
おいしいのに市場になかなか出回らない“低流通魚”が今注目されています。魅力を広めようと奮闘する人々を取材しました。
【画像】コノシロを使ったフライや天ぷら、酢の物、オーブン焼き
「クロシビカマス」とは?
埼玉県蕨市のすし店。ショーケースに食欲をそそる魚が並ぶ中、メニューを見てみると、「ウスバハギ」「ブダイ」と、あまり聞いたことがない“ネタ”もあります。
店主が握ってくれたのは、「クロシビカマス」です。
大きな口と鋭い歯を持つ魚です。見た目はあまりよくありませんが、食べてみるととても身が柔らかくて甘みもあって、あぶってあるのでとても香ばしいです。
こちらの店では、一般のすし店ではあまり取り扱われない“低流通魚”と呼ばれる魚をメインに提供しています。
鮨 ヒカリズキ 店主 山川忠康さん
「本来おいしいお魚なのに、人間の都合で扱いづらいとか、骨が多くて仕込みがしづらいとか、例えばちょっと臭みが強いとか、ぬめりが多いとか、そういう理由で使いづらいことで低流通となっていると思います」
「クロシビカマス」の場合、骨がまっすぐではなく、複雑な形をしています。アジの骨と比べると違いは一目瞭然です。他の魚だと1分で終わる“骨抜き”が15分ほどかかるうえに、かなりの力仕事に。山川さんも椅子に座って、慎重に作業します。
「最初のうちは不安ばかりです。失敗の繰り返しで、こういうやり方かなと、だんだん分かってくる」
水産資源の減少が心配される中、店主は、“低流通魚”にスポットを当てることで、おいしく食べられる魚が他にもたくさんあることを知ってもらいたいと話します。
常連客は、「おいしさに感動しました。知らないネタばかりなので何だろうと思って食べながら。説明してくれるのでよりおいしさが増す」と絶賛しました。
なぜ?成長したら価値低下
千葉県の船橋漁港で漁師が朝から水揚げをしていたのは、「コノシロ」です。前日の漁で50トン級の大漁となりました。
すしネタとしても人気の「コハダ」が成長したのが「コノシロ」です。
しかし、成長するにつれ市場価値が下がることから、“逆出世魚”と呼ばれることも。人気が下がる原因は何なのでしょうか?
大傳丸 大野和彦さん
「小骨が肉の中にも入ってしまっているというか、どうしても食べると舌触りが小骨が触る」
しかし、ひと手間かけることでおいしく食べることができます。
船橋駅近くの飲食店では、大野さんの船が取ったコノシロを使い、フライや天ぷら、酢の物、オーブン焼きなど、さまざまな料理を提供しています。
番組スタッフも食べてみると、「小骨が気になるということだったのですが、骨が柔らかいので全然気にならなくて、とってもおいしいです」とのことでした。
一度酢につけることで骨が柔らかくなり、身と一緒に食べることができるのです。
大野さんは、“低流通魚”になっている原因を探り、その魚にあった活用法を見つけ出すことが、水産資源の安定にもつながると話します。
「コノシロであれば、小骨が邪魔をして食べにくいから流通しづらい。だったら食べやすい加工品を作って、小骨が気にならないようにすればいい。なんで低流通なのか要因を解明して、解決策をみんなで議論していったらいいのではと思う」
(2026年3月4日放送分より)
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