東日本大震災から15年が経過した。事故が起きた福島第一原子力発電所の「これまで」と「これから」について、テレビ朝日社会部デスクの杉山貴弘氏に聞いた。
事故当初の状況について、杉山氏は「地震が起きた午後2時46分の段階では、原子炉は想定通りに停止し、さすが日本の原発だと思った」と振り返る。しかし、その後の津波によって全ての電源を喪失し、状況は一変した。冷却ができなくなった原子炉内は「空だき」のような状態となり、燃料から水素が発生、1号機、3号機、4号機が相次いで爆発した。爆発を免れた2号機についても、損傷箇所から最も多くの放射性物質が放出され、当時の風向きや雨の影響で北西方向に深刻な汚染が広がった経緯を杉山氏は説明した。
事故の責任を巡る裁判について、杉山氏は東京電力を巡る大きな2つの動きを挙げた。旧経営陣の刑事責任を問う裁判では、業務上過失致死傷罪について最高裁で無罪が確定している。また、株主が旧経営陣に対し会社への賠償を求めた株主代表訴訟では、一審で約13兆円の賠償命令が出たものの、昨年6月の東京高裁では逆転で「責任なし」との判決が出され、現在は最高裁に上告中であるという。杉山氏は、事故から15年が経ってもなお、責任の所在が確定しないまま司法の場での争いが続いている事実を指摘した。
事故から15年が経ち、現在は処理水の海洋放出が始まるなど、一定の進展も見られる。杉山氏は今年2月にも現地を取材しており、かつては防護服と全面マスクが必須だった構内の大部分が、現在は普通の作業着で歩けるほどに除染が進んでいることを報告した。また、1号機や2号機では使用済み燃料を取り出すための巨大なカバーが設置されるなど、廃炉に向けた準備が進められている。
しかし、最大の難関である「燃料デブリ」の回収について、杉山氏は厳しい見通しを示した。1号機から3号機に合わせて約880トンあると推定されるデブリに対し、これまでに試験的に取り出せたのはわずか0.9グラム程度に過ぎない。杉山氏は「1日1キロずつ取ったとしても完了までに2410年かかる計算になる」と述べ、あまりに途方もない作業量であることを強調した 。強い放射線の影響で人が立ち入れず、投入したロボットも半導体がやられて故障するなど、デブリの完全回収には依然として大きな技術的壁が立ちはだかっている。
政府と東京電力は2051年までの廃炉完了を目標に掲げているが、杉山氏は「事故が起きなかった原発の廃炉でさえ30年かかる」と指摘し、デブリ回収を含めた現行のロードマップの困難さを説いた。同氏は、エネルギー政策の議論が活発化する今こそ、15年前に起きた現実と今なお続く現場の苦闘を忘れてはならないと締めくくった。
(ニュース企画/ABEMA)

