ベネズエラ大規模攻撃 狙いは石油利権か 次期政権にも注目集まる
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 3日未明、アメリカのトランプ政権が南米ベネズエラに大規模な軍事攻撃を行った。マドゥロ大統領の身柄を拘束し、ベネズエラ政府に対して政権移行に協力しなければ再攻撃もあり得ると警告している。

【画像】ベネズエラへの圧力の背景に「麻薬密輸対策」

圧力の背景に“麻薬密輸対策”

ベネズエラへの圧力の背景に「麻薬密輸対策」
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 トランプ政権はこれまで、ベネズエラへの圧力を強めてきた。

 去年の9月以降「麻薬運搬船」とみなしたベネズエラ船への攻撃を繰り返しており、去年11月には原子力空母をカリブ海に派遣するなど、警戒・監視を強めてきた。

 その背景には、アメリカ国務省が「外国テロ組織」に指定する「太陽のカルテル」という麻薬組織の存在があるという。トランプ政権はマドゥロ大統領がこの組織を率いていると主張し、麻薬密輸対策としてマドゥロ政権への軍事的圧力を強めてきた。

周到に準備された急襲作戦
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 そのマドゥロ大統領を拘束するために行われた今回の軍事作戦は、周到に準備が進められてきたという。作戦はアメリカの陸海空軍や海兵隊に加え、CIAなどの情報機関も参加して数カ月前から計画されてきたようだ。

 アメリカの情報機関はマドゥロ大統領の居場所を特定し、行動パターンや食習慣、ペットの種類に至るまで分析を重ねたという。「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、アメリカ政権当局者らはマドゥロ氏の側近の助けも借りていたという。

 さらに「ニューヨーク・タイムズ」によると、マドゥロ氏の邸宅を模した実物大の模型で訓練を行っていたようだ。

 そして「FOXニュース」のインタビューでトランプ大統領は、作戦の1週間前に、マドゥロ大統領に電話で投降するよう最後通告を行ったと明かしており、ベネズエラ側が投降を拒んだため、トランプ大統領が軍事作戦を決断したとみられている。

マドゥロ氏らの逮捕が目的?

大規模なマドゥロ大統領夫妻の拘束作戦
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 作戦は非常に大規模なものとなった。

 トランプ大統領はアメリカ東部時間2日の午後10時46分、作戦の実行を命じたという。作戦名は「絶対的な決意」で、ルビオ国務長官は、この軍事作戦の目的は「起訴されたマドゥロ氏らの逮捕であり、あくまで犯罪に対する法的執行手続き」と主張している。

 アメリカのケイン統合参謀本部議長によると、軍用機150機以上がベネズエラに向かい、戦闘機などがベネズエラの防空システムを無力化して、3日午前1時1分に法執行官などが乗ったアメリカ軍のヘリがマドゥロ大統領の邸宅に到着したという。

マドゥロ大統領夫妻拘束までの流れ
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 「ニューヨーク・タイムズ」によると、アメリカ陸軍の精鋭部隊「デルタフォース」が邸宅に突入し、投降したマドゥロ大統領夫妻を拘束したという。マドゥロ大統領はニューヨークの連邦政府・拘置所に移送され、5日にもニューヨークの連邦地裁に出廷する見込みだという。

ベネズエラの次期政権は?

 アメリカ軍による首都への大規模な攻撃を受けて、ベネズエラ国内では混乱が広がっている。国家運営はどうなるのだろうか。

米国がベネズエラを「運営」
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 トランプ大統領は3日、安全で適切な政権移行が行われるまで「我々がベネズエラを『運営』する」とベネズエラの次期政権に介入する考えを示した。ただ、その後ルビオ国務長官はアメリカによる直接統治を否定しているようだ。

ベネズエラの次の指導者は?
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 では、トランプ政権が思い描くベネズエラの次の指導者とはいったい誰なのか。去就が注目されているのが、野党指導者マリア・マチャドさんだ。大統領選の不正を訴え、独裁体制と戦ってきたとして去年、ノーベル平和賞を受賞している。トランプ大統領は去年10月、マチャドさんについて「私はずっと彼女を支援してきた」と評価するような口ぶりだった。

 ただ、マドゥロ大統領の拘束を受けてマチャドさんがSNSで「私たちは責務を遂行し権力を握る準備はできている」と表明したことについて、トランプ大統領はマチャドさんが「指導者になることは難しいだろう。彼女は国内で支持も尊敬もされていない」と逆の見解を示している。

ロドリゲス副大統領の考え
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 一方で暫定大統領に命じられたロドリゲス副大統領は、アメリカによる攻撃を批判し国民の結束を呼び掛け、「二度と帝国の植民地にならない」などアメリカに断固抵抗する構えを見せている。しかし、トランプ大統領は、ルビオ国務長官がロドリゲス氏と連絡を取り合っていてロドリゲス氏は「必要なことは何でもする」と語っているとも明かしており、現在の体制を抜本的に変える考えはないようにも見えるが…。

 そこから一転、ロドリゲス副大統領は5日午前、「アメリカ政府、トランプ大統領と手を取って新しいベネズエラをつくりたい。私たちは戦争を避けたい。無益な血は避けたい」と声明を発表した。

狙いは石油利権か

アメリカの狙いは石油利権?
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 では、なぜ軍事行動に踏み切ったのか。トランプ大統領は「アメリカの石油企業が数十億ドルを投じて、 (ベネズエラの)ひどく老朽化したインフラを再建する」としている。

 ベネズエラは世界最大の原油埋蔵量とされる国で、中東諸国よりも多くの原油が埋まっているとされる。

 だが、1999年に誕生したチャベス政権がベネズエラ国内のアメリカの石油資本を国有化した。

 当初は原油高で急速に経済成長を遂げたが、原油価格の下落や設備の老朽化などで産油量が激減。

 トランプ大統領は「我々は莫大(ばくだい)な富を取得し、その富はベネズエラの人々に渡る」としたうえで「アメリカの石油資本の国有化への賠償という形でアメリカにも渡る」と、アメリカ企業の利益にもなると強調した。

高市総理 攻撃の是非に触れず

 今回のアメリカの「力による現状変更」について、国際社会はもとより、アメリカ国内からも懸念の声が上がっている。

ワーナー上院議員の指摘
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 民主党のワーナー上院議員は、アメリカが外国指導者を軍事力を用いて拘束する権利を主張するならば、中国が台湾の指導部に同様の権限を主張することを阻止できるのか?また、ロシアのプーチン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領を拉致する正当性を阻めるだろうか?中国やロシアに対して、力による現状変更を認めるかのような、誤ったメッセージを送ることになる可能性を指摘している。

 では日本はどういった対応をとっているのか。

ベネズエラ攻撃における日本政府の対応
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 4日、高市総理は日本政府の立場をSNSで発信した。「我が国は従来から、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきた」として「G7や地域諸国を含む関係国と緊密に連携し、ベネズエラにおける民主主義の回復および情勢の安定化に向けた外交努力を進める」と強調した。ただ、「アメリカ」や「トランプ大統領」という文言はなく、攻撃の是非には触れなかった。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2026年1月5日放送分より)

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