立憲民主党の安住淳幹事長と公明党の西田実仁幹事長は19日、国会内で記者会見を開き、両党が結成する新党「中道改革連合」の綱領を発表した。
会見冒頭、安住幹事長は以下のように綱領を読み上げた。
「近年、世界はインフレの進行と国際秩序の動揺の中で、極端な思想や社会の不安を利用して分断を煽る政治的手法が台頭し、社会の連帯が揺らいでいる。日本においても、右派・左派を問わず、急進的な言説が目立ち始め、多様性を尊重し、共に生きる社会を築こうとする努力がいま、脅かされている。この現実を前に、政治が果たすべき責任は重い。対立を煽り、分断を深める政治ではなく、対立点を見極め、合意形成を積み重ね、生活者ファーストの政策を着実に前へと進める中道政治の力が求められている。それは、困難な現実に正面から向き合い、最適解を導き出す、最も責任ある政治の道である」
「私たちの掲げる理念は、生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義である。国民一人ひとりが自分らしく生き、その活力が社会の発展を支える政治を目指す。国家やイデオロギーのために国民を従わせる政治ではなく、人間の尊厳を守り抜く政治を我が国の中心に据え直すという、揺るぎない決意である。『中道改革連合』は、多党化が進み政治が揺れ動く時代にあって、極端主義に立ち向かい、不毛な対立によって社会が引き裂かれることを防ぐ、責任ある中道改革勢力として立ち上がる。国民の利益と幸福に奉仕する国民政党として、国民が求める改革を主導する基盤となることを目指す」
「そのために、私たちはここに5つの政策の柱を掲げる。第1の柱、一人ひとりの幸福を実現する持続的な経済成長への政策転換。人への投資や生産性革命等を通じて持続的賃上げを実現し、経済成長を分配へとつなげ、生活者の豊かな暮らしを実現する。第2の柱、現役世代も安心できる新たな社会保障モデルの構築。持続可能な経済成長を実現し、弱者を生まない社会を築くために、誰もが必要な支援にアクセスできるよう、教育・医療・介護などのベーシックサービスを充実させ、現役世代の負担に配慮した、持続可能な社会保障を実現する。第3の柱、選択肢と可能性を広げる包摂社会の実現。教育格差の是正、ジェンダー平等、多文化共生、気候変動対策を進め、誰もが自分らしく生きられる社会を作る。第4の柱、現実的な外交防衛政策と憲法改正論議の深化。憲法の平和主義に基づく専守防衛を基本に、日米同盟と平和外交を軸とした、国民の平和と安全を守る現実的な外交・防衛政策を進める。第5の柱、不断の政治改革と選挙制度改革。政治への信頼を回復するため、政治資金の透明化を断行し、民意が正しく反映される選挙制度改革など、政治改革に取り組む。『中道改革連合』は、改革の軸として、理想を掲げながら、現実的な政策実現のために結集する。その責任を果たす覚悟を持って、私たちは新たな歩みを始める」
続いて、記者から衆院選での戦い方について聞かれた安住幹事長は「分断と対立をいたずらに煽って人々の憎しみや憎悪の心を引き出して政治的なエネルギーにしていくという傾向が本当に世界的にも見られて、日本でも見られます。しかし、私たちはそういう社会に大変懸念と危機感を持っています。むしろ、人々の良心を引き出して、そして共生と包摂の社会へと転換をしていく政治、この柱が、やっぱり理念というかね、これをやっぱり政策に体系的に結びつけていくことで、私たちの党は高市総理の目指す社会とは違うものであるということを私は示す。これが今度の衆議院選挙でのやっぱり国民の皆さんへの選択の一つの大きな争点になると思っております」と回答。
西田幹事長は「私たちは、綱領の中にも、国家ファーストではなく、生活者ファーストを目指していく政治であります。もちろん、国家が強く、また経済が強くなることは大事なことです。しかし、その先に、人々の笑顔や暮らしの満足がなければなりません。そういう意味での生活者ファーストということを私たちは目指していく、そういう中道の政治を目指してまいります。また、株高ファーストではなくて、やはり賃上げファースト、物価あるいは金利、そして賃金を重視していく、経済政策もしっかり打っていく必要があると思っています。現実的な外交また安全保障政策によって、大変厳しい周辺の環境に対応して日本の平和を守る、これもまた中道改革連合の目指す道であります。そうしたことを、具体的に何を中道として目指すのか、そして何をどう改革していくのか、このことを国民の皆様にお示しをし、中道勢力の塊を作る第一歩にしてまいりたい」と答えた。
別の記者の「綱領の『現実的な外交防衛政策』の下に『専守防衛を基本』と書かれている。今の安保法制は条件によっては集団的自衛権を認めているかと思うが、それは否定されて専守防衛に徹するということか?」という質問に安住幹事長は「専守防衛の範囲で厳格に運用され、そして自国防衛のための自衛権の行使ということについては、我々としては合憲とみなすということになると思います。これは、公明党も長年苦労してこの平和安全法制をフルスペックからかなり限定的なところまでもってきた。これの最終的な『解』を見出すために、私どもと公明党であらん限りの叡智を絞って、世界中の国際法、そしてこういう安全保障関連法を調べました。一言で言えば、集団的自衛権と個別的自衛権の話は日本では当たり前のようになっていますが、法律上そういう立て付けが本来あるのかというと、実はないんですね。区分けしやすいからそういうことは言っていますが、私たちの国ができる可能な範囲というのは、現行憲法のもとで自衛隊の皆さんに出動してもらって、本当にそうした行為に及ぶ時というのは、やっぱり日本の国の防衛のためであるというところの定義がしっかりしてれば、お互いの解は解けるという結論に至った」と答えた。
この点について西田幹事長は「この平和安全法制が定める自国防衛のための自衛権は合憲であるというのは、我々が与党の時代に相当議論に議論を重ねて導き出した形であります。10年が経ち、この平和安全法制ということを今作っておいてよかったと私自身は思っておりまして、そうした議論をこれまで両党の間でかなり綿密に協議をし、そして綱領にもこのように位置づけたい」と話した。
記者から「立憲民主党の綱領には『原発ゼロ社会を1日も早く実現』と書かれていた。新しい綱領にも明記するという選択肢もあったかと思うが、その道をとられなかった理由をお聞かせください」と聞かれ、安住幹事長は「いずれにしても、将来原発ゼロを目指すと書いてあったと思います。最初の原点ですね。しかし、私たち自身は、再稼働そのものには条件付きでは容認しておりました。今度の基本政策においても、『将来的に原発に依存しない社会を目指す』ということは明記しておりますから、その点での変更はないと思いますし、ここは公明党とも私どもも合意しているのですが、やはり再稼働に関しては地元の合意とコンセンサスをちゃんと得て丁寧にやっていくということは明記させていただいていますので、それほど大きな転換になったとは思っておりません」と答えた。
さらに記者が「綱領には『政権交代』という言葉が抜けていて、結集するだけで終わっているようなところもある」と発言すると安住幹事長は「綱領に政権交代なんて野暮な言葉は書きません」とここまでの発言と比べて一際ボリュームを上げて力強く述べた。
(ABEMA NEWS)

