迫る“原油枯渇” 中東依存の日本の対応は?ナフサ、ヘリウムも…暮らしに影響

迫る“原油枯渇” 中東依存の日本の対応は?ナフサ、ヘリウムも…暮らしに影響
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 イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖によって、アメリカとイラン双方が対応をエスカレートさせています。

【画像】“最後の原油タンカー”が今月中にも到着…日本の石油、状況は?

 原油価格の高騰による“エネルギー危機”に、日本はどう対応するのでしょうか。

ガソリン価格 依然高水準

中東情勢を受け、値上がりが続く
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 まず、国内のガソリン価格の推移です。中東情勢を受けて、値上がりが続いています。

 レギュラーガソリンの全国平均価格は5週連続で値上がりし、16日時点で過去最高の1リットル=190.8円を記録。

 その後、政府が対策を講じたことで、23日時点ではこの価格より下がっており、170円台ほどで販売しているガソリンスタンドも出ています。しかし、依然として高い水準が続いています。

迫る“原油枯渇” 中東依存の日本

“最後の原油タンカー”が今月中にも到着
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 こうした状況の中、さらに中東から日本に入ってくる原油が激減するとみられています。

 日本が輸入する原油の9割以上を中東に依存しており、そのほとんどがホルムズ海峡を通過して日本へ入ってきます。

 船舶の位置情報などを提供するサイト「マリントラフィック」によりますと、先月26日、アメリカとイスラエルがイランへの攻撃を始める2日前に出港し、その後ホルムズ海峡を通過したタンカーが今月中にも千葉港に到着する予定です。

 ブルームバーグ(18日)は、これが「中東から日本に向けて出航した最後の原油タンカー」だと報じています。

 こうしたことから政府は、原油の調達先の多角化を進める方針です。

 19日の日米首脳会談でもアメリカのアラスカ産原油の輸入拡大などが議題になったといいますが、アメリカ産原油の性質に合わせた設備の対応やコスト面での課題も指摘されており、実現の見通しは立っていません。

日本の石油備蓄は?

“史上最大のエネルギー危機”
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 ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、今世界のエネルギー市場が危機に陥っているといいます。

 IEA(国際エネルギー機関)のビロル事務局長は20日、「世界の石油マーケットで史上最大のエネルギー危機が起きている」と警告しています。

 では、日本にはどのくらいの石油の備蓄があるのでしょうか。

 16日時点で、日本には241日分の備蓄があるとしています。

 ただIEAによりますと、各国が協調して石油備蓄を放出するといい、日本は7980万バレルを放出するとのことです。

 日本の1日あたりの石油消費量は約330万バレルとされており、今回の放出分は約24日分に相当します。

ガソリン価格を抑える政策
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 こうした中、日本政府はガソリン価格を抑える政策を打ち出しています。

 もともとコロナによる経済悪化やロシアのウクライナ侵攻による原油高を受け、2022年から石油元売り業者への補助が行われていました。軽油、灯油なども含めて累計8兆円以上を投入してきていましたが、去年末にガソリンの暫定税率廃止に伴い終了しました。

補助金の財源は?
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 しかし、イラン情勢の悪化でガソリン価格が高騰したため、政府は19日から補助金を再開。これはガソリン価格が全国平均170円程度になるよう、170円を超えた分を石油元売り業者に全額支給するというもので、補助金再開の影響から全国各地でガソリン価格の値下げが相次いでいて、1リットルあたり20円値下げするスタンドも出てきています。

 この補助金の財源は、どうなっているのでしょうか。

 政府は燃料補助金向けに設けた基金の残高約2800億円を充てますが、原油価格の高騰が続けば1カ月程度でなくなる見込みです。足りなくなった場合は、今年度の予備費8600億円を活用する考えも示しています。

ナフサ、ヘリウムも…暮らしへの影響

国民生活にさまざまな影響
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 中東情勢の悪化は、国民生活にさまざまな影響を及ぼすといいます。

 石油化学工業協会によりますと、原油を加熱すると「ナフサ」という液体が抽出されます。

 このナフサから、「エチレン」や「ベンゼン」などの成分が取り出せます。さらに、これらからプラスチックや合成ゴム、合成洗剤の原料など、さまざまなものが作り出されます。

 日本はナフサの約4割を中東から輸入しており、ブルームバーグ(16日)はイランでの戦争開始以降、日本のナフサ価格が約66%上昇したと報じています。

「ヘリウム」も中東に依存
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 またナフサだけではなく、日本は「ヘリウム」も中東に依存しています。

 木原稔官房長官は、ヘリウムの調達元について「約37%がカタールからの輸入であり、ホルムズ海峡を経由するルートで輸入されている」と話しています。

 ヘリウムは天然ガスを産出する際の副産物として精製される資源です。風船や医療機器MRIの冷却、半導体の製造にも必要とされ、その影響は小さくありません。

 生活への影響が指摘される中、生活そのものを見直すべきではないかという提言もあります。

 20日、IEA(国際エネルギー機関)は、エネルギーの需要を抑えるため、政府や企業、家庭向けに以下のような提言を発表しました。

政府や企業、家庭向けに以下のような提言を発表
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・可能な限り在宅勤務にする
・高速道路の制限速度を時速10キロ引き下げる
・公共交通機関の利用促進
・エコドライブなど効率的な運転
・航空機での移動を避ける

・電気を使った調理法を促す

 こうした中で、すでに動き始めている国もあります。

燃料を節約する動き
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 CNN(20日)によりますと、パキスタンでは学校の一時閉鎖、タイでは一部の公務員に在宅勤務を命令、フィリピンでは政府機関で週4日勤務制を導入しているということです。

 また、イギリスのガーディアン紙(16日)によりますと、インドではレストランがじっくり煮込む料理をメニューから外すなど、燃料を節約する動きを見せているということです。

ドル需要増加…進む円安

イランへの攻撃以降、進む円安
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 原油価格の高騰が、円安を加速させているといいます。

 アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃以降、外国為替市場では円安が進んでいます。

 市場関係者は、「アメリカのドル建てで取引される原油の価格が上昇すると、支払いに必要なドルの需要が増すため、円を売ってドルを買う動きが強まっている」と分析しています。

(2026年3月23日放送分より)

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