重度障がい者のれいわ議員、郵便投票の拡大求める 現在は要介護5などに限られ、電子投票も導入進まず 参院予算委で議論

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れいわ・天畠議員
【映像】「あかさたな」話法で質問する天畠議員(実際の様子)
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 27日の参議院予算委員会で、れいわ新選組の天畠大輔議員が郵便投票の拡大などについて質問した。重度の障がい者の天畠議員は、介助者が「あ、か、さ、た、な」と読み上げながら文字を確定させていく「あ、か、さ、た、な話法」などを使って質問した。

【映像】「あかさたな」話法で質問する天畠議員(実際の様子)

 天畠議員はまず、「先の衆院選は解散から投票まで憲政史上最も期間の短い選挙でした。これにより投票する権利を侵害された方が大勢いました。障がいのある方々からは、知的障がいのある人への投票学習が間に合わなかった、点字公報が届かなかった、大雪で投票所に行けなかった、ヘルパーが確保できず投票を断念したなど切実な声が寄せられています」と述べた。

 続けて「中でも最も多かったのが郵便投票の対象拡大を求める声です。現在の制度は重度の身体障がい者や要介護5などに限られていますが、実際には居住環境や気候条件、経済状況などによって投票の可否が大きく左右されます。例えば5年前、岡山市に住む障害等級4級の女性が、今の郵便投票要件は憲法違反であるとして国に損害賠償を求めました。自宅から投票所までの往復1.5キロは山を周回するでこぼこ道で徒歩の移動が難しい。福祉タクシーを1回使うだけでひと月の生活保護費の大半を失う。そんな環境ですから郵便投票対象外の4級でも投票できないのです」と事例を紹介。

 そして「障がいの重さ、つまり投票所に行く困難さは医学的な基準だけでなく、本人を取り巻く社会環境が関係するということです。今回の選挙はその現実をより浮き彫りにしました。これまで要介護区分による議論が中心でしたが、それだけでは実態を十分に捉え切れていないのではないでしょうか。現に取り残されている方がいるという前提に立つべきです」と訴え、「郵便投票の対象の在り方については、高齢者だけでなく障がい者の多様な困難や環境要因も踏まえて検討すべきではありませんか」と質問した。

 これに対し林芳正総務大臣は「選挙権これは国民の重要な権利で、誰でもこれを的確に行使できる環境をしっかり整えるべきだと認識しています。一方で郵便投票については不正を背景に一旦廃止された後に、物理的に投票所まで行くことが困難な重度障がい者や要介護5の方に限定して認められてきたという経緯があります。郵便投票の対象者の拡大はこうした経緯を踏まえ、選挙の公正確保の観点も含めて各党各会派において議論いただきたい」と答えた。

 天畠議員は電子投票についても取り上げた。電子投票とは、投票用紙のかわりに投票所に設置されたタブレット等を操作して投票する仕組みで、地方選挙に限って認められている。開票のスピードアップや、疑問票・無効票がなくなる、字を書くことが困難な人も容易に投票できるなどのメリットがある。

 天畠議員は「2024年12月、大阪府四条畷市の市長選で電子投票が実施されましたが、使用された端末には音声読み上げ機能がなく、視覚障がい者は従来通り代理投票などに頼らざるを得なかったと聞いています。なぜそうなったのか疑問です。意思決定の過程で障がい当事者は参画していたのでしょうか」と質問した。

 総務省の長谷川孝選挙部長は「電子投票に関しましては、電子投票機を供給していた事業者が採算性等の面から機器の更新ができず、機器の供給が困難になったことから、平成28年1月を最後に実質的に電子投票が実施できない状況となっていました。そのような状況下におきまして、音声表示機能の付加に関する条件が投票機の開発に影響しているとの意見があったこと、また、投票機の開発状況を踏まえまして、投票機の開発を促すための技術的条件の改定を行ってきたところです」と説明。

 続けて「その上で、音声表示機能が付加されていない投票機を活用する際には、視覚障がいのある方が引き続き代理投票や点字投票により安心して投票ができるよう、各選挙管理委員会に対して要請を行ったところです」と答えた。

 さらに「電子投票システムに係る技術的条件の改定に当たりましては、地方自治体や障がい者団体を含め、関係者の方々から御意見を伺ってまいったところです。直近のこの改定におきましては、音声表示機能に関する条件改定でしたので、事前に障がい者団体の方々から御意見を伺ったところです」と述べた。

 天畠議員は「障がい者に意見聴取はしたけれど、意思決定の主体ではなかったということですね」と述べた。そして、あらゆる政策や事業に障がい者への配慮の視点を取り入れる「障害の主流化」という概念が重要だとして、「バングラデシュでは、国内初の都市高速鉄道を整備したとき、日本の基準やガイドラインに基づき、バリアフリー、ユニバーサルデザインが採用されたそうです。設計段階から障がい者団体との協議を重ね、車椅子が通過できる幅広の自動改札機などが設置されました」と事例を紹介。

 そのうえで「今回の電子投票のケースのように、デジタル化で利便性が向上する一方で、障がい者が取り残されるのであれば本末転倒です。こうした問題は電子投票に限らず、在外選挙のインターネット投票や、今後の国内でのネット投票の導入議論にも共通するものではないでしょうか。電子投票に限らず、投票制度全般の検討において、今後は障がい当事者を委員として参画させるべきではありませんか」と質問した。

 林総務大臣は「在外選挙インターネット投票についての研究も行った、投票環境の向上方策等に関する研究会においては、選挙制度やICTをご専門にされている有識者の方々に加え、障がい者の方にも委員としてご参加いただいたところです。また障がい者の方々のご意見をできる限り反映するということは重要でして、引き続き様々な障がい者団体からご意見、ご要望を伺う機会を設けてまいりたい。今後、総務省において投票に関する検討会などを開催する場合においても、委員の選定にあたり適切に対応するとともに、今後とも様々な形でご意見を伺いながら、障がいのある方が投票しやすい環境整備に取り組んでまいります」と答えた。

 これに天畠議員は「意見を聞くだけと意思決定の主体になることの違いはお分かりかと思います。障がいに関係なくてもあらゆるテーマで委員として障がい当事者が必要ではないですか大臣」とさらに質問。

 林総務大臣は「選挙のこと以外のことについては厚労大臣が所管かと思いますが、先ほどの主流化というお話、今委員がおっしゃったような、意見を述べるだけではなくて決定に参画する、そういう意味であり、そのことは私は大事なことだと考えております」と答えた。

 最後に天畠議員は「電子投票の事例は一例にすぎません。意思決定の場に当事者がいなければ同様の問題は繰り返されます。誰一人取り残さない投票環境を実現するため、当事者参画を前提とした制度設計を求め、質疑を終わります」と述べて終了した。(ABEMA NEWS)

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