背景は産業需要・国際情勢・投機も…金に続き銀も“急騰”止まらず 生活へも影響が
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金の国内小売価格の指標とされる田中貴金属工業の店頭小売価格が、13日よりも384円上昇し、1グラムあたり26177円と、史上最高値を更新しました。

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金・銀の価格
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金の価格は1年前と比べ、1グラム1万円以上、上昇。さらに、金よりも激しい上昇率を見せているのが銀で、わずか1カ月で1.5倍になっていて、1グラムあたり、521円で取引されています。

今年からシルバーのラインナップを追加した会社。

ムラオ 大工芳明さん
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ムラオ 大工芳明さん
「銀も同じように徐々に金の資産価値的な考えを持つ人が買っている」

世界情勢に左右されにくく、安全資産として、人気だった金や銀。もはや飾りではありません。

デパートに勤務する人
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デパートに勤務する人
「在庫がなくなったときに、作ってもらわないといけない。作ってきたときの価格というのが、訴求力のあるものができるのか。本当にまずいんじゃないか、業界自体が」

深刻な影響を及ぼしている現場は、ほかにもあります。

岡山市内にある歯科クリニック。
ここでは、1日に10人ほどの患者が、虫歯の治療で歯冠、つまり銀歯などを付ける治療を行っています。銀歯も原価が上がれば、当然、値は上がります。

銀歯の成分
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なかの歯科クリニック 中野浩輔院長
「銀歯というと、銀でできていると思うかもしれないが、金・銀・パラジウム合金、私たち“金パラ”と略しているが、銀歯なのに金が12%入っている。銀が48.2%、パラジウムが20%」

銀歯を作るうえでかかせない金属“パラジウム”。この金属も去年の夏ごろを境に値上がりが続いています。

なかの歯科クリニック 中野浩輔院長
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なかの歯科クリニック 中野浩輔院長
「赤字だから治療しないというわけにはいかない。ほとんどの所は赤字をのみ込んでやっている。1本入れると、2000円から3000円の赤字」

銀歯の買い取り実施
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銀歯は、外部の歯科技工士が作製していますが、原価の高騰に診療報酬の改定が追いついていません。そこで、医療廃棄物として売却していた治療済みの銀歯を、患者の同意を得て回収。神戸市の中古買い取り店に出したそうです。

なかの歯科クリニック 中野浩輔院長
「2100円ぐらい現金でもらい。銀歯って売れるんだというのを歯科医師として思った。これからもっともっと銀歯が上がってくると、患者さんの方が『返してください』『私の銀歯はどこに行ったんですか』ということになる」

銀歯などの売却額
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こうした動きは、ほかの病院でも広がっていて、石川県の小松市民病院では、売却額が200万円以上になったそうです。

さらに、こんな業界にも影響が及んでいます。

自動車の解体などを行う会社。ある部品に問い合わせが寄せられているそうです。

マフラー
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栗山自動車工業部品課 田口一樹課長
「(Q.マフラーはどういった素材でできている)いま、話題となっているレアメタル、パラジウムやプラチナがよく使われている」

相次ぐ金属の高騰で新品の値が上がっているため、全国の整備業者などから中古品の問い合わせも多いそうです。

栗山自動車工業部品課 田口一樹課長
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栗山自動車工業部品課 田口一樹課長
「(Q.車関連ではない人の問い合わせも)ちょこちょこあったりするかなと。トラックに使うために再販しているので、そういった業者からの問い合わせは、あまり喜ばしくないというか。(Q.余波の広がり方の驚きは)新品の価格が上昇して、需要が高まってきているのは、正直、びっくりしている」

◆銀の価格高騰の背景は何でしょうか。貴金属に詳しい経済アナリストの豊島逸夫さんに聞きました。

銀の価格高騰の背景
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銀の価格高騰の背景
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豊島さんは「背景には、まず銀の需要の高まりがある。銀は熱伝導率が非常に高いという特徴があり、産業用の素材として幅広く活用されています。近年では、電気自動車や太陽光パネル、AI産業を支えるサーバーの部品などとして引き合いが強くなっている」としています。
さらに、ベネズエラやイランなどを取り巻く国際情勢が緊迫していることも一因だといいます。「経済の先行きが不透明なことで、投資マネーが安全な資産とされてきた金に流入して値上がり。それに比べて割安感があった銀に結果的に資金が集まることになり、高騰した」としています。「ただ、こうした需要の高まりはあるものの、現在の価格は実態からかけ離れたバブルの様相を呈している。銀は金に比べて単価が安く、値動きも大きいため、現在、投機の対象として注目され高騰している」と指摘します。

為替の影響
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世界的にも銀は高騰していますが、輸入に頼る日本では、為替の影響を受けて、さらに大きく変動しているといいます。高市政権での円安の進行も国内の銀価格の上昇に拍車をかける重要なファクターになっています。これまでは価格の変動が小さいことが特徴だった銀ですが、豊島さんは「もはや安全資産ではない」と断言しています。

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