
漁協の女が判決の時を迎えました。顧客の通帳から勝手に現金を引き出していたとされる女を逮捕前に直撃取材です。
「本当にやってないよ」
顧客の通帳から金を引き出し、横領した罪などに問われている漁協の職員の女。逮捕前、ANNが直撃していました。
業務上横領などの罪
春日公美被告(51)
「弁護士さん通して下さい。弁護士にお願いします」
北海道新冠町。人口約550の小さな港町で、一体何が起きたのでしょうか。
横領の被害に遭った
渡辺恵美子さん
「本当に命と引きかえに置いていったお金を、ちゃっかり自分の私腹を肥やしているかなと思ったら、いたたまれない気持ちになる。何とかして、いい形には持っていってほしいと思う」
この町に一人で暮らす渡辺さん。2006年、漁師だった夫・正さんが乗っていた漁船に別の漁船が衝突。56歳という若さで亡くなり多額の遺産が残されました。その異変に気付いたのは、2019年のこと。
「これ、ちょっとこれ見て下さい。娘と2019年から2人で一緒に調べて。残高がかなり減っていくのが早いし、2枚あった通帳もかなりお金の移動が激しい」
娘のあやのさんと1年半ほどかけて調べたところ、覚えのない取引が約4000万円分あったということです。預けていた先は、漁業組合に併設された金融機関・マリンバンク。
娘のあやのさんが金を預けていた漁協に説明を求めます。その際対応したのが、起訴された漁協の職員・春日被告です。家族ぐるみでも付き合いがありました。
その時の音声が残されていました。
春日被告(被告・被害者の話し合い)
「契約しているの。積立保険」
「本当にごめん。本当ごめん。私が悪いんだ」
当時の春日被告の説明は、2000万円を名義人不明の定期預金に。1500万円を無断で作った渡辺さんの息子名義の口座に。そして、渡辺さんの娘と孫名義で、それぞれ100万円を定期預金に。そのうち300万円を春日被告名義の積立預金にしたといいます。
さらに、約300万円の使途不明金も。春日被告は、娘であるあやのさんのために、資産運用していたと主張していました。
「私が勝手なことをしたの。いろんな人たちを見てきて相続とかも見てきて、あや(渡辺さんの娘)に一番残してやりたいと思ったの」
「だって私やってないけど。本当にやってないよ」
なぜ口座を勝手に操作?
通帳から勝手に金を引き出されたという話は、他の組合員からも…。
被害を訴える組合員
「私もちょっと調べたら、たまに1万円が抜けている感じ。(合わせて)30万円くらいいっている感じ」
「おろしてないのにおろされている。(通帳を)見たら結構大きい額もおろしている」
なぜ、他人の口座を勝手に操作することができたのか。そこには町に根付いた慣習がありました。
渡辺さん
「ずっと皆さん組合に通帳を預けていた」
漁業関係者の多くは、漁協に通帳を預けていたそうです。
「(Q.違和感は?)なかった。組合の通帳は」
「(Q.(預ける利点は?)『なんぼかうちにある?』と聞いて『あるよ』となったら『おろしておいて』と電話一本で(できる)」
渡辺さんが漁協幹部を交えて話したところ、漁協は「個人間のトラブル」と主張します。
漁協幹部(被告・被害者・漁協の話し合い)
「お互いに預けるほうも預かったほうもちょっと異常に思う。調べました。でも出てきません。何も」
「私どもとしては、弁済とかではなく、被害があれば、訴訟を起こしていただくことでしか対応できない」
そのうえで、服務規程違反で春日被告を1カ月の停職処分としました。渡辺さんに無断で作った口座や積み立ては解約されたものの、約300万円は引き出されたまま返ってきません。
取材に対し、春日被告は当時こう答えていました。
「(Q.HTBですが漁協でお金のトラブルが…)弁護士さん通して下さい」
「今まで役者ぶっていた」
渡辺さん親子は警察に被害届を提出。2023年、横領した疑いで逮捕された春日被告。そして初公判では、無罪を主張しました。
初公判
「私はお金を自分のものにするためにしたわけではありません」
渡辺さん
「平然として。今まで役者ぶっていた」
顧客の通帳から金を引き出し、横領した罪などに問われている、ひだか漁協職員・春日被告。弁護側は、すべて組合員との同意のうえだったと無罪を主張していました。
札幌地裁は今月13日、「300万円で被告人名義・受取人を被告人の母にした共済保険に加入していた」としています。
札幌地裁
「本件は、個人的な遊興費などを得る目的で横領などを繰り返したような事案とは異なるものの、犯行の動機や経緯に特に酌量すべき点は認められない」
「職員の立場を悪用し、顧客の信頼を裏切る悪質なもの。反省の態度はないが、前科前歴はない」
札幌地裁は13日、女に懲役2年、執行猶予3年を言い渡しました
判決を聞いた被害者の渡辺さんが、胸の内を明かしました。
「執行猶予がついたのは残念な気持ちが強い。それに対し私が今まで5~6年もかけて話をしてきたことが裁判官に認められたことは、すごくありがたい」
「(Q.被告の様子は?)平然としていた。今まで役者ぶっていた」
(2026年2月13日放送分より)
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