来月6日、オリンピックが開幕します。北京オリンピック銅メダリスト、モーグルの堀島行真選手(28)。昨シーズン世界選手権で優勝。世界チャンピオンとしてオリンピックに挑みますが、彼の強さとは何なのか、オリンピック金メダルへの道筋が見えています。松岡修造さんが取材しました。

堀島行真選手 確実な金へ

 昨シーズン大きく飛躍した堀島選手の強さは、今シーズン開幕戦でも健在でした。コブに吸い付くようなターン!そしてダイナミックなエア!

 この大会で優勝を掴み、オリンピックへ勢いをつけました。

堀島選手
「確実に金メダルを取れるみたいな」
「もちろん金メダルに対するリスクが必要になってくると思うんですけども、そのリスクをどれだけ減らせるか」

松岡さん
「減らす?」

堀島選手
「準備の段階でオリンピックに行く時に何を持って行けるか」

 ターン、エア、スピードの3要素で評価されるモーグル。その中で堀島選手は、エアこそが重要だといいます。

 カギは、世界で数人しかできない大技。体を横に1回、2回、3回、なんと4回転!360度×4。名付けて「コーク1440」。

 昨シーズン、この大技を飛んだのは堀島選手だけでした。

 その堀島選手の「コーク1440」について、絶賛する選手がいます。世界選手権で9個の金メダルを獲得した絶対王者、ミカエル・キングズベリー選手(33)です。

「行真はこれまでの私のライバルで最もタフな選手です。去年はどの大会でも『コーク1440』を成功させました」

松岡さん
「『コーク1440』は何が難しい?」

ミカエル・キングズベリー選手
「モーグルのジャンプはそれほど高く飛べない。だから『コーク1440』を飛ぶにはその分速く飛び出して、速く回らないといけない」

緻密な2カ年計画

 そんな大技を習得するために堀島選手は緻密な「準備」に基づいた「2カ年計画」を立てていたんです。

 堀島選手が向かったのは、ヨーロッパ最大の室内スキー場。

 この施設で練習するために2年前、ノルウェーに移住してきました。実はこれこそ「2カ年計画」の重要な1歩目。

堀島選手
「雨降っていても、風でも、毎日練習環境が一定にできる。毎日の反復練習につながっていくので、ベストな環境だと思って選んだ」
「もう一つは時差の影響で、ミラノの真上にオスロがあって、(イタリアと)時差がない。(五輪の)スケジュールが出た段階から、9時~12時ごろに試合が開催されるんですけども、その時間に練習する」

松岡さん
「早すぎませんか?!2年前からそれやってるんですか?」

 大事にしたのは、自然環境や時間を一定にすること。不確定要素に左右されず、「コーク1440」の完成度だけ見据えました。

シーズンオフに「コーク1440」100本

 練習環境を整えるだけではありません。オリンピック金メダルから逆算し、立てた目標は…。

堀島選手
「(シーズンオフの間に『コーク1440』)100本っていうのを設定してまして」

松岡さん
「なんで100本にしたんですか?」

堀島選手
「適当に数えずに良くなったという感覚だけでシーズンオフを過ごしてしまうと、何本目で自分が良くなったか、あまり分からないなと思ったので、まずは100本というのをちょっとアバウトに決めて、50本目で『これしたら失敗する』『これしたら失敗しない』『これだったら絶対に成功する』というようなものが見えてくるんですね」

松岡さん
「1日何本ぐらい?」

堀島選手
「最大6本です」
「1日6本と最大で決めていると、その6本をまず評価する。6本中、何本成功するかを毎日の練習で出していくことによって、毎日がオリンピックの評価みたいな感じにしています」

 シーズンオフごとに「コーク1440」を100本。1日では最大6本をどれだけ成功できるか。練習での成功率をオリンピック本番での成功率に見立てていました。

堀島選手
「100本に近くなると、6本中6本、成功することができたり、基本的にはもう90%ぐらいの成功率」

 こうして2カ年計画1年目の昨シーズン。序盤こそ「コーク1440」の成功率は上がらなかったものの、シーズン後半の成功率はなんと100%!世界選手権での優勝も掴みました。

松岡さん
「ミラノ五輪で決勝を迎える。どんな行真で最後のレースを迎えるようにしたい?」

堀島選手
「心臓の鼓動が少し聞こえるような、スタートに立った時に。目をつむって深呼吸しながら、パッと目を開けた時に、リビーニョの会場の場面が広がって1コブ1コブが目の前に現れて。ゴールまで、最後まで集中力を切らさない体力があるか、集中力を切らさない気持ちがあるか。この2つがある状態にしたいなと思います」

最終的に勝てる力

徳永有美キャスター
「これだけの緻密な準備を理論とイマジネーションで重ねていくって、すごいですね」

松岡さん
「僕もいろんなアスリートを見ていて、力を持っている人って共通点があるんです。彼はそれを兼ね備えています。やはり大事な瞬間にたとえ自分のベストな状態とか環境じゃなくても最終的に勝てる力を持っている。それは、彼は毎日オリンピックをやってるんです。うまくいかなくてもイメージして修正できる力。これは僕、技術だと思います。才能じゃなくて。だからこそ自分たちもまねれるんじゃないかなって、気がするんですよね」

大越健介キャスター
「私も堀島さんのパフォーマンスを漫然と見るのはやめます。緻密に計算して」

(「報道ステーション」2026年1月9日放送分より)

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