誰もが羨む幸せな夫婦生活を送る二人だが、その道のりには凄絶な試練があった。一番大変だったのは娘の出産時である。妻には持病があり、自身の免疫がお腹の子を攻撃してしまうだけでなく、血栓ができやすい体質から帝王切開をすれば母体に命の危険が及ぶ状態であった。1999年、妊娠8か月での自然分娩を計画していたが状況は悪化し、医師から夫と妻の母へ「どちらの命を優先するか」という究極の選択が突きつけられた。

 「今すぐ帝王切開をすれば子供は助かるが、妻はわからない」「自然分娩を待てば子供の命が危ない」という極限状態で、夫は選ぶことができなかった。その際、妻の母が「娘を助けてください」と断腸の思いで母体優先を依頼。産気づくのを待つことにしたところ奇跡的な痛が起こり、15時間の格闘の末に母子ともに無事生還を果たしたのである。26年経った今、夫は「妻がいなかったら生きていけない。出会えて良かった」としみじみ語り、感謝を口にしていた。