
クマ被害が増える中、山に餌(えさ)となるドングリのなる木を増やし、里に下りてこないようにする猟師の取り組みを取材しました。
毎年実る「宝の木」発見
「もう今までならなくて、ならなくて、ならなくてね」
なかなか実らないドングリに悩んでいたのは、神奈川県山北町の猟師・杉本一さん(88)です。
ドングリが実らないことで、餌に困ったクマが山から人里に下りてきてしまっていることが、今年のクマ被害急増の要因だと言われています。
杉本さんは猟師歴68年の大ベテラン。山と動物の変化を一番近くで感じていました。
「本来、山は動物のすみかだから。それを動物がすめないようにしちゃったのは、人間なんだよね。動物がもう一度山に安心して生活ができるような姿にしていくのは、人間の仕事だと思うのでね」
今や人里から離れた奥地でも、山は動物の食べ物にならないスギやヒノキなどの人工林に覆われてしまっています。
神奈川県ではクマによる人的被害はありませんが、目撃情報は増えています。
「里へ来ないようにここで腹いっぱい食って、また奥へ帰るようにね。そういう森をここで作ろうと思っているので」
豊猟会 豊田里己さん
「駆除をしなくても、動物が市街地へ出てこないような対策。これが絶対必要だと思うので」
そこで、ドングリなどの木の実や柿などクマの食べ物を人里から離れた山に増やすことを思いたちました。
杉本さん
「ドングリを探して歩いたんだけどね。何年も何年も、ドングリが拾えなくて」
ただ、今やドングリのなる木を探すのも至難の業。そんな中、3年ほど前に偶然発見したのが「宝の木」と呼ぶクヌギの木でした。(※場所は非公開)
「どんな環境状況でも対応して、毎年なるという素晴らしい宝の木が見つかったので」
ドングリまくイベントも
各所に呼びかけたことで、ドングリは4万個ほど集まりました。集めたドングリは苗木に育て、山の中へ植え変える予定です。
「ここで苗を作って、1万何千本か」
13日にはドングリをまくイベントも開催。子どもを含めおよそ70人が参加しました。SNSを通じて、多くの反響があったといいます。
豊田さん
「あれだけの応援をされているので、なんとか変化は起こしたい」
杉本さん
「一人でも多くの人がこういう取り組みに参加をしてくれると大変ありがたいなと、こんなふうに思っています」
(「グッド!モーニング」2025年12月25日放送分より)
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