驚きを隠せない東出が「それは天国に行くために?」と尋ねると、お婆さんは「そうよ。地獄に行きたくないからね」と答え、少女のような明るい笑顔を見せた。

 彼女にとって、この12時間の祈りは苦行ではなく、ごく当たり前の日常であり、「日がなお祈りをして、食事や飲み物を振る舞うのが生きがいよ」と穏やかに語った。

 その迷いのない瞳と、爆速でマニ車を回し続けるバイタリティに、東出は「元気(笑)」と感嘆の声を漏らしつつも、深く目を閉じ、おばあさんの横で共に手を合わせた。