去年6月、熊本市内で飲酒ドライバーが高速でバック走行して女性2人をはね、1人が死亡した事故について、22日の控訴審判決でも危険運転と認定されました。
時速70キロで飲酒バック走行
夜道を走り抜ける1台の車。時速70キロが出ていたとされる軽自動車は、バックで走っています。
歩道に乗り上げた車はそのまま走り続け、歩いてきた女性とぶつかりました。女性は車と信号機に挟まれ、亡くなりました。
事故直後、警察官と話す金髪姿の男は当時ホストとして勤務していた松本岳被告（25）です。
女性2人をはね、横田千尋さん（当時27）を死亡させた罪などに問われています。
裁判長（1審の判決から）
「被告人は自動車で通勤することは禁じられていたにもかかわらず自動車で出勤し、飲酒を断ることができたにもかかわらず、その場の雰囲気に流されて飲酒しています」
裁判でカギを握った「オーバーステア」とは
22日の控訴審でも、時速70キロを超える「バック走行」が争点になりました。
危険運転致死傷罪などに問われている松本被告は1審で懲役12年が言い渡されました。しかし、判決を不服として控訴し、22日に高裁でさらに争われました。
法律上、危険運転には「進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」などが含まれています。
弁護側は、バック走行は法律の対象ではないこと、車が制御不能に陥った原因が速度ではないことを理由に危険運転を否定しました。
時速70キロを超えるバック走行は、危険運転と認められるのか。裁判でカギを握ったのは「オーバーステア」という現象です。
崇城大学 工学部 齋藤弘順教授
「実はFF（フロントエンジン・前輪駆動）車はバック走行で速度が速くなると、大きくオーバーステアの傾向が出ます」
検察側の証人として証言した専門家によりますと、オーバーステアはハンドルを切った角度に対して、より大きく内側に曲がる現象のことです。
高裁は22日、オーバーステアが生じていたことを指摘。70キロ以上という速度自体が車を制御不能にしたことを改めて認め、被告側の控訴を棄却しました。
（「グッド！モーニング」2025年12月23日放送分より）
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