
ミャンマーでは国軍が主導する総選挙が先月から行われていますが、親軍派政党の勝利が確実視されています。
治安悪化で国民が脱出
5年ぶりの総選挙が行われているミャンマー。投票は地域ごとに、3回に分けて行われる。
先月28日に行われた第1回の投票結果を軍政側が2日に公表。親軍派政党が9割近い議席を獲得したという。投票率はおよそ52%で、選挙は成功したと主張した。
しかし、選挙について話を聞いてみると「今回の選挙は公正でないので意味がない」「投票には参加しない」という声が多く聞こえてきた。
ミャンマー市民
「(Q.選挙に期待しないのはどうして?)投票したい人がいないからです」
「(Q.軍事政権と民主主義とどちらがいい?)民主主義が好きです」
2021年のクーデターにより実権を握った軍事政権は、今回の選挙で「民主主義体制に戻す」と主張している。しかし民主派政党は実質的に排除され、親軍派の勝利が確実視されている。
ミャンマー市民
「国軍の統治下で生活するのは非常に窮屈(きゅうくつ)です。彼らは真の民主主義と言っていますが、実際にはたいして自由ではないです。非常に窮屈です」
さらに国軍が実権を握ってから、治安の悪化などで若者を中心に多くの国民が海外に流出しているという。
2019年からミャンマーの最大都市ヤンゴンで飲食店「月とワイン」を経営している芳賀啓介さん(46)は、こう話す。
「うちの会社だけでも(従業員の)10人以上がいろいろな国に出て行ってしまった。この国でずっとキャリアを積んでいくというのが難しい状況になってしまった」
拘束が続いているアウンサンスーチー氏と同じ政党に所属していた、民主化を目指す候補者・ドーサンダーミン氏もこう語る。
「私たちの国はここ5年間、内戦状態にあります。学業を続けたい若者、仕事を求める若者は海外へ出て行ってしまうのです。こうした若者を呼び戻すために、わが国の経済をどうするか。雇用状況を改善するためにどうするか。若者が学業を継続できるようにどうするか。そうした課題に本気で取り組む政府を選ぶ必要があります。私たちの国が変革と民主主義に向けて進むために選挙が必要です」
電子投票で監視の懸念も
先月行われた1回目の投票結果が公表された。
AFP通信によると、投票は全国330郡区のうち102郡区で行われ、下院102議席のうち89議席を親軍派政党「USDP」が獲得したという。
国軍によると今回の投票率は52%で、ロイター通信によると、前回の5年前の総選挙のおよそ70%を下回ったという。
今回の選挙は、自らの正当性を主張する軍事政権による圧力の下で行われたわけだが、その投票率の低さの背景には電子投票の導入があるとみられている。
今回、初めて導入された電子投票では、候補者や政党が書かれたボタンを押して投票することができる。
AFP通信によると、国連人権高等弁務官事務所の報道官は「全国の投票所にAI生体認証システムが導入され、投票先の監視に使われている可能性を懸念している」と述べたという。
さらに、投票した市民が軍と反政府グループの両方から迫害や脅迫を受ける可能性があると述べたということだ。
今後は今月11日と25日に、合わせて163郡区で投票が行われる予定だ。
親軍派政党が圧倒的な勝利を収めると予測されているが、ロイター通信の取材に答えたアナリストは「安定した政府を樹立しようとする軍事政権の試みは、国際社会から認められる可能性は低いだろう」と述べたという。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2026年1月7日放送分より)
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