
銃を奪われて7年以上。クマの駆除を行うハンターが、猟銃所持免許の取り消し撤回を求め、最高裁で「最後の訴え」に臨みました。
クマ猟銃 奪われ7年
ヒグマと正面から戦うための裁判です。
「犠牲になるというのは、ヒグマに殺されるというのは、生きたまま食われるんだから」
北海道猟友会の池上治男さん(76)。2018年に起きた、ある事件をきっかけに、7年あまり猟銃を奪われたままのハンターです。
27日、法廷で取り返そうとしているのは、クマと対峙(たいじ)するための、猟銃所持の許可。最高裁はどのような判断を下すのでしょうか?
「箱ワナに入っています。お前、血だらけになるぞ。ぶつかったら。箱ワナが大きいので小さく見えるが…そこそこ大きい」
映像を撮影したのは、北海道猟友会のベテランハンター・池上さんです。27日、その姿は東京の最高裁判所にありました。
「銃が好きで撃ち殺すのが好きでやっている人はいない。あくまで人のため」
“丸腰”で駆除
40年以上ヒグマと対峙してきた池上さん。活動する北海道砂川市は巨大ヒグマが生息する地域なのですが、その手に猟銃はなく、クマスプレーのみ。ほぼ丸腰の状態です。
幸い歩いて向かった現場にクマはいませんでしたが、2日前には同じ場所で、カボチャをむさぼるヒグマがカメラに映っていました。
「間違いなくシカはいるわ」
冬場も毎日欠かさず、見回り調査を行っている池上さん。
猟銃を失ったのは、今から7年以上前の2018年のことでした。砂川市の住宅付近には、当時クマが出没していました。
「危険なクマがいて。それを駆除してくれって、懇願されて現場におもむいて。行って勝手に撃ったわけじゃない」
当時も自治体からの要請を受け、現場に急行した池上さん。到着すると、そこにいたのは子グマでした。
「私が現状分析のために警察官から話を聞いてみると『子グマはまだこの辺りにいる』と」
現場には市の職員や警察官もいました。
「ヒグマはこっちに向かって来ようとする。立ち上がってくるヒグマは危ない。しょうがないと思って周りも静まり返った状態だから、撃てる状況を担保してくれた」
池上さんは、クマとの距離がおよそ10メートルの場所から、警察官の立ち合いのもと発砲しました。
「外れると思ったら撃たないから。一発で倒れた。銃声は一発。警察官も『よかった』と。それで別れた」
それにもかかわらず、池上さんを待っていたのは処分でした。
「捜査官は『池上さん、あんたは人を撃ったのと同じだ。そこにヤクザが危険だからヤクザを撃つのか』と。訳の分からないことを言われた。ハンターに対する最大の侮辱」
建物側へ発砲したとして、北海道公安委員会から銃を持つ免許を取り消されたのです。
「警察官も証言台に立った。池上さん、何も落ち度はない。ヒグマを撃つという話でやった」
最高裁の判断は
池上さんは処分の撤回を求めて訴えを起こします。
札幌地裁
「猟銃所持の許可を取り消したことは、著しく妥当性を欠き裁量を乱用・逸脱している」
札幌地裁が下したのは、公安委員会の処分は違法とする判決。一審では、ヒグマの背後には高さおよそ8メートルの土手があったこと、その場にいた警察官も制止をしていないことなどが考慮されましたが…。
北海道公安委員会
「警察官が発射を要請したり、容認した事実はない」
公安委員会が控訴し、二審で池上さんの訴えは退けられたのです。
逆転敗訴を受けて上告した池上さん。27日、最高裁での弁論に臨みました。
「皆さん公益のために有害駆除をやっている。私の思いは、正常な状況でハンターも安心してできる状態」
池上さんは法廷で、改めて当時の状況を訴えました。
池上さんの意見陳述
「私の状況分析で『そのクマはまだその木の下周辺に隠れているはずだ。子グマだから、母グマの所に行くはずだから撃つ必要はない』と伝えました。しかし、住民が怖がっているのでどうしても射殺してほしいとの要請がありました。警察官、砂川市職員も駆除が終わり良かったねということで散会しました」
さらに、池上さんが訴えたことは…。
「自治体から依頼されて公益活動に従事しているのに、猟銃所持許可を取り消すのはおかしいという怒りの声が多く寄せられています。私は何年にもわたって農家・地域住民の安全を念頭にハンターを続けて来ました。銃を持たないハンターの汚名を返上、正常で安心してハンター活動ができるようにして頂きたい」
今後の判決の行方を、社会部記者が解説します。
社会部 小古山拓矢記者
「最高裁はほとんどの事案を書面のみで判断しています。今回の池上さんのように、訴えを起こした当人に法廷で意見を述べる機会を設けるのは、これまでの判決を見直す時などです。こうしたことから、池上さんを逆転敗訴とした2審の判決が最高裁で見直される可能性があります」
(2026年2月27日放送分より)
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