【報ステ解説】英仏が空母など派遣…湾岸諸国も“当事者”に イランへの報復は
この記事の写真をみる(25枚)

戦闘の出口が見えなくなってきています。アメリカとイスラエルからの攻撃に対し、イランがドローンなどで応酬。イランから1000発を超える攻撃を受けたというUAE・アラブ首長国連邦が報復を検討していると伝えられているほか、中東にある基地を攻撃されたフランスやイギリスも、防衛のために空母や駆逐艦を派遣することを決めました。トランプ大統領の見通しが甘かったのか、この戦闘に“巻き込まれる”国が増えています。

【画像】【報ステ解説】英仏が空母など派遣…湾岸諸国も“当事者”に イランへの報復は

後継有力候補はハメネイ師次男

女子小学校の生徒たちのお墓
拡大する

アメリカによって始められたイラン攻撃。イランで掘られていたのは、160人以上が殺害された女子小学校の生徒たちのお墓でした。

イラン外務省報道官
拡大する

イラン外務省報道官
「アメリカ政府に聞いてみてほしい。ミナブの女子生徒たちの何がアメリカの脅威だったのか。我々は終わりのない泥沼の戦争に足を踏み入れた」

イランの死者
拡大する

これまでにイラン側の死者は1045人。始まった混沌の終わりは見えていません。

アメリカ トランプ大統領
拡大する

アメリカ トランプ大統領
(Q.数千人のアメリカ市民が取り残されているが、なぜ避難計画がなかったのか?)
「展開が非常に早かったからだ」
(Q.差し迫った脅威とは?)
「君の番じゃない。君じゃない、次」

この展開は想定内だったのか。確かなのは最高指導者を殺害してもレジームチェンジ(体制転換)が起きていないことです。3日に標的としたのは、シーア派の神学校などが集まる宗教都市コムでした。

撮影者
拡大する

撮影者
「政権の専門家会議ビルが2~3分前に空爆された」

専門家会議
拡大する

攻撃されたのは専門家会議の建物。聖職者88人で構成され、次の最高指導者を指名する機関で、イランにおける体制維持の根幹になります。

イスラエル国防当局者(AXIOS・3日)
拡大する

イスラエル国防当局者(AXIOS・3日)
「新たな最高指導者の選出を“阻止”したかった」

しかし、イギリスに拠点を置く反体制メディア、イランインターナショナルは…。

イランインターナショナル
拡大する

イランインターナショナル
「専門家会議は革命防衛隊の圧力を受け、次男のモジタバ師を次期最高指導者に選出した」

この人事は確定ではありませんが、もしそうなるとアメリカにとって最悪の可能性も。

アメリカ トランプ大統領
拡大する

アメリカ トランプ大統領
(Q.イラン情勢で想定している最悪のシナリオは)
「最悪の事態は、前任者と同等の悪人が体制を引き継ぐことだ」

報復受け 湾岸諸国も“当事者”に

イランによる湾岸諸国全域への報復攻撃
拡大する

もう一つ誤算とも言えるのは、イランによる湾岸諸国全域への報復攻撃でしょうか。アメリカ大使館や米軍基地、関連施設への報復は予想の範囲内だとしても、その対象はアメリカと関係のないエネルギー施設や空港など多岐にわたっています。

イラン外務省報道官
拡大する

イラン外務省報道官
「地域諸国は、これがイランだけに対する戦争ではなく、地域全体、そしてイスラム世界に対する戦争であることを認識すべきだ」

湾岸諸国はもはや当事者の一部です。

カタール外務省報道官
拡大する

カタール外務省報道官
「弾道ミサイル101発のうち98発を迎撃し、無人機39機のうち24機を迎撃した。さらに2機の戦闘機が我々の領空に侵入したが撃墜した。イランとの連絡は現時点では行われていない」

