
中国が輸出規制を強化する姿勢を示す中、そもそもこの「レアアース」とは、どんな物質で、なぜ貴重なのか。その正体に迫ります。
「レアアース」そもそも何?
暗闇で光を放つ、白い粉末。レアアースを使った蛍光体です。照明や、スマートフォンなどさまざまなものに使われるレアアースですが…。
木原官房長官
「レアアースの国際取引は円滑に行われるべきだと思いますし、非常に重要なことだと思っています」
中国が、レアアースを含む軍民両用品の日本への輸出規制強化を表明した問題。木原官房長官は「関係国と連携し必要であれば対応を行う」と述べましたが、そもそもレアアースとは何なのでしょうか。
レアアースなどの鉱物資源を研究する東京大学大学院・中村教授に聞きました。
東京大学大学院 中村謙太郎教授
「こちらがレアアースの鉱山からとれる鉱石」
見た目はただの石ですが、この鉱石がどう使われるのでしょうか。
中村教授
「この鉱石の状態だと、何もできない。一つひとつの元素に分けて、精製していく」
これらの鉱石から取れるのは17種類の元素です。それぞれに「強力な磁力」「高い耐熱効果」「発光・蛍光」などの特性を持っていて、レアアースとはこれらの元素の総称をいいます。
中国にある企業が鉱石を採掘し、レアアースに精製していく作業を公開した動画。大きな工場で、さまざまな工程を経て、鉱石からレアアースが抽出されていきます。
中村教授
「抽出には石を強力な酸などで溶かし、レアアースを取り出す作業が必要。非常に気の遠くなるような作業。これは、レアアースの中の一つ」
抽出されたレアアースの一部。
中村教授
「今の時代、本当にあらゆるものにレアアースが入っている」
レアアースはその後、金属を混ぜるなどして精製され、あらゆる製品にいかされます。
例えば、スマホには「光を放つ」ものがディスプレーに。マナーモードなどの振動する機能には「強力な磁力」を持つものが使われます。
強い磁場が必要な医療用MRIにもレアアースが。飛行機のタービンには、耐熱効果を持つものが使用され、ごく少量加えるだけで性能が大きく向上するといいます。
貴重資源 中国の輸出規制も
一方で…。
中村教授
「今、圧倒的に中国が(レアアースの)シェアを持っている」
中村教授によると、レアアースは精製する過程で放射性廃棄物が発生するといいます。環境規制が緩い中国ではコストをかけずに精製できるため、多くの国が安く輸出する中国に依存するそうです。
日本でも、国内に入るレアアースのおよそ7割を中国から輸入していますが、仮に輸出規制が強化されれば…。
野村総研 エグゼクティブ・エコノミスト
木内登英氏
「3カ月間、本格的にレアアースの輸出が規制されると経済損失は6600億円。1年続けばこの4倍っていうことですから、2兆6000億円くらいになってしまうということで、非常に大きい規模のマイナスになる可能性がある」
ただ、日本でレアアースがとれないわけではありません。
中村教授
「南鳥島沖の海底でとれる『レアアース泥』という泥。この泥が、実は、日本のEEZ(排他的経済水域)の中に大量に存在。今後開発することができると、海外に頼らない我が国独自の資源として、レアアースを利用することができるようになると期待」
