
バスの運転手不足問題が、全国的に課題となっています。中部地方のバス会社が3人のインドネシア人を採用しました。今後はインドネシア人のバスの運転手が増加する見通しです。人手不足の解消につながると期待されています。
【画像】インドネシアに“日本流”自動車教習所 日本企業が一から土地を開墾し設立
日本で「運転手」目指す理由
名鉄バス 入社式
「採用辞令、ドゥウィ・ハルジャント。豊田営業所運転士、試雇を命ずる」
愛知県など中部地方で路線バスを運営する名鉄バスは去年8月、バスの運転手として初めて3人のインドネシア人を採用しました。
バス運転手を目指すインドネシア人
ドゥウィさん
「これから立派なドライバーになりたいと思っておりますので、よろしくお願いします」
その中の一人、ドゥウィさんは最年長の41歳。
「もともとうちの親父さんが運転手だったんですよ。そこのきっかけで、運転のことも好きになっています」
子どものころから運転手に興味があったというドゥウィさん。なぜ、日本のバス会社に運転手として就職したのでしょうか。
「愛している家族に幸せな生活をさせてあげたい。子どもたちを大学まで、行かせてあげたい。インドネシアに居たままだと、それが結構きつい」
日本に来た理由は「3人の子どもを大学に行かせるため」。
「私が41歳なんで。日本で働ける可能性も低いので。このバスの運転手になる年齢が45歳までなんで。これがいいと思って応募しました」
過去に日本の工場で働いた経験や、インドネシアで日本語の通訳として働いていた経験があり、日本になじみが深かったのも、バス運転手に挑戦した理由の一つだと言います。
バス運転手の経験はありませんが、妻と3人の子どものため、日本で働く決意をしたドゥウィさん。この日は、初めての路上教習です。
ドゥウィさん
「いきまーす」
はじめは緊張の面持ちでしたが、次第にリラックスしていき…。
教官
「左曲がるの狭いから、しっかり前突っ込んでね。大きく、大きくね。オーバーハンドで。後輪よく見てね」
「OK!」
教官のアドバイスを受け、大型のバスでは難しい交差点のカーブもこなしていきます。
路上教習は30分で終了。教習後は、運転している時の目線が記録された映像を見ながら、フィードバックを受けます。
教官
「ちゃんと見てるね。ミラーをね。満遍なくね。非常に良かったと思いますよ、この辺りね」
「車内のお客さんの動きを見て動き出すっていうのは大事なことだから、お客さん乗せてない状態でこれができるのはすごくいい」
ベテラン教官からも、お褒めの言葉。
初めての路上教習を終えたドゥウィさん。徐々に日本でバス運転手になる実感がわいてきたといいます。
ドゥウィさん
「お客さんの大事な命を預かりさせていただきますので、お客様の気持ちをちゃんと大事にして運転したいですね。うちは子どもが3人いるんで、私の運転する姿を見せてあげたい。私が日本に来るのは家族のためなんで」
デビュー目指し共同生活
今回採用された3人は現在、名鉄バスの豊田営業所で研修中。同じ寮で一つ屋根の下で生活し、共に運転手デビューを目指しています。
バス運転手を目指すインドネシア人
セトさん
「1メートル足りないです。1メートル前です」
ドゥウィさん
「もうちょっと前ですか」
セトさん
「もうちょっと前です」
研修中もお互いにアドバイスをし合い、運転の技術を磨いていきます。
昼休みは3人でコンビニに行き、3人並んで昼食。
セトさん
「(Q.日本の料理で何が好き?)きつねうどんが好きです。『きつね』の部分がめっちゃおいしい」
バス運転手を目指すインドネシア人
アッザムさん
「(Q.日本の料理で何が好き?)私は牛丼が大好きです。安くておいしいですね」
慣れない日本の土地でのバス運転手への挑戦。お互いの存在が心の支えになっているといいます。
アッザムさん
「みんな仲良くしてますね」
セトさん
「一緒に住んでいるから3人で。毎日コミュニケーションがよく取れるんですね。何か間違えたらアドバイスしたり」
ドゥウィさん
「一緒に成長しますね」
セトさん
「成長していきたい」
現地に“日本流”教習所も
去年、一気に3人のインドネシア人の運転手を採用した名鉄バス。
名鉄バス 人事部 横井秀光さん
「少子高齢化、若手がだんだん少なくなっているこの日本の社会において、将来を見据えて外国人採用を進めていこう、採用していこうと考えています」
採用に至った決め手の一つが…。
横井さん
「道路の様式ですね。日本と同じような様式になっていて、右ハンドルの左側通行。信号の色も類似していることから、慣れた道路様式、インドネシアの形がいいと思いました」
インドネシアは日本と同じ右ハンドル左側通行。日本車も多く普及していて、交通事情になじみがあることが、決め手の一つだったといいます。
さらにもう一つ、大きな理由があります。
今回採用された3人は、インドネシアの自動車教習所で日本の道路事情や運転について学びました。実はこちらの教習所、外国人の人材紹介を行っている日本企業が、一から土地を開墾し設立した施設。
ケイエスグローバル 日川研一さん
「このビジネスを始める前に、どこにそういう所(教習所)を造ろうかと、いろいろインドネシアもまわってみたんですね。ちょっと見つけられなくて、それだったら、私どもが日本流の教習所を造ったほうが早いなということで」
日本の自動車教習所と同じ規模のおよそ6000平方メートルの土地を開墾し、教習コースを作製。日本のバスを使って教習を行っています。さらに、日常会話レベルから、日本の運転免許試験対策に必要な日本語の教育も行っています。
先生
「聞きます」
生徒
「お聞きになります」
先生
「寝ます」
生徒
「おやすみになります」
これまでに名鉄バスの3人を含め、すでに9人が日本のバス会社に就職。年内に来日予定の内定者も50人以上いて、今後もインドネシア人の運転手は増加していくことが見込まれます。
日川さん
「バス会社だけの問題ではなくて、県のレベル、市のレベルで、私どもに問い合わせがあるケースも、だんだん増えてきております」
家族を残し“訓練”の日々
インドネシアの教習所で学び、日本へ来た3人のバス運転手。先月中旬からは、デビュー後に運転するルートでの実習が始まりました。
セトさん
「よし、よし、動きます」
バスを使った教習と並行し、デビューへ向けて日本語の勉強も欠かせません。
セトさん
「私にとって、この言葉が覚えにくいと思ってここに書いた。率直とか、公序良俗」
母国に家族を残し、日本でバス運転手を目指すセトさん。日本行きを決断した背景には“ある理由”がありました。
セトさん
「インドネシアで働くとそんなにお金がたまらないので。奥さんもいるんで。今妊娠中です」
セトさんは結婚したばかりで、今年3月には第一子が生まれる予定だといいます。
現在の在留資格では、家族を日本に呼んで生活することはできませんが、将来的には…。
セトさん
「『特定技能2号』もあるんですね。受かったら家族にこっち(日本)に来てもらうことができる。(家族に)日本に来てもらうことが目標」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2026年1月7日放送分より)
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