「新たな患者を出さないように」腰の手術中に神経切断 医療過誤で執刀医に有罪判決

「新たな患者を出さないように」腰の手術中に神経切断 医療過誤で執刀医に有罪判決
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医療過誤をめぐる刑事裁判で、執刀医に異例の有罪判決です。

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松井宏樹被告
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医師の松井宏樹被告(47)は、2020年1月、兵庫県の赤穂市民病院で、女性患者(当時70代)に腰の手術を行いました。骨をドリルで削る最中に、誤って神経を切断し、重い後遺障害を負わせた業務上過失傷害の罪に問われていました。

マンガ
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女性患者の親族が「この問題を社会に伝えたい」と、自ら関係者に聞き取りを重ね、マンガにしたことでも話題となりました。

松井被告は、裁判で起訴内容を認める一方、手術の助手を務めた脳神経外科の科長にも責任があると主張しています。

松井宏樹被告(被告人質問から)
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松井宏樹被告(被告人質問から)
「助手がいないと手術は成り立たないです。チームでやっているので、1人だけ悪いとなるのは違うのかなと」

松井被告の責任を、どこまで刑に反映するのか、争点は絞られていました。

手術中に何が起きたのか

女性患者は、手術を受ける前には、持っている杖もつかずに、車に乗り込んでいます。手術後は、麻痺だけでなく、強い痛みを訴え、尿意や便意を感じなくなりました。

女性患者の親族
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女性患者の親族
「強い痛み止めを何年間も投与され続ける状態になった。痛みでもがき苦しんでいる姿は、家族として見ていて耐えられない」

女性は2020年1月、腰痛の検査で入院。そのとき、主治医となったのが松井被告でした。家族は「重度の腰部脊柱(せきちゅう)管狭窄(きょうさく)症で、早急に手術をした方がいい」と告げられたといいます。

女性患者の手術
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ただ、松井被告、脊椎の手術で執刀医を務めたのは、この女性が初めてでした。そのため、前半は脳神経外科の科長が手本を見せ、後半で松井被告が執刀することになったといいます。

医師の過失責任が焦点に

裁判の証拠として、手術の映像も提出されました。

松井被告は、適切な止血をせず、見えづらい状態のまま、“スチールバー”と呼ばれる削る力が強いドリルで骨を削っている最中に、神経を巻き込み、切断したということです。

松井宏樹被告(被告人質問から)
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松井宏樹被告(被告人質問から)
「スチールバーで掘削したこと、患部が見えにくい状態で削ってしまったことが、私の過失だと思っています。明確に先生の指示がありました。『そんなことしていたら日が暮れる』と」

科長
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証人として出廷した科長は、スチールバーを使うように言ったことは「なかった」と明確に否定しています。

そして、松井被告自身、手術の直後に科長の医師にメッセージを送り、自身のドリルの操作が原因と認めています。

松井宏樹被告が科長に送ったLINE
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松井宏樹被告が科長に送ったLINE
「今回の件、先生のせいではありません」「止血が甘かったこと、焦っていたこと、ドリルの操作が荒かったことが原因です」

また、松井被告は、技術の問題や患者を診ないなど、スタッフや患者から苦情が相次いだことから、病院が文書で警告したこともありました。病院は、松井被告が約8カ月の間に、8件の医療事故に関わったことを認定しています。

これまでの裁判で、検察が「極めて基本的な注意義務に違反している」と主張したのに対し、弁護側は「手術の責任を医師1人に負わせるのは問題だ」と主張していました。

「基本的な注意義務を怠った」

迎えた12日の判決。

佐藤洋幸裁判長
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佐藤洋幸裁判長
「十分な止血措置を行い得なかった事情や、ドリルでの切削を止めることができなかった事情があったとも認められないのであって、被告は、基本的な注意義務を怠ったといわざるを得ない」

一方で「バックアップすべきチームが機能していなかった」などとして、禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

佐藤洋幸裁判長
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佐藤洋幸裁判長
「自分の手技が未熟だったと反省し、被害者に対して申し訳ない気持ちを忘れないでいただきたいと思います」

松井被告は現在、病院には勤めていません。

厚生労働省の審議会で、免許の取り消しが相当と議決されれば、医師免許は取り消しになります。

「奪われた自由が戻ることない」

被害者家族のコメント
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被害者家族のコメント
「執行猶予付とはいえ、刑事罰が下されたことで、大きな節目を迎えたと感じております。しかし、医療過誤によって奪われた母の身体の自由や、失われた時間が戻ることは二度とありません。最善が尽くされたにもかかわらず、起きてしまった医療事故が、やみくもに刑事事件化されることには反対ですが、患者の生命を軽視するような方は、医療に携わるべきではないと考えております。医道審議会におかれましては、二度と母のような、悲惨な被害者を生むことのないよう、松井医師に厳しい行政処分を下していただけますよう、強く要望いたします」

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