
35年にわたり、社員や元社員が約500人の顧客から金をだましとったり、不正に受け取っていたりした問題で、プルデンシャル生命が23日、会見を開き、謝罪しました。
【画像】元社員語る顧客との“距離”プルデンシャル生命31億円不正 “報酬制度”とは?
会見には来月1日付で社長に就任する得丸博充氏も同席。不正が起きた背景について、こう説明しました。

プルデンシャル生命 得丸博充次期社長
「弊社の営業社員の報酬制度は、獲得した新契約に大きく依存しており、“短期間に多額の報酬”を得ることが可能な仕組みとなっております。この報酬制度は、金銭に過度な執着を持つ人間をひきつけるリスクがある」
全社員約6600人のうち、営業社員は4300人あまりを占め、“ライフプランナー”と呼ばれています。

営業社員に固定給が支払われるのは、入社2年目まで。3年目からは、成果に応じて報酬が変わります。
最近まで5年ほど、営業社員として働いていた女性。
元社員
「売り上げが、すべてというか、自分の売上成果主義100%。副業がダメなので、結局、売れなければ辞めるしかない。普通の方は辞めると思うんですが、そこが“違反”に結びついたのでは」
もう1つの問題は、顧客との距離。

プルデンシャル生命 得丸博充次期社長
「お客さまと営業社員との“関係の密室化”です。弊社では、お客さまに一人の営業社員が一生涯担当する“マイクライアント”の考え方が、お客さまと営業社員の関係性の根幹として、弊社の競争力の源泉にもなっていました」
別の元社員は、こう話します。
元社員
「営業マンは見た目が9割。見た目にこだわりなさいと。スーツは高いスーツ、かばんもネクタイもブランドもの。結局、プルデンシャルの人は、セールストークが上手だし、人としても人望厚い人が多いので、お客さんも信頼していただける。だから、その人が言うことは、全部、安心感。全幅の信頼を置くお客さまも多かったんだろうなと」
こうした、営業社員の仕事のあり方が、今回の不正行為の温床になっていたのでしょうか。

プルデンシャル生命 間原寛社長
「私どもにとっては、長年、積み重ねた、いわゆる“カルチャー”のようなもの。それをまずは、自己否定しなければならない」
不正をしていたうちの3人は、架空の投資話を持ちかけるなどして、顧客8人から合わせて6000万円をだまし取っていました。また、会社とは関係ない投資の話を持ちかけて金を受け取ったケースや、金を借りて返さないといったケースも確認されています。

プルデンシャル生命 間原寛社長
「このほか、お客さまから金銭を受け取っていないが、弊社の社内規定で話をすることを認められていない投資商品や、取扱業者などを紹介した社員・元社員が69名おりました」
プルデンシャル生命の担当者から、投資を持ち掛けられたと話す男性。プルデンシャルとは、全く関係のない会社に投資したのは、延べ5000万円以上だといいます。
被害を訴える人
「担当者がアメフト上がりなので、(一緒に)ライスボウルを見たりした。体格はかっぷくがいい方で。ちょっと怪しいなと思ったが、まじめさだとか考えて、何か間違いないものを提案しているのかなと思いました」
担当者は、投資先の会社との窓口のような存在だったそうです。ただ、その会社はすぐに倒産。その後、担当者に問い合わせるも、連絡がつかなくなったそうです。

プルデンシャル生命 永瀬亮コンプライアンス統括
「(Q.お客さまからの金銭の受け取りがないとされる69名について、社員や元社員がキックバックを業者から受け取っていた可能性は)いま、おっしゃられたような業者から手数料のような形で、社員・元社員が金銭を受領していたケースはございます」
男性は、5年ほど前に会社に被害を訴えましたが、“個人の問題”として、対応されなかったといいます。

会見で、プルデンシャル生命は、過去に被害が認定されなかったケースでも、改めて、精査するとしています。
23億円ほどが、いまだに顧客に返金されていません。
プルデンシャル生命は、第三者の専門家で構成される組織を設置し、補償が必要と判断されれば、被害の全額を補償すると発表しました。
35年にわたり、100人以上が関わっていた今回の不正。組織ぐるみではなかったのでしょうか。

プルデンシャル生命 永瀬亮コンプライアンス統括
「1つの支社で多くの事案が発生しているというわけではない。同じような商品を客にすすめているという特徴もない。手口の共有といったものはない。組織だった動きはない」
◆大手生命保険会社による巨額の不祥事。背景には、何があったのでしょうか。

プルデンシャル生命の不正行為は、1991年から去年まで、30年以上におよび行われていました。100人あまりの社員らが、約500人の顧客から、約31億円をだまし取るなどしていたということです。
間原寛社長は会見で「好業績者が大いに称賛される組織風土があった。業績に過度に連動する制度により、社員が金銭的利益を重視する考えに至ることがあり、収入の変動が不安定さを招き、不適切行為につながった」と述べました。
◆収入の変動が不安定さを招き不適切行為につながるというのは、どういうことなのでしょうか。企業のリスク管理に詳しい桜美林大学の西山守准教授に聞きました。

西山准教授は「契約がとれる人は億単位で稼ぐ一方で、とれなければ最低賃金レベルで生活に困るほどの差が付く、極端な報酬制度がある。いま稼いでいても、収入を失う恐怖など将来への不安が大きく、“不正をしてでも稼ぐ”意識が生まれるのでは」といいます。

プルデンシャル生命は“マイクライアント”という考え方のもと、1人の社員が顧客を一生涯担当するという特徴があります。契約者によりますと、社員から飲み会に誘われたり、SNSで頻繁にやりとりするような関係もあったということです。
これについて、西山准教授は「個人的な関係の深さが悪用され、不正につながってきた。営業の現場にすべてを任せる体制を見直し、会社として顧客の状況を把握する仕組みが必要だ」と指摘します。