UAE国防省報道官
拡大する

UAE国防省報道官
「我々は十分な弾薬備蓄を戦略的に確保しており、空からのあらゆる脅威を長期にわたり撃退できる」

これまで1000回以上の攻撃を受けてきたというUAE。2人の情報筋はAXIOSの取材に対し、こう話しました。

2人の情報筋(AXIOS・3日)
拡大する

2人の情報筋(AXIOS・3日)
「イランからの攻撃を阻止するために、UAEは軍事行動を検討している」

AXIOSは「イスラエル当局の話では、サウジアラビアも軍事行動を起こす可能性がある」とも伝えています。

そしてCNNは…。

CNN クラリッサ・ワード特派員
拡大する

CNN クラリッサ・ワード特派員
「トランプ氏が電話会談したのはクルド人組織『KDPI』のリーダーです。アメリカとイスラエルの支援をクルド人部隊が受けて、数日以内にイラン西部における地上作戦の準備を進めています。CIAはクルド人部隊に武器供与してイランでの蜂起を扇動しています」

ヨーロッパの国も引きずり込まれる形になってきました。EU加盟国のキプロスが攻撃にあったからです。

フランス マクロン大統領
拡大する

フランス マクロン大統領
「空母『シャルル・ド・ゴール』と航空部隊、護衛フリゲート艦に地中海への派遣を命じました」

イギリス空軍は、ヨルダンで自爆型ドローンの迎撃任務などを始めています。

イラン 周辺国攻撃を事前に計画か

「孤立を深めイランは選択を誤った」といった声が方々から上がる中、フィナンシャル・タイムズは、このような記事を報じています。

イラン政権内部関係者(フィナンシャル・タイムズから)
拡大する

イラン政権内部関係者(フィナンシャル・タイムズから)
「昨年6月に起きたイスラエルとの壊滅的な12日間の戦争の後、最高指導者と側近らは“詳細な”計画に着手していた。計画にはエネルギー施設への攻撃や、地域の航空網をかく乱する空爆が含まれていた」

今、イランが行っている周辺国への攻撃。今回の件を予測して事前に計画されていたものだったといいます。

イラン臨時指導評議会 アラフィ師
拡大する

イラン臨時指導評議会 アラフィ師
「アメリカとシオニスト政権の予測は間違いだったと必ず証明されるだろう」

後継者が決まるまでの暫定的な指導者の1人は…。

イラン臨時指導評議会 アラフィ師
拡大する

イラン臨時指導評議会 アラフィ師
「この戦争はハメネイ師の設計のもと順調に進行している」

イラン側からは「長期戦の準備がある」といった声が出ています。取材に答えた関係者は、このようにも話したそうです。

イラン政権内部関係者(フィナンシャル・タイムズから)
拡大する

イラン政権内部関係者(フィナンシャル・タイムズから)
「エスカレーションしか選択肢がなかった。彼らは何を期待していたのか?イスラム共和国の指導者が標的とされたのに、何も起こらないと思ったのか?」

◆イラン情勢に詳しい慶應義塾大学・田中浩一郎教授、アメリカの安全保障政策に詳しい明海大学・小谷哲男教授に聞きます。

英仏が空母などを派遣

(Q.ヨーロッパ国々も、この戦闘に巻き込まれたように見えるが、これは、アメリカが想定していた流れなのでしょうか)

イラン側の攻撃
拡大する

明海大学・小谷哲男教授
「この軍事攻撃には、もともとヨーロッパの多くの国は反対していました。軍事攻撃が始まった後も、ハメネイ師を排除したこと自体は、前向きに評価していましたけれども、やはり、国際法違反の疑いがあるということで、この軍事作戦に参加することはないというのが基本的な立場でしたが、その後、イランが報復を始めたときに、恐らく、アメリカも想定外だったのでしょうけれども、ヨーロッパの国も基地まで、攻撃が及んだということになったわけです。そうなると、ヨーロッパからすれば“巻き添え”を受けたということになるでしょうけれども、まさに自衛権も発生するわけですから、まずは、自らの基地、それから兵隊、さらには利益を守るために、軍を派遣するということになっています。それに伴って、恐らく、アメリカやイスラエルとの作戦面での連携というのは、今後、始まるのだろうと思います」

