“反米”の盟友キューバに打撃 大物工作員?マドゥロ大統領の寝室隣で寝泊まり 今後の焦点は西半球の“中国資本の巨大港”
この記事の写真をみる(6枚)

 アメリカがベネズエラでマドゥロ大統領を拘束した際、多くのキューバ人がマドゥロ大統領の警護に当たっていました。

【画像】マドゥロ夫婦急襲作戦で裏付けられた“長年の疑惑”

 今回の軍事作戦には、“反米”でベネズエラと結束してきたキューバに打撃を与える狙いもあるようです。

キューバは、マドゥロ大統領の警護も

長年の疑惑が裏付けられたかたちに
拡大する

 まずは、ベネズエラとキューバの関係についてです。

 キューバは、マドゥロ大統領の警護も担っていたようです。

 マドゥロ大統領夫妻拘束のため、アメリカ軍が3日にベネズエラの首都・カラカスで実行した急襲作戦。この時、100人が死亡したことをベネズエラのカベジョ内務相が7日、国営テレビで明らかにしました。

 ここに含まれるかどうかは不明ですが、キューバ政府もベネズエラの要請を受け、革命軍と内務省を代表して任務遂行中だった32人が死亡したと公式発表していました。

 つまり、多くのキューバ人警護官らが、マドゥロ大統領夫妻の身辺警護を担っていたことになります。

 このことは以前からささやかれていて、今回、長年の疑惑が裏付けられた形となりました。

大物工作員?マドゥロ大統領の寝室の隣で…

なぜ、そこまで親密だった?
拡大する

 そもそもキューバとベネズエラは、数十年にわたって盟友関係にあります。

 キューバ革命を率いたフィデル・カストロ氏と、マドゥロ大統領の前にベネズエラの大統領だったウゴ・チャベス氏。両国の指導者はとても親密な関係で、それを示す「キューバズエラ」という造語もあったといいます。

 なぜ、そこまで親密だったでしょうか。

 ラテンアメリカの情勢に詳しい京都大学教授の村上勇介さんによると、安定した政権基盤を築くために、チャベス氏がカストロ氏を頼ったといいます。

 具体的には、反対勢力の監視と押さえ込むための警護や諜報活動。政権の支持拡大につながる医療や教育の充実。カストロ氏が、これらの人材やノウハウをチャベス氏に提供したといいます。

 さらにカストロ氏は、チャベス氏に後継者選びもアドバイスし、そこで後継者に選ばれたのがマドゥロ大統領だと村上さんは指摘します。

 その親密ぶりが、今まで続いてきたことを示すエピソードがあります。

 2019年、ベネズエラの独立系メディア「エル・ナシオナル」は、海外に亡命中のベネズエラ元国会議員の告発を報じました。

 その内容は、キューバ政府から派遣されている大物工作員の存在についてです。

・名前は、アスドルバル・デ・ラ・ベガ氏(本名かどうかは不明)
・大統領府に入って命令を出し、大統領側近らの警護も担当
・ベネズエラの重要な決定は、キューバの首都ハバナで下されている

 さらにウォール・ストリート・ジャーナルによると、デ・ラ・ベガ氏は、マドゥロ大統領の寝室の隣で、寝泊まりしていたといいます。

トランプ大統領「キューバは崩壊寸前」

キューバは非常に厳しい状況に
拡大する

 しかし、今回の軍事作戦は、両国の関係に大きな変化をもたらすとみられています。

 キューバは、ベネズエラに人材やノウハウを提供する代わりに、ベネズエラから石油や資金の提供を受けていましたが、トランプ大統領は4日、「キューバは崩壊寸前だ」と語りました。

 というのも、その後、ベネズエラは原油3000万から5000万バレルをアメリカに引き渡し、その収益はアメリカが管理することで両国が合意。ベネズエラから石油や資金がキューバに渡らなくなり、キューバは非常に厳しい状況に置かれることになるとみられています。

 焦点は“中国資本の巨大港”

西半球は「自分たちの半球」
拡大する

 アメリカ国務省が今週、公式SNSに“ある画像”を投稿しました。

 トランプ大統領の写真とともに「これは我々の半球だ」という言葉が書かれていて、南北アメリカ大陸を中心とした西半球は「自分たちの半球」だと主張する画像を投稿しました。

 また、画像には「トランプ大統領は、私たちの安全が脅かされることを許さない」というコメントも添えられていました。

 去年、トランプ政権は国家安全保障戦略を公表していて、その中で「アメリカは西半球で優位的な存在でなければならない」「西半球以外の競争相手が、我々の半球に軍事拠点・港・重要インフラといった戦略的資産の配置・支配することを拒否する」としています。

ペルーの首都リマの北約60キロに位置する「チャンカイ港」
拡大する

  この“西半球以外の競争相手”とは、どこを指すのでしょうか。

 村上さんが今後の行方に注目しているのが、ペルーの首都リマの北約60キロに位置する「チャンカイ港」です。

 ペルーの現地紙などによると、太平洋沿岸にあるこの港は、中国の国有企業で海運大手の「コスコ」が、建設など総事業費の60%を出資。13億ドルを投じていて、これだけの規模の中国による中南米向け投資は、過去最大級。南米の太平洋側で、大型船が寄港できる初の港だといいます。

 また、2024年11月の開港式には、APEC出席のためペルーを訪問していた習近平国家主席も、ペルーの大統領とともにリモートで出席。港は、中国の巨大経済圏構想である「一帯一路」構想の一環として建設されたもので、習主席は「アジアと中南米を結ぶ新たな陸海回廊の誕生だ」と述べました。

 ただ、このチャンカイ港について、アメリカ南方軍のリチャードソン元司令官は、水深の深い港であり、軍民両用施設として利用可能で、中国海軍に利用されることへの懸念も示していました。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2026年1月9日放送分より)

この記事の画像一覧
外部リンク
この記事の写真をみる(6枚)