
今年は冬眠しないクマが多く出没していますが、東京・上野動物園ではツキノワグマを人工的に冬眠状態に誘導して展示する試みを始めました。
【画像】敷地内の倉庫にクマが入り込んだとの通報 秋田市の中央卸売市場
冬眠に入る最大の要因は「寒さ」ではなく…
連日、返還前にパンダを一目見ようと多くの人が殺到している上野動物園。17日から新たに始まったのが…。
ツキノワグマの展示スペースでは反対側にはモニターがあり、「ただいま冬眠中」と書かれています。
冬眠しているのは、上野動物園で飼育している2頭のうち、14歳のメスのクマです。マイナス5℃に設定した部屋の隅でワラをかぶり、眠り込んでいます。
本来は奥の冬眠室で冬眠してほしいところですが、自らワラを引っ張り出し、寝床を作ってしまいました。
来場者
「今年は冬眠もしないって聞くし、見たことないからいいよね」
今年は“冬眠しない”野生のクマが多く出没しています。
22日、秋田市の中央卸売市場では、敷地内にある倉庫にクマが入り込んだと警察に通報がありました。
普通、動物園のクマは冬眠しませんが、上野動物園は2006年、日本で初めて人工的に冬眠させる「冬眠展示」に成功。今年は19回目です。
上野動物園 鈴木仁飼育展示課長
「冬眠というシステムは、餌(えさ)の少ない冬をいかにして乗り切るかといった野生を生き抜くための知恵というか暮らし方なんですね」
20年前はクマの冬眠について科学的なデータがほぼなく、手探りで野生の環境を再現したといいます。
鈴木飼育展示課長
「秋にたくさん餌を食べさせて、ある程度体重が増えると、餌を食べる量が徐々に少なくなったりする。そのタイミングを見極めて、餌だけではなく、室温を下げたりとか、暗い部屋に閉じ込めたりとか。そういったことで冬眠を促しています」
クマが冬眠に入る最大の要因は、寒さではなく「餌」です。
夏のクマの体重は81キロでしたが、餌を4キロから8キロに増やすことで、冬眠直前にはおよそ1.3倍の106キロまで増加しました。
その後、野生の環境に合わせて餌の量を徐々に減らすと、何も食べない「絶食」状態に。そして、来年の3月から5月まで冬眠に入ります。
鈴木飼育展示課長
「クマの場合には体温が普段から5℃くらい下がる程度。呼吸数とか心拍数というのが減ります。完全に仮死状態になるわけではないので、たまに体を動かしたりとか排尿したりもします。動物のすごさというか、不思議さ」
(「グッド!モーニング」2025年12月23日放送分より)
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