(Q.トランプ大統領にとっては思わず味方が増えてしまったと思っていると)

明海大学・小谷哲男教授
「思っていなかったと思いますけれども、願ったりかなったりではないかなと思います。

イラン
拡大する

(Q.英・仏・ギリシャなどが新たに軍の派遣を決めました。イラン側は、ここまで想定していたのでしょうか)

慶應義塾大学・田中浩一郎教授
「イギリス、ギリシャに関しては、想定の範囲内だと思います。なぜかといいますと、イギリスは、キプロスにある基地を通じて、米軍の機体などが、そこを中継していたのを見ていますので、ある種、能動的に関わっているという言い方をしていました。クレタ島に関しても、空軍基地、それからジェラルド・フォードが東地中海に向かう際に、1回、寄港していますので、そういう点では支援をしていることですから、当然、イランが狙う。それに対して、反応ないしは、反撃、報復が来るというのはわかっていました。フランスはちょっと…というところかもしれない。フランスは、直接的な権益をまだ侵してはいない。もちろん湾岸諸国との間での防衛協定があるということから、フランスが入ってくるということにはなるんですが、そこは、少し想定から外れていたのかなと思います」

UAEも“軍事行動”検討

(Q.UAEやサウジアラビアの動きについてですが、トランプ政権との連携ですが、アメリカが主導しているのでしょうか)

イラン攻撃
拡大する

明海大学・小谷哲男教授
「アメリカが主導しているというよりは、この攻撃をするにあたって、最初のイスラエルと並んで、サウジアラビアもアメリカに『いまがチャンスなので、イランに攻撃するべき』と提案をしていたということのようです。UAEもアブラハム合意で、真っ先にイスラエルと国交を結んだ国の一つですので、近年、サウジとイランの間でも関係を修復するような動きが見られましたけれども、やはり、イランがいま軍事的に弱っているという側面を重視して、まさに、イランから報復攻撃を受けているなか、攻撃に参加するということも考え始めているのだろうというふうに思います。これまでも防空作戦に関しては連携していましたが、そこから一歩、踏み込んで、攻勢作戦にも何らかの形で、関与するという動きがみられるということだと思います」

イラン・テヘラン
拡大する

(Q.イランに対するアラブ諸国の報復は、どのくらいの規模になるのでしょうか)

慶應義塾大学・田中浩一郎教授
「もちろん陸上部隊という話にはならないので、これは空からということだと、私は想像しているのですけれども、ただ、アメリカとイスラエルの作戦機がイラン上空を飛んでいるときに、むしろ若干、アメリカと湾岸諸国との間では、合同軍事演習をやっていますので、同じ空域の中で作戦をすることはあり得るとしても、イスラエルがそこに割って入ってきている状態というのは、相当、危なっかしいんじゃないかなと。そこは想像なんですけども、思うところでもあります。ただ、小谷先生がおっしゃったように、これは“勝ち馬に乗ろう”という心理はあります」

(Q.勝ち馬に乗ろうという心理が控えめながら、アメリカやイスラエルが攻撃をしてイランを攻撃してくれるのであれば、アラブ諸国もそこは漁夫の利を得てもいいかなという心理 )

慶應義塾大学・田中浩一郎教授
「恐らく、もうイラン側から、大規模な反撃や報復が来ることも想定しなくて済むということです」

(Q.それに対してイランは、どう出るのでしょか)

慶應義塾大学・田中浩一郎教授
「アメリカのヘグセス国防長官が言っているように、能力的なものをもう奪ったんだということになりますと、いよいよ本土決戦みたいなことを誘うということです。それも、いろいろ少数民族を駒のようにアメリカが使おうという感じも見えますから、守るほうにしかないかなと思います」

この記事の画像一覧
外部リンク
この記事の写真をみる(25枚)