愕の値段1パック100円の卵。ほぼ全員が買っていくため、商品の補充も一苦労です。
ここは、宮城県仙台市にある地元密着のスーパーマーケット「生鮮館むらぬし」。物価高騰の時代に、なぜこんなにも安いのでしょうか。
生鮮館むらぬし 村主芳治社長
「物価高対策として何か、うちのお店でできることはないか考えると、うちの店の経費をなるべく下げてその分お客さんに還元するっていう形を取った方がいいなってことで」
そこで、社長が打ちだした秘策が…「当店での支払いは『現金のみ』となります」。
全国のスーパーマーケットの9割以上がキャッシュレス決済を導入するなか、あえて「現金払いのみ」に舵を切り、売り上げを伸ばしているというのです。
村主店長
「(Q.キャッシュレス決済にはどれくらい経費が?)大体月で100万から200万くらい。年間だと(経費は)2000万近くはいっている感じ」
コストカットしその分安く売る、そのための現金払いのみだといいます。ただ、現金のみの場合、レジでの支払いに影響はないのでしょうか。
「現金払いのみ」どう評価?
最も客が増える昼すぎの映像。こちらはレジでお金を払う、昔ながらの形式です。
よく見てみると、レジ店員も慣れたもの。手際よく応対していきます。とはいえ、セールということもあり、レジ前には長蛇の列が…。
大きいお札で支払うこちらのご夫婦。支払いにかかった時間はおよそ45秒。
よく見ると客が1万円札で払ったのか、店員が大量のお札を数えて手渡しています。現金ならではのやり取りです。
こちらの客は、小銭を数回に分けてトレイに置いていきます。これも有人レジでは昔よく見た光景です。
客は、現金払いのみのシステムをどう見ているのでしょうか。
70代 普段はカードと使い分け
「普通のスーパーはカードで買います。別に不自由ないです」
30代 普段はカードと使い分け
「その分、安くしてくれているんだろうなというのがあるので、(現金のみは)特に気にならないですね」
この日、やってきた70代の女性に買い物風景を見せてもらいました。
70代 日ごろから現金で支払い
「きょうは安い日なので、広告に丸つけてめぼしいものだけ見てきました。一応」
特売日ということで気合十分。すでにお菓子や野菜でいっぱいだったかごに、さらにお肉を詰め、レジへと向かいます。
「(Q.いつもこんな混雑?)こんな感じで並びます。いっぱいあるから、すぐ」
この店では、キャッシュレス決済の名残で機械に現金を投入し、効率よく支払いを行う仕組みが残っています。手際よく、幅広い品物を読み込んでいきます。
支払いにかかった時間はおよそ30秒。年配の客にとっては慣れ親しんだ支払いです。
「現金の方がいいです。難しいのはできないので、ここは簡単」
コスト抑えてお客に還元
「キャッシュレス決済」の便利さを犠牲にした「現金払い」。店側にとっては客離れが起きないか、難しい判断をした上での挑戦でした。
村主店長
「ちょっと不便を感じることもあると思いますけど、『キャッシュレス決済をやめてごめんなさいセール』をやったり、寄り添うってのは変ですけど、少しでもお得になれば、うちのお店もお客さん来てくれて、ウィンウィンになるんじゃないかなと」
(「グッド!モーニング」2025年12月20日放送分より)
